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掌編小説集7 (301話~350話)

いつものアレ

作者: 蹴沢缶九郎

「ん? おかしいな、壊れてしまったのかな…。動かない…。仕方ないな…、おーい母さん、新しい『アレ』を持ってきてくれ」


そう促された母親は、地下倉庫に新しい『アレ』を取りに行き、父親に渡した。


「そうそう、これこれ。これさえあれば…」


父親は『アレ』の、ボタンを押す順番と回数を間違えぬよう慎重に、赤のボタンを二回、白を一回、黄を五回の順に押して、横にスライドさせた。『アレ』は「ウィーン…」と低音を鳴らして上下に動き、微調整の済まされていた新しい『アレ』の動作は完璧であった。


そんな『アレ』の一連を見ていた娘は母親に言った。


「使うならやっぱり新しい『アレ』よね、ちゃんと動くし」


娘の言葉に、母親は当然のように答えた。


「そりゃ高かったもの。買った甲斐があったというものだわ」


そして、ご満悦な父親は『アレ』に、


「よし、もう戻っていいぞ」


と言い、『アレ』と呼ばれていた人間は、金持ちが『機械ごっこ』と称する悪趣味なこの道楽から早く解放される事を祈りながら、地下倉庫に戻っていった…。

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