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なろうテンプレの中身はなろうで生まれた物じゃないからね!?

ネット小説の歴史、みたいな物も載せてます。私が知る限りは投入したつもりですので、そっちもぜひ。
2016/06/12 年表に最新の情報を追記
 最近、なろうの流行がなろうテンプレって名前で呼ばれる様になったんだって。ちょっと調べてみよう。

 うんうん、色々な人が研究してる。批判もあれば賞賛もあって、いいじゃんいいじゃ……あれ? なんか……なろうテンプレが形になる前、なろうが投稿サイト一強になる前の話をしている人が少ない、様な?

 少ないなら書けばいい。そうだ。私の知る範囲でネット小説、とりわけ二次創作小説(俗称:SS)という物を振り返って、それがなろうテンプレにどんな影響を与えたのか、そもそもなろうテンプレはどこから生まれたのかを語ろう。
 そんなノリでこの話は始まる訳です。



 何故、今更こんな物を書いたのか……割と多くの人が、なろう以前のネット小説(特になろうに近しい文化にあったもの)をあまり知らないんじゃないかなぁ、と思う訳で。
 なろうテンプレがなろうテンプレになったのは足跡を辿れば十分に理解できる土壌がある。ので、そこを分かった上でなろうテンプレへの批判なり賞賛なりを強めて欲しいんですね。



 ……だってみんな作品論とか、なろうテンプレの是非は話すけど、理想郷とか、エヴァFFとかスパシンとかザザーンとかアンチ・ヘイトとかニコポ・ナデポとか転生トラックの影響の話は殆どしないんだもん!
 みんな、なろうに出会うまでは真面目にライトノベルなり一般文芸なりを読んできた、ネット小説とは無縁の人達だったんじゃないかと思いたくなります。

 ……それが健全だって?まあうん。





 とはいえ、今回はそんな方々に向けて、
「なろうテンプレはなろう固有の物だけど、その中身はなろうで初めて発生した現象でもないからね! それ以前に色々とテンプレ的なものがあったんだからね!」という叫び声を聞かせたいです。






【なろうテンプレの中身はなろうで生まれた物じゃないからね!・テンプレ要素編】



 『一つ目、よくテンプレと言われる転移・転生物』

 これは二次創作で大流行したジャンルです。にじファン現役時代には神様転生が随分と多かったですね。
 この、何かの形で死ぬ→神様に転生させて貰えるという流れ自体は実はそこまで古くないのです。しかし、類似の物はかなり前からあります。

 SSの中では「原作キャラを超強化したり別人レベルに人格を改造して他の原作の世界へ送り込む」というジャンル、または「パワーバランスが合わない、強い設定の世界のキャラを弱い方の世界へ送り込むクロスオーバー」などのジャンルが勢力を持っていました。例えば、星々を軽く破壊する規模のバトルをする作品のキャラを、建物が倒壊する程度のバトル物の作品に登場させる、などですね。
 どれくらい人気だったかと言うと、これらを揶揄する表現として、そのキャラクターの名前をローマ字表記にされる程度には流行がありました。今でも有名なものでは、Fateの主人公を拡大解釈やチート能力の付加によって魔改造したSHIROUなどが挙げられます。他にもU-1、YOKOSHIMAなどが有名ですね。

 そんなキャラクターが異世界へ行く理由付けとして、何か超常的な存在の力で異世界or過去へ行く、という流れがあった訳です。生死問わず、彼らは異世界へ飛ばされ、その先々で優れたスペックを発揮し、読者を楽しませていました。

 この流れは、SSの世界ではインターネット黎明期から存在しました。
 何を隠そう、日本一知名度の高いオタク向けアニメ、「新世紀エヴァンゲリオン」のSSです。
 悲劇的ラストから、主人公の碇シンジが超常的な力を得たり、力を持っている存在の手を借りて過去へ行き、未来知識や異常に強化された精神で無双する作品が多く、気に入らないキャラを叩くなどの描写が多く見られました。
 当時、ハーレムはまだ定着していなかったのですが、代わりに主人公は多くのキャラに高く評価されました。

 その少し後に流行した「機動戦艦ナデシコ」のSSでは、原作にボソンジャンプ(ワープ)という、とても便利な代物があったので、よく使われているギミックでした。
 随分と後になりますが、流行した「ゼロの使い魔」などに至っては、ヒロインであるルイズの召喚魔法で異世界トリップ+能力付加です。分かり易いですね。


