オレはリオウ。
代々ファウードを守り続けてきた一族の末裔だ。
オレは、重大な任務を背負っている。
それは、ファウードを復活させる事だった。
それよりも今、オレには悩みがあった。
もちろん、ファウード復活の事ではない。
ファウード復活に必要な力は集まった。
中には一族に代々伝わる呪術を使い、オレの命を危険にさらしてまで集めた者もいた。
途中でトラブルも起きたが、何とか残り半日となった。
オレの悩みは、別の事だった。
事の発端は、オレの補佐役のザルチムが、昼食後に言った言葉がきっかけだった。
ザルチム
「なあ、リオウ。オマエ、料理作れるか?」
リオウ
「ん?」
ザルチムの質問は、案外簡単なモノだった。
リオウ
「料理?一応作れるが・・・なんでだ?」
ザルチムによると、このファウード内には料理を作れる者が少ないとの事だった。
もちろん、作れる者は1人いた。
チェリッシュだ。
彼女は女の子という事もあってか、今までずっと料理を担当してくれている。
彼女の作る料理は、とてもおいしかったのだ。
オレは、彼女にテッドという恋人がいると知って、テッドがうらやましいと思っていた。
だが、ザルチムは、ずっとチェリッシュの料理ばかり食べているので、いい加減飽きてしまったらしかった。
そんな事をもし彼女の前で言いでもしたら、彼女の最大呪文が飛んで来かねない。
リオウ
「オマエな・・・そんな事を言ったら、チェリッシュのディオガ・コファルドンが飛んで来かねないぞ・・・」
ザルチム
「ハハハ・・・でもしょうがないだろ。飽きちまったんだから。オレも料理ができるけど、オマエも誰か探してくれよ。」
ザルチムの言い分ももっともだ。
そんなワケで、オレは料理ができる者を探そうと、各部屋を回ってみる事にした。
まずオレが訪れたのは、ウォンレイの部屋だった。
リオウ
「ウォンレイ、入るぞ・・・」
オレはドアを開けようとしたが、その瞬間にやめた。
ウォンレイはパートナーのリィエンとラブラブで、ずっと彼女の面倒を見ている。
そんな彼に、料理を作れるかなどと頼めるワケがない。
リオウ
「他のヤツに聞こう・・・」
オレはウォンレイの部屋をあとにし、ロデュウの部屋に向かった。
リオウ
「ロデュウ、いるか?リオウだ。」
オレはドアをノックした。
ロデュウ
「リオウか?いるぞ。」
オレはドアを開け、部屋に入った。
リオウ
「ゲッ・・・」
部屋の中では、ロデュウのパートナー、チータがベッドでスヤスヤと寝ていた。
寝ていても仮面を外していないので少し怖いが、どこか寝顔はカワイかった。
リオウ
「チータ・・・寝てるのか・・・」
ロデュウ
「ああ・・・起こさないようにしてくれよ。で、オレに何の用だ?」
リオウ
「実は、料理が作れるかって事なんだが・・・」
ロデュウ
「料理か?チータに教わったから、少しくらいなら作れるぞ。」
リオウ
「そうか。それじゃ、夕食の時は頼むよ。」
ロデュウ
「料理って、確かチェリッシュがずっと作ってたんじゃなかったか?」
リオウ
「そうなんだが、ザルチムが飽きてしまってな・・・」
ロデュウ
「なんだ、そりゃ・・・」
ロデュウのオーケーをもらったオレは、次の部屋に向かった。
キース
「料理か?」
オレが次に訪れたのは、キースの部屋だった。
キース
「リオウ、この私を誰だと思っている?ベルンに会うまでは、日本料理店でバイトしてた身だぞ。」
リオウ
「え、そうなの?」
知らなかった。
キースがそんなバイトをしていたとは。
オレは少しうれしくなり、次の部屋に向かった。
リオウ
「ファンゴ、いるか?・・・って、え!?」
オレはファンゴの部屋をノックしようとして、ビクッとなった。
部屋のドアには、『昼寝中。起こすヤツは容赦なく焼く。ファンゴ』と書かれた札がかかっていた。
リオウ
「・・・」
オレは背筋が寒くなった。
『炎のファンゴ』の名で知られるファンゴの火力は、相当なモノだった。
そんな火力で焼かれたら、たまらない。
リオウ
「ファンゴが起きないうちに逃げよ・・・」
