そこから必死に逃げたが、あいつはどうやって見つけるのか…気がつくといつもすぐ近くまでやってくる。
だが、あと少しという所までは近づいては来るが、まだ俺を捕まえることは出来ないのか、それ以上は近寄りはしない。
だが、それがいつまで続くのか―――俺には分からない。
逃げるのに必死で、今何処を走っているのかさえわからなくなっていた。それでも逃げないと捕まる――うちなる声がそう言っている。
俺は汗をかきながらも走り続けた。どれくらい走ったか―――息が切れ、肩で大きく『ゼーゼー。』と息を吸っていると、またそれが近づいてくる。
俺はまいたと思っていただけに不気味に感じ、足がフラフラしながらもまた再び走るしかなかった。
「なんで俺ばっかり。」
愚痴っても今の状況は変わらない。俺はただ走り続けるしかなかった。
しかし、俺は気付いていなかった。
周りの景色が何もない事に――――。それからどれほどの時がたったのか、辺りは少し暗くなり始めていた。
今、唯一持っている少しの現金と、携帯を確認し、携帯の電源を入れたままにしていたことに気付いた。
「ヤバイ、ヤバイ。」
俺は慌てて電源を切ろうとしたが、画面にメールがきているマークが表示されているのに気付き、始めのうちは無視しようと思っていたが、興味深々でメールチェックをしようとボタンを押し続けた。メール画面を開き、中を開いた。―――はずなのに中には何も書かれておらず、真っ白だった。
「何だよ。これ…。誰だ?こんなの送ってくる奴は。」
アドレスを見たが、知らない相手だった。遊び友達が、遊び半分で適当に打ち込んだものと思い、思い当たるダチにメールを送った。
「ったく!ビビるじゃねーか。タイミングよすぎだってーの!」
独り言をブツブツ言いながら打ち込んだメールを送り、返事を待った。
しかし、こう言う時に限ってなかなか返事は来ない。
俺はそれでもイライラしながら待った。それから数分が過ぎ、電話が鳴った。
「何だよ!変なメールいきなり送ってきてよう。今何時だと思ってるんだ?夜中の三時だぜ!三時。」
「あの変なメール送ってきたのはお前じゃねーのか?」
「おれじゃねーよ。」相手は眠りを邪魔されて怒りながらそのまま電話を切ってしまった。それから数分が過ぎ、電話が鳴った。
俺はさっきの友達が電話をかけてきたのだと思い、受話器のボタンを押した。
「おい、やっぱりさっきのはお前だったんだろ?」
「・・・・・・・。」
相手はどうやら違うようだ。
無言で何も喋ってはこない。
俺は何か嫌なものを感じた。こう、・・・3Dのリアルなお化け屋敷で恐怖したそれと感じはにている。背筋がゾクゾクしたのだ。
「おい、誰だよ。・・・・なんか言えよ!」
「・・・・・・・。」
それでも相手は何も話そうとはしないのか相手の受話器の方からは何も聞こえてこない。――普通は何かしらの音を拾うのだが、それさえも拾ってはこなかった。
「ったく、誰か知らないが、いたずらはやめろよな!」
俺はそれだけ言うと相手の返事を待たずに電話を切った。また、携帯が鳴った。
今度はメールのようだ。
俺は気になりながらもどうしようか少しためらった。どうも何か変な気がしてならない。しかし、気になるその誘惑には勝てず、メールを開けた。
死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死
携帯の画面いっぱいに同じ一文字が書かれていた。
俺はなんか怖くなってきた。
おかしい。これは遊びじゃない。誰だ?何で俺にこんなメールを送ってくる?
誰だ?誰だ?誰だ?――
俺にはさっぱり分からなかった。心当たりもない。
体がガタガタと震えだした。
また、携帯が鳴った。
俺は怖くなった。だが、指が動いてまた入ってきたメールを開けた。
「さぁ、私と行きましょう。楽しい場所へ。
死の世界へ
死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 死 」
「うっ、うわーーーーー!」
「可哀相にね〜。まだ20代って言うじゃない。」
「「ホント、ひどい死に方よね〜。」
「どうやったらこんなひどい死に方するのかしら。」
「ホントよね。」
野次馬根性丸出しの50代の主婦達は、事故現場の周りに集まっていた。
その場所は見通しの良い広い道路。
そして、被害者は恐怖で顔を凍りつかせ、トラックと電柱にはさまれ死亡していた。
何かから逃げるように走っていたのは誰も知らない。その為、横向きではさまれ、内臓は破裂し、体が半分千切れていた。腹部をパックリと空けていたのだ。そのあまりの光景に、見た一般人も、警察もみな気分が悪くなった。
そして、トラックの運転手は居眠り運転をしていた事が後に分かった。
クスクスクス。
クスクスクス。
ねえねえ、あなたも私と一緒に来る?
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