 つまり、神様ではなくとも、「何かの超能力なりで異世界か過去に行く」という形は、この時既に完成していたと言えるでしょう。






 『二つ、二次創作においてのオリジナル主人公』

 オリキャラにして主人公、それがオリジナル主人公、略してオリ主です。
 いわゆる現実から転移する場合は、殆どが原作を知っていて、原作のストーリーも分かる。チート能力を与えられ、原作の展開に先回りをする事もある。そしてチート能力で無双もする。大抵の場合は無自覚鈍感ですが、ハーレムも作る。そんな主人公。

 実は、オリキャラが主人公になったのは結構最近の話です。といっても、もう七年か八年になるでしょうか。それ以前は、前述した様な「魔改造キャラ」がこの立場にいました。
 ここでも「ゼロの使い魔」は強い影響を与えています。原作において、ヒロインであるルイズに召喚された主人公は、使い魔としての契約を受ける事で、ある特殊能力を与えられます。
 それはチートと言う程強烈な力ではありませんでしたが、十分に強い物でした。そして、ここが重要なのですが、この場合は、ヒロインが能力を与えるのですから、主人公が別人であっても問題はないのです。

 つまり、主人公を別人に、オリジナルキャラ、魔改造他作品キャラ、色々な物に置き換えて話を展開する作品が非常に広まりました。
 異世界にトリップして力を与えられる。そんな流れが、「ゼロの使い魔」にはあったのです。

 この、オリ主の登場は今の神様転生に大きな影響を与えました。
 先に書いた通り、神様転生は比較的最近のジャンルです。では神様転生が流行した理由を書けば、それは簡単な話で、このオリ主が原作世界へ行く理由となったからです。
 オリ主は基本的に現実世界の存在なので、超常的存在の保護などはない場合が多く、転移・転生の理由、チート能力を手にする理由として、神が選ばれたという訳です。





 『三つ、その他の展開、ゼロの使い魔の影響は大きいねという話』

 なろうテンプレ物で、チート能力と並んで見慣れた物は何か?
 悪役令嬢? VRMMOでしょうか?

 私の場合は内政です。
 現代知識を生かして、遅れている文明で他に圧倒的な差をつける。これの源流は遡ると私が知る物に限っても百年単位になるので割愛して、ネット上での物で、かつて最も勢力が大きかった物を挙げます、ずばり「ゼロの使い魔」です。
 流行していた二次創作の中で、ゼロの使い魔は最も中世ヨーロッパをイメージした世界観でした。
 魔法がある割には、貴族は魔法を産業発展には使わず産業は中世レベル、更には格差社会など、現代人から見て多くの問題を抱えていました。そこで、産業革命や、農業革命を起こすオリ主が多く現れました。
 それらは多くが転生して貴族の家に生まれたオリ主であり、彼らは貴族として多くの施政を行って多くの貴族に差をつけ、暮らしを便利にしたり、法律を改訂するなどで平民に支持される存在となりました。また、弱い立場に晒された女性を助け、彼女達と結婚しました。

 ……今の内政物にそっくりではありませんか?

 更に言えば、ゼロの使い魔のSSの中には、貴族の令嬢に転生するもの、魔法使いとして成りあがる物、沢山の無双物がありました。平たく言えば、今のなろうで人気の要素は殆ど詰まっていたのです。






 『四つ、俺TUEEE!』

 二次創作小説とは切っても切れない関係にある言葉、それが俺TUEEE!
 つまり、主人公がほぼ最強無敵の存在、能力とは関係無く、ストーリー的な意味で強靭無敵最強な作品の事をほぼ指します。

 散々書いていますがこれは本当に人気なジャンルで、現在ではPixivなどに多い、原作キャラの掛け合いを楽しむ短編とは正反対の位置で大きな勢力となっていました。
 特に、新世紀エヴァンゲリオン、機動戦艦ナデシコ、魔法少女リリカルなのは、ゼロの使い魔、魔法先生ネギま!、Fate/stay night、Muv-Luvなどは、沢山の他作品キャラとのクロスオーバー、または原作を知っている現実のオリ主が投入されて、それを読者は親しみ楽しみました。