オレはそそくさと、ファンゴの部屋の前から逃げ出した。
ギャロン
「要するに、私に料理を作ってほしいという事だな?」
オレは次に、ギャロンの部屋を訪れていた。
ギャロン
「任せろ、リオウ。紳士たる者、料理の1つくらいできねば男がすたるわ!」
リオウ
「(そういうモンなのか・・・?)」
ギャロンの言葉に疑問を感じつつ、オレは次の部屋に向かった。
次に訪れたのは、ジェデュンの部屋だった。
ジェデュン
「料理?できるぜ。」
そう言いながら、ジェデュンはヘビをムシャムシャ食べている。
リオウ
「(共食いだろ、それ・・・)」
ジェデュンはヘビのような姿をしているヤツだったので、ヘビを食べているのはまさしく共食いとしかいえなかった。
ジェデュン
「といっても、ワニ料理しか作った事ないけどな・・・」
リオウ
「そうか。」
ないよりはマシだ。
オレはそう思い、ジェデュンの部屋を出た。
リオウ
「さて、次は誰に頼むか・・・」
チェリッシュ
「何を頼むの?」
リオウ
「うわぁ!?」
オレは背後から急に声をかけられたので、思わずこけてしまった。
リオウ
「チェ、チェリッシュ・・・」
チェリッシュ
「リオウ、何を頼むの?」
リオウ
「イヤ、それは・・・」
チェリッシュ
「まさか、料理の事じゃないでしょうね・・・」
リオウ
「ギクッ!!」
チェリッシュ
「どうして黙ってるの?何かしゃべってよ。」
リオウ
「イ、イヤ、オマエの料理が飽きたとかそんなんじゃなくてだな・・・」
チェリッシュ
「飽きた・・・?」
リオウ
「し、しまった!!」
チェリッシュ
「誰・・・?それを言ったのは・・・」
リオウ
「ザルチムです・・・」
チェリッシュ
「リオウ・・・一緒に来なさい。」
リオウ
「はい・・・」
オレは、チェリッシュに引きずっていかれた・・・
ドッガアアアアアン!!!
ザルチム
「うわあああ!!」
ザルチムの部屋のドアが吹っ飛び、チェリッシュが前に立っていた。
チェリッシュ
「ザ・ル・チ・ム・君〜?」
ザルチム
「ゲッ・・・ヤバい・・・」
リオウ
「ザルチム・・・スマン・・・」
チェリッシュ
「2人とも、お仕置きの時間ね。」
リオウ・ザルチム
「ひ・・・ひえ〜っ!!!」
オレとザルチムは、呪文なしのチェリッシュにボッコボコにされた・・・
そして、夕食の時間・・・
ウォンレイ・ロデュウ・キース・ファンゴ・ギャロン・ジェデュン・リーヤ
「ど、どうしたんだリオウ、ザルチム・・・?」
ロデュウ達が唖然とするのもムリはない。
リオウとザルチムは、ボロボロだったからだ。
リオウ
「あ・・・あれ・・・」
リオウが指さした方向に、ロデュウ達は向いて、やっと理由がわかった。
ウォンレイ・ロデュウ・キース・ファンゴ・ギャロン・ジェデュン・リーヤ
「な、なるほどね・・・」
チェリッシュ
「ルンルン♪ルンルン♪」
そこには、楽しそうに料理を作るチェリッシュの姿があった。
ロデュウ達は、ボロボロのリオウとザルチムの姿を見て、確信した。
もし、自分達がチェリッシュの悪口を言おうものなら、リオウとザルチムの二の舞どころか、地獄絵図になるだろうと・・・
そう考えた瞬間、ロデュウ達はふるえていた。
そして結局、夕食は全員が手伝い合って、全員の作った料理が並んだ。
ウォンレイ・ロデュウ−中華料理フルコース
キース・ファンゴ−天ぷらの盛り合わせ(もちろんイモ天つき)
ジェデュン・リーヤ−ワニ料理の盛り合わせ
ギャロン−刺身の盛り合わせ
チェリッシュ・リオウ・ザルチム−フランス料理フルコース(必然的にリオウとザルチムが手伝った)
早い話が、和食、洋食、中華のごちゃ混ぜである。
リィエン達パートナーと恵達もそろい、楽しい夕食になった。
そして数時間後、日の出と共にファウードは復活する事になる。
しかし、ファウード復活の前にこのような騒ぎがあった事など、ガッシュ達は誰も知らない・・・
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