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魔術学院3年目
089 星暦551年 赤の月 19日 武具
思ったより呪のかかった武具が多かった。
そういうものなのか、それともガイフォード家がそう言う変なモノに魅力を感じてしまう変人が多いのか。

どちらなんだろ?

◆◆◆


またバカでかいガイフォード家の本邸に来ていた。

「こちらから依頼しておいて悪いのだが、この肖像画の術は解除しなくていいということになった。
実は、一族の中でもリタイアした人間はこれのことを教えられていて、転居を望む場合にはちゃんと資金援助をしていたらしい。こないだエランが被害に会ったのは想定外のアクシデントだったんだそうだ。」
ダレンが苦笑いしながら説明してくれた。

「そうですか。ま、納得した人間のみが関与しているんでしたら別に良いんでしょうね。」
俺としてはそんなことよりも、断るだけだったら何だって俺をここまで呼びつけてきたのか気になるところだ。

「今日来てもらったのは、呪の解除できる人間が折角みつかったということで、ついでに幾つか保管されている怪しい武器やら防具をちょっと見てもらいたいんだ。」

なるほど。
怪しげな美術品や家具をこの一族が買うのはイメージと合わないと思っていたが、武具関係だったらあるかもしれないな。
「分かりました。ちなみに、長が何を言ったか知りませんが本当の呪いは解けませんからね。俺は術として掛けられたものしか解除できません。」

ダレンが頷く。
「怨念が呪いになったような物は神殿に持っていく他、手がないのは分かっている。そこまでいかない、微妙な物が幾つかあるんでな、見てもらいたいんだ。」

とは言ってもねぇ。
武具って八つ当たりとか防犯対策が掛けられるケースよりも怨念が籠って呪いになるケースの方が多いんだけど。
ま、頑張りますか。


怪しい武具はうっかり着用されないよう、別の部屋に保管されていた。
まずは、武器から。武器は呪い系が多いんだよね。疲れる前に見極めておいた方がいい。
呪いのかかった武器を下手に触ってこちらまで呪われたら厄介だ。
慎重に心眼サイトで眼の前に置かれた3つの剣を観察する。

一つは・・・呪われていた。
ぱっと見にはどうと言うことのない魔法剣のように視えるが、奥深くには寒気がするほどの憎悪が刻み込まれている感じがする。

もう一つは呪術がかかっているようだった。少しずつ仕様者の生命力を吸い取るタイプだ。
生命力を吸い取って切れ味を上げたり魔術の付加効果を高める剣は偶にあるが、これは単に吸い取って放出してしまっている。
誰かの嫌がらせかね?

術の流れを見極め、一番重要かつ弱いところの魔力の流れを断ち切った。

最後の剣は・・・何も特になかった。
「全然魔力がかかっていませんが・・・なんでここに保管されているんです?」

ダレンがお手上げと言うように肩をすくめてみせた。
「俺も魔力が視えなかったんだが・・・確かにその剣、おかしい感じがするんだよ。」

ふうん?
魔力も呪いも無いのに変な感じがする剣ねぇ。
心眼サイトで魔力ではなく、物理的な剣の構造を調べてみる。
剣の中心はまっすぐだし、どこにも捻じれは無い。
握りのところも普通になっているし・・・あれ?
柄頭が微妙に変だな。

柄頭を外し、手に持ってみる。
「手がこんだ嫌がらせですね・・・。この柄頭、中が一部空洞になってそこに水銀か何か、重い液体が入っています。」

ダレンが柄頭を外した剣を手に持って振ってみる。
俺から柄頭を受け取り、それを軽く嵌めこんでからもう一度振った。

「なるほどな。動かさなければ重心がずれているように感じられないが、現実に戦う為に剣を振り回したら水銀の慣性のせいで動きが微妙に狂う。ある意味、魔術よりも嫌な仕組みだな。」

「ですね。誰がそんなものを作ったのか、興味があるところですが。」

「戦場に行く兄に弟が作って贈ったモノらしい。」
ダレンが苦笑いしながら答えた。

「うわ、その弟さんがダレンの先祖だったりします?」
ちょっと気まずい?

「いや、幸い俺の先祖は剣よりも槍を好む戦士だったらしくてな。無事帰ってきた。」

そりゃ良かった。武芸を重視するこの家系で、自分の先祖が武器をサボタージュして兄弟を殺すような人間だと知るのは嫌だろう。

防具の方は・・・4つの内3つには呪術が掛けられていて、一つは呪いがかかっていた。
武器に殺された人間の怨念が染み込んで呪いがかかるというのは時々聞く話だが、防具が呪われるって・・・一体何をしたんだ、これの持ち主は。

とりあえず、呪いが付いた物には触らず、残りの三つのを解除してダレンの方を向く。
「この3つとあちらの剣は変な術がかかっていたので解除しました。この剣とこの兜は呪われているので神殿に持っていくか破棄させるかした方がいいと思います。」

ダレンが頷きながら呪を解除した防具に触る。
「見事なモノだな、ありがとう。確かに長が自慢するだけある。」

「どういたしまして。」





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