 かつて存在した多くの二次創作小説投稿サイトが幾つかの閉鎖を経てもなおその人気は衰えず、もちろん今だって、この俺TUEEE小説は人気です。
 かつては「トラックに轢かれ、神様に謝られ、チート能力を手にして、転生後はイケメンだったりする主人公」が多かったですね。

 このタイプの作品に言える一つの特徴として、「原作沿いが多い」という物が有ります。
 原作沿いとはつまり、主人公がどれほど無双し、どれほどキャラを惚れさせても原作の展開は変わらず、原作の流れに沿ってストーリーが展開する、という状態を指します。
 少なくとも中盤までの展開は保証されているのだから作者は書きやすく、読者もそれを親しんでいたのです。

 これを理解できない、という方に分かり易く言うと、寝る前の妄想です。原作で目の前にある問題を解決するスーパーマンを想像して楽しむ。その瞬間の事を想像して楽しむでのあって、ストーリーの変化は考えない。それが楽しいんです。
 それを繰り返す事で、原作の魅力的なキャラに好かれ、嫌いな展開を打破できる。

 結果として、SS原作もアニメもそれどころかネタバレサイトすら見ていないのに、原作数巻相当のストーリーを空で言える、という状況になりました。

 原作が共通のイメージとなっていたのです。

 例えば、ゼロの使い魔は
 主人公が異世界の魔法学校に召喚され、ヒロインの使い魔になり、決闘騒ぎを起こし、ヒロインとの契約で貰った力で貴族に勝ち、喋る剣を買ってもらい、学校に盗賊が現れ、その盗賊の正体は(ネタバレ防止)で、その盗賊が盗んだ、地球から迷い混んだロケランで盗賊を倒す。

 これがゼロの使い魔、一巻のおおよその流れです。
 この調子で数巻はダイジェストどころか、幾つかの会話シーンも思い浮かべられます。サブヒロインの外伝作品も含めて、です。

 そして私はゼロの使い魔に関する、あらゆる公式媒体の作品を見た事もなければ、聞いた事もないのです。


 そこから何が生まれて来るかと言えば「二次創作だけを見て書いた作者」の登場です。
 彼らは別に原作をよく知る訳ではありませんし、それどころかアニメも見ていません。なのに作品は書ける。
 何故? 二次を読んで、自分も書こうと思ったから。それが更に拡散し、原作を全く知らない作者の作品を読んで、また新しい作者が原作を知らないままに作品を投稿するのです。
 結果、共通のワードで、結果的に共通の展開を作り上げる文化が出来上がったのです。







 『五つ、テンプレ的な展開が一次創作(オリジナル作品)に適用されるのか?』

 なろうテンプレ作品は、一次創作、つまりオリジナル作品です。原作が存在しないので本来はオリ主物にはなりません。なる筈も有りません。
 でも現実には、二次創作小説が長年作り上げてきたテンプレと非常に近い物となり、同じ様に人気となり、同じ様に叩く人もいる。

 とすれば、なろうテンプレ作品は「利用者の間で集合的に作られたイメージ上の原作を念頭に置いて作られている」と考えれば自然ではないでしょうか。
 色々な外殻は違っても、大きな流れはさほど変わらない。というのは、SSでいう「原作沿い」に近い物があるからです。

 そんなわけあるか、と思う人も居るかもしれません。しかし、なろうテンプレと言われて頭に大体のストーリーが思い浮かぶ人は多いでしょう。


 それが、「共通のイメージとしての原作」ではないかと、私は思うのです。











【なろうテンプレの中身はなろうで生まれた物じゃないからね!:にじファン流入とArcadiaの事】

 ここまで、二次創作上で作られてきたテンプレが今のなろうテンプレと≒である、という話をしました。
 では、そもそも「二次創作上のテンプレ」をなろうに流したのは何だったか。
 アーカイヴを漁ってみると、大体2008年辺りの小説化になろうの累計ランキングは、今とは全く違う雰囲気でした。
 ではどうして、なろうテンプレという物が成立しうる土壌が小説家になろうで生まれたのでしょうか?
 もちろん、2009年頃の劣等生の影響、または今でいう累計上位作品の影響。それらはもちろん無視できない物です。当時には既に主人公が極端に強い作品が上位に君臨している事もあり、2009年辺りには既になろうテンプレの開祖達が存在したと言えるでしょう。

 異世界物という作品が受け入れられる土壌は、この時期の小説家になろうで既に存在しました。では、なろうにテンプレ主人公という概念を持ち込んだのは誰か?

 ここで私は、同時期に小説家になろう内部の二次創作コーナーである、かつての「NOS」または後の「にじファン」が、それまでの最大手投稿サイトだった理想郷こと「Arcadia」を勢力で上回った事が要因の一つである、という説を提唱します。

 当時のArcadiaは、いわゆる俺TUEEEなSSのテンプレというテンプレがあらかた読み尽された地でした。
「アンチテンプレのテンプレ」すら読み飽きられた結果として、住人はテンプレ的ではない物を求める様になり、規約的にも空気としても読者の力が強かった(具体的には、「作者はプロ意識を持ってください」「作品と読者の感想に責任を持ってください」などの規約がある)事もあって、感想は尋常ではなく厳しい物でした。
 チート物は強いオリジナリティがなければ連載を許さない、テンプレを書こう物ならサイトから追い出すまで叩く、くらいの空気だったと言えば分かり易いでしょうか。

 しかし、そんなArcadiaだって、全盛期は「二次創作におけるチートな主人公のテンプレ」作品が溢れかえっていました。
 それが飽きられ、強烈な面白さやテンプレ廃絶を求められる様になった事で、そういった作品を求める読者達も、書きたい作者達もにじファンへ移行しました。

 小説家になろうは2009年で既に異世界トリップ型のファンタジーが比較的好まれていました。そこに二次創作のテンプレが飛び込めば、どうなるでしょう?

 ほぼ当時から完成されていた「二次創作におけるチートな主人公のテンプレ」は、ここで二次創作を介して小説家になろうへ浸透したと、私は考えております。
 もちろん、にじファンは2012年前半で消滅しており、今は存在しません。ですが、この二次創作の空気が小説家になろうの空気を変えました。与えた影響はかなり強烈な物だと言えるでしょう。
 にじファン無き後も残された空気は、小説家になろうで醸造され、今のなろうテンプレが生まれたのではないでしょうか。

 ……なお、当時のArcadiaに残った作品の中で人気だったオリジナル作品というと、独特な要素の強い「オーバーロード」や「幼女戦記」であり「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」です。
 どれも最終的には移動しましたが、にじファン流行期にはまだArcadiaで連載が行われていました。
 ちなみに「ソード・アート・オンライン」の作者デビュー作「アクセル・ワールド」も、「超絶加速バーストリンカー」として、かつて2008年頃にArcadiaで連載されていました。そういう作品が集まる比較的大規模なサイトが存在したのです。


 【締めに】

 なろうテンプレは悪!いやなろうテンプレは良い物だ!

 色々と意見はあると思います。
 でも、一つ知っておいて欲しいのです。今、皆さんが異世界転生・異世界転移・チート能力・ハーレム・親の顔ほど見た展開、つまり、なろうテンプレと読んでいる物の大本はネット小説の世界では名を変え品を変え、巨大勢力として生き続けている物なのです。

 なろうが特別なのではなく、小説投稿サイトとして多くのジャンルの受け入れ先となると、人気の作品が俺TUEEEに偏りがちなのは、過去の二次創作小説の投稿サイトを見ても明らかなのです。
 擁護も賞賛もしません。ただ、テンプレ批判でよく言われる様なチートやハーレム・異世界トリップ物が好まれるサイトが最大勢力となるのは、それなりに自然ではあるのです。
 現状の小説家になろうをどう考えるのかは、皆さまにお任せします。

 沢山の事をするファン活動の中でも極北に当たる、「原作に入り込んで超パワーで無双しながら原作キャラを惚れさせてハーレムを作る」作品群。
 そんなジャンルの愛好者が集まっている世界が確かに存在するのだと、なろうテンプレが嫌いな人にも好きな人にも知っておいてほしい。
 元々からあった二次創作小説の業界と小説家になろうのオリジナル作品が融合した結果、なろうテンプレと呼ばれる物が今ここにあるのではないだろうか、なんて。

 そんな言葉で、今回の話は終了させていただきます。











 最後に、ネット小説の発展の流れをおまけで。


 1980年代~1995年?【インターネットが一部のオタクの物だった時代】
 いわゆるパソコン通信時代。BBSの発展期。
 通信容量の問題で、自然と創作物が小説に偏りがちだったらしい。後は、コミケや雑誌で配布されるプログラムを手打ちする、またはフロッピーで配る形でのゲームか。
 この時代のサブカルに位置するアニメと言えば、現代も語り継がれる『機動戦士ガンダム』。ジブリもまだまだ国民的ではなかった時代。


 1995年?~2000年代初期【インターネットが主にオタクと企業の物だった時代】
 動画を使うにはまるで通信容量の少なかった時代、個人サイト・または手動掲載の投稿サイトにて、ネット小説が流行する。作品捜索は個人サイトのリンクや、ファンサイトのサーチエンジンを使用する必要が有った。
 ネット小説では、『エヴァンゲリオン』や『機動戦艦ナデシコ』などの二次創作が強かった。『Kanon』もあったかな?
 最後期にはアルファポリスが創設。小説家になろうでも早い時期から書籍化を行う。数で言えば現在でも書籍化の最大手。

 【その他のネットサブカル】
 2ch誕生時期。
 アニメ代表は『エヴァンゲリオン』。まさに90年代後半の代表にしてアニメ文化の分岐点。最強すぎる。


 2000年代初期~2005年【インターネットがオタクと企業の物から家庭の物に移っていく時代】
 まだ個人サイト絶頂期。キリバン踏み逃げ禁止とか懐かしいね。
 リンク検索や、登録制のサーチエンジンという形で、作品が方々に散っていた。現在でも稼働している投稿サイトでは「シルフェニア」などがある。
 二次創作とは異なる文化で、オリジナル作品がほんの幾らかだが出版社の拾い上げで書籍化される。例外は、二次創作なのに何故かオリジナル化して書籍となった『錬金術師ゲンドウ』こと『福音の少年』。
 後半には投稿されれば自動で掲載する、システムとしての投稿サイトが開設されはじめる。代表はもちろん「Arcadia」。現在でも作品が増えている「東方創想話」(東方project専門・数少ない非オリキャラ・Not俺TUEEEが主力のサイトで有名)もこの時期。他には、「Night Talker」などが有名か。
 『ニンジャスレイヤー』翻訳(ほんやく?)計画始動。本格連載の約10年前である。彼らは狂っていた。
 小説家になろう開設。
 市川拓司氏がネット小説『Separation〜きみが還る場所』でアルファポリスにてプロデビュー。後の『いま、会いにゆきます』でメガヒットを飛ばす事となる。
 第一次ケータイ小説ブーム(2002~2005)。文化的には女性向けコミュに根差している為、二次創作小説とは評価対象が完全に違う。文体もケータイに合わせて独特な物へと変化した。
 夢小説やBL二次がとてつもなく探し難かった時代。他サイトでの紹介禁止やアクセス規制、会員制など、完全に閉鎖されたコミュニティ内で完結しているサイトも多くあった。

 【その他のネットサブカル】
 チャット文化全盛期。
 FLASH全盛期。面白フラッシュリンクとか覚えてる?
 ネット小説(?)で言えば、『電車男』の書籍化。2chの存在が一般に広く知れ渡り、2ch内部は電車男以降の世代と以前の世代による確執で荒れた。
 アマチュア作品で言えば、著名なFLASHアニメが商業に進出している。
 当時のアニメ代表で最大の物は良くも悪くも『ガンダムSEED』か。『スクライド』『攻殻機動隊SAC』など根強いファンの多い作品も。
 『Fate』『ゼロ魔』『ネギま!』『リリカルなのは』などが光を浴びた時期でもある。


 2006年~2010年【インターネットが家庭の物から個人の物に移っていく時代】
 手動での投稿サイトが相次いで過疎・閉鎖され、ネギま!専門の「投稿図書」などの新たなサイトが幾つも開設される。ある意味でのネット小説投稿サイト全盛期。書籍化という新しい流れが生まれる時期。
 2chにゼロ魔クロスオーバー専用スレ「あの作品のキャラがルイズに召喚されました」が立つ。現在も稼働中。
 後半には、数個の大規模投稿サイトに住人が集結する様になり、大半のサイトが閉鎖される。
 第二次ケータイ小説ブーム(2006~2007)
 「pixiv」の誕生。後に小説投稿可能に。文化的にはイラストコミュニティから成立した物であり、二次創作小説のタイプが他の投稿サイトとは明確に異なっている。小説としてはボーイズラブ系統の作品が多い。
 小説家になろうにおいて、2009年には『魔法科高校の劣等生』が投稿開始される。アルファポリスの躍進もあり、この頃から、次第に書籍化という単語が現実味を帯びて来る。

 【その他のネットサブカル】
 「ニコニコ動画」の誕生。最終的には日本中のサブカルが集まる地へ進化
 Youtube系の動画サイトが完全な形でFlash文化に取って代わる。
 アニメ代表作は『ハルヒ』『禁書』『らきすた』などなど多数。今まで残っている作品も当然多い。
 ネット小説的には、2010年の『ログ・ホライズン』が代表か。


 2011年~2015年【インターネットが完全に個人の物となった時代】
 小説家になろう発展期。つまりほぼ今。
 小説家になろうの書籍化作品でヒット作、『魔法科高校の劣等生』が生まれ、一躍人気サイトに。
 Arcadiaが更新途絶。数は減ったが、作品投稿は続いた。が、突然の数週間に及ぶサーバーダウンによって人気なオリジナル作品がなろうに、二次創作がハーメルンに移住してしまい、一気に衰退する。
 書籍化作品がアニメ化、ネット小説専門レーベルの開設など絶好調。
 にじファンが閉鎖され、その後継となる幾つかの二次創作小説投稿サイトが開設される。特に、明確ににじファンの後継となった『ハーメルン』はArcadiaの利用者も取り込み、男性向け小説サイトではなろうに次ぐ勢力を持った。また、一つの原作の二次創作を専門とする投稿サイトは殆どが消滅した。
 SS速報VIP開設。台本形式が主流。利用者の数に反して、実は俺TUEEEがさほど強くない、稀有な二次創作投稿の場でもある。台本形式なので、エヴァFFの系譜とは少し遠い存在。非オリキャラ重視で原作のサイドストーリーが多く、方向性はPixivの二次作品に近いが、あちらより男性向け・ネタが多い。私も禁書の二次で好きなのがあって……
 Twitterから『ニンジャスレイヤー』が、なろうからは『オーバーロード』、『魔法科高校の劣等生』、『君の膵臓をたべたい』、などなどが、2chからは『まおゆう』など、確認できる限りでも400以上の作品がネットから輩出される。

 【その他のネットサブカル】
 スマートフォン利用者拡大が大爆発し、ケータイ文化がスマホ文化にとって変わられる。
 アマチュアがファンを獲得する時代になる。ゲームでは『ゆめにっき』や『青鬼』(両方ともノベライズあり)を筆頭に、アマチュア製作の創作物やアマチュアの有名人、いわゆるYoutuber等が次々と商業進出を果たす。
 アニメ代表作は前半で『魔法少女まどか☆マギカ』が一時代を作る勢いとなり、後半で『進撃の巨人』、『ラブライブ!』がヒットした。


 2016年~
 小説家になろう全盛期? つまり今
 KADOKAWA主導の小説投稿サイト、「カクヨム」開設。最初から小説特化で企業主導、二次創作可能なサイトは恐らく初の試み。……が、サイトの不親切設計により読者が寄り付かず、なろうに対する一大勢力とは今の所行っていない。
 小説家になろうのジャンル再編成、また、作品のダイジェスト化の禁止が行われる。ダイジェスト化を行っていたアルファポリスとの関係が危ぶまれる所
 代表作は……劇場版ガルパン? あるいは実写だが、庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』かもしれない。
 ネット小説の歴史については、さらに詳細な語り口の方が他にいらっしゃいます。なろう外の個人サイトなのでURLは出しませんが、「ネット小説史」で検索すればすぐに出てきます。
 また、今回の話題とは別に、ネット小説、特になろう系について理解を深めたい方は「ウェブ小説の衝撃」という書籍がおすすめです。



 ※今回の話では二次創作を中心としている為に、一次創作、オリジナル作品についてはほぼ言及しておりません。ただ一つ言えるのは、インターネット上で連載されていた作品を書籍にするのは、なろうとは文化的にかけ離れたケータイ小説を除けば、当時は数少ない、珍しい物だった事です。
 そして、今の様なテンプレという物は、二次創作の影響を受けるサイト以外ではあまり存在しませんでした。小説家になろうは二次創作も強いサイトだったのです。

 ※夢小説もそこそこに知っていますが、今回は書きませんでした。異世界トリップはこちらの方が圧倒的に強かったので関連性は疑われますが、コミュニティ的には離れているので今回は対象外です。

 ※台本形式はSS速報VIP創設以前の文化を殆ど知らないので除外しました。雰囲気的には、イラスト主体の二次創作サイトがそうである様に原作ifやサイドストーリーが好まれる傾向が強い場所ですが、その方向性はどこから来たのか知りたいです。誰か知っていたら教えてください。

 ※全ての二次創作小説が俺TUEEEだった訳ではありません。確かに俺TUEEEのコミュニティは大きなものでしたが、そうではない物も沢山あり、また別のコミュニティで集まっていました。
 ディープなファンが集まるコミュニティほど俺TUEEEは評価されにくくなる傾向があると思います。逆に、複数の原作を扱ったりする、原作を名前しか知らない読者なども利用するタイプの大型コミュニティは俺TUEEEが評価されやすい傾向が強いですね。
 例えば、Arcadiaやにじファンがチートオリキャラ無双だった頃、東方projectの歴史あるファンサイトで有名なクーリエ内にある小説投稿コーナー「東方創想話」では、オリキャラはモブですら殆ど見れない物で、クロスオーバーもかなり叩かれがちでした。
 一口にネット小説と言っても、土壌が違えば評価対象も違うという事です。
 なろうテンプレに問題があるとすれば、テンプレ的ではない、二次創作との合流前にあったオリジナル小説の文化が二次創作のそれと比べれば小規模すぎて、自然となろうが受け入れ先にならざるを得ない点。
 そして、なろうが別個のコミュニティに所属する住民を受け止めきれるだけのシステムを持たない事でしょう。
 ニコニコの幻想入り動画や、2chのやる夫SS、夢小説などにも言える事ですが、TUEEE系の作品はウケやすく作られやすい(ネタにもされやすい)ので、別なコミュニティを作って住み分けをしない限りは殆どの場合が一強のままです。

 別に、なろうテンプレ自体には悪性がある訳ではないと思うんですよ。
 実際の所それらはエンタメとして楽しい要素はたくさんあって、実はなろう系という括りに入れれば多様性だって保たれてはいると思うんです。書籍化した作品の中にも色々とありますしね。
 最大級の問題は、それ以外のジャンルがあまりにも貧弱すぎる所なんです。
 じゃあそれ以外のジャンルが悪いのかと言えばそうでもない。じゃあなろうテンプレに合わせられない作者や読者が悪いのかと言えばやっぱり違う。
 単にジャンルの間口が狭すぎるのです。

 確かにネット小説自体は大きくなりました。
 しかし、ジャンルの広がりが恐ろしく小さい。
 ネット小説から書籍化!という言葉だけが大きくなって、現実には一ジャンルが牛耳ってしまっている。
 多様な客層を飲み込めるだけの状況が、まだネット小説というジャンル自体に存在しないのです。

 別に、非テンプレはテンプレに対して優遇を!みたいな逆差別をしろという事ではなくて、本当ならこれだけ大きいサイトにもなれば多くの考え方や趣味嗜好のユーザーが現れ、ニッチなジャンルは自然とニッチなジャンルで固まってそれなりに上手く回していくと思うのですが、それがない。
 もっと言い切ってしまえば、世の中のアニメやラノベオタクの総数が増えたからネット小説ユーザーの人口が増えただけで、今よりその手のオタクが少なかった時代と中身は変わってないのです。
 今も昔も、「なろうテンプレ」に見られる様な表現と、それを忌み嫌う人達はそのジャンルの中で多く存在しましたし、これからも存在し続けるでしょう。
 ただ、せっかくここまで大きくなったのです。ここらでもっと広い客層に手を伸ばせる様なサイトが生まれてもいいのかな、と思います。



 ※にじファン・NOSにSSの中心が移行した正確な時期を知っている方がいたら教えてください。私の体感では2011年後半くらいですが違うかもしれません。オリ主物がクロスオーバー主人公に勢力で上回った時期も、覚えている方がいたらお願いします。


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