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辺境の老騎士 作者:支援BIS

第1章 古代剣

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第3話 騎士志願の少年(後編)

 6

 がたごと、がたごと。
 音を立てながら荷馬車が進む。

 しばらく前から、少年は黙り込んでいる。
 騎士になることの難しさと、騎士になってからの厳しさを突きつけられ、呆然(ぼうぜん)としているのだろう。

 農民の子が騎士になることを望むなど、無理なことではある。
 だが、それはバルド自身が通ってきた道と、どう違うのか。

 そういえば、この少年は十歳といったはずだ。
 バルドが、流れの騎士に剣を学んだのが、やはり十歳だった。





 7

 バルドの父は、郷士だった。
 どこかの貴族の血筋であり、城勤めをしていたこともあったらしい。
 と、母から聞いた。
 父自身は、自分が武士だと言ったことはない。
 だが、父は鋼鉄の剣を持っていた。
 それを振る姿は見たことがないが、鋼鉄の剣は騎士以外はめったに持てないもののはずだ。
 また、教養も高く、息子にも読み書きや計算を教え、歴史の知識なども語った。
 村人たちも、父の知識や判断力を頼りにして、何かのときには相談した。
 一家は、村から少し離れた山の中でほそぼそと農業と狩猟をしていた。
 暮らしぶりは村人と変わらなかったが、郷士の家だと皆からみられた。

 あるとき、一人の流れ騎士が家にやってきて居着いた。
 少年の日のバルドは、騎士になりたかったが、それを父には言い出せずにいた。
 ある日、流れの騎士に、剣を教えてほしい、と頼んだ。

「お父さんがいいと言ったら教えよう」

 と流れの騎士は言った。
 それから一週間かけて父を説得し、剣の稽古が始まった。
 その修行は、バルドの思っていたものとは、まるで違っていた。

 朝のあいだは、まき割り、水汲みその他、決められた家の仕事を素早く済ませる。
 それから、野山を走る。
 くたくたになって帰ってきたところで、剣の修行が始まる。
 ただし剣は握らせてももらえない。
 流れの騎士が剣を振る姿を見るだけである。
 流れの騎士は、腰に着ける下着以外を脱いで裸になった。
 裸になって、剣を振るのである。

 流れの騎士は、鋼鉄の剣を持っており、それを両手でふるった。

「騎士は手綱か盾を持つから、騎士の剣は片手で使うのが基本だ。
 騎士が修得しなくてはならん武芸の中には両手剣もあるが、それは鎧の上からたたいて相手を失神させるような大型の剣だ。
 俺がお前に教える剣術は、騎士の基本課程にはないものだ。
 だが、剣を用いる技の中では最も高度に完成されたもので、最も応用が利く」

 そう言いながら、剣を振ってみせた。
 最初は上から下にまっすぐ振り下ろすだけである。
 それを前後左右いろいろな方向から見るようにいわれた。
 剣の動きだけでなく、手や足や、その筋肉や筋がどう動いているかを見極めるようにいわれた。
 いつでも剣を振る姿が頭の中で思い浮かべられるように、その目に動きを焼き付けろ、といわれた。
 上から下への振り下ろしという単調な技だけを、流れの騎士は一週間続けた。
 次の一週間は、右上からの振り下ろしだけを見せられた。
 単調な修行は続いた。

 左上からの振り下ろし。
 横からのなぎ払い。
 斜め下からの切り上げ。
 突き。

 ただ見るだけの修行だ。
 だが、飽きなかった。
 飽きるどころか、見れば見るほど面白かった。
 じっと見ているうちに、どこで呼吸をし、どこに力を入れているかが分かるような気がしてきた。
 似たような動作でも、力の入れ方が違うと、まるで違う技になる。
 呼吸の速さや鋭さ、踏み込みの強さによって、技の中身が違ってくる。
 振られた剣に気を取られてしまうと、それは見えない。
 技は、振られた剣にではなく、振る人間に、振る人間の思いの込め方にある。
 思いの込め方から生まれる、微妙な体重移動や呼吸や筋肉の動きに、技の秘密がある。

 流れの騎士は、弓も教えてくれた。
 子ども用にと、小さく張りの弱い弓を作ってくれた。
 修行の方法は無茶なものだった。
 川を泳ぐ魚を狙うのである。
 当たるわけがない。

「素早く動くものを武器で狙うとき、二つの方法がある。
 一つは、相手の動きを予測して、相手が動く先を狙って攻撃する。
 もう一つは、相手の動きなど問題にならないほど速い攻撃をする」

 などと流れの騎士はいうが、水の中の魚の速さは異常である。
 速さで圧倒することは不可能だ。
 かといって、予測して射ても当たらない。
 何しろ、矢が水面に入ってから向きを変え、かわしてしまうのである。

 だが、流れの騎士は、ちゃんと魚を射た。
 子ども用と同じ弓と矢を使ってそれをやるのだから、文句がいえない。
 同じ弓矢なのに、流れの騎士のそれは、非常に速く飛んだ。
 まねしようとして強く引き絞ると、弓が壊れたり、(つる)が切れたりした。

 流れの騎士は、見本は見せてくれたが、説明はしてくれなかった。
 どうすれば同じ弓矢であの速度が出せるのか、自分で考え工夫するしかなかった。
 いろいろと試すうちに、弦の張り方は強ければよいというものではないことを知った。
 弓のしなりを生かす張り方をすることが大切なのだ。

 ごくまれに、当たることがあった。
 狙いどおりに射てなかったとき、魚が思いもよらない動きをして当たるのだ。

「こちらは魚に矢を当てようと思っている。
 魚は矢に当たらないようにしようと思っている。
 これでは当たるわけがないな」

 と流れの騎士は言った。
 魚が矢に当たろうとするわけがないじゃないか、と思った。
 いや待て。
 では、魚は、どうしようと思っているのか。
 当てることに必死で、魚の思惑や都合は考えていなかった。

 魚を観察した。
 今まで大きさや速さしか気にしていなかったが、魚にもいろいろある。
 流れに逆らって泳ぐのが好きな魚。
 流れに乗って泳ぐのが好きな魚。
 行動範囲の狭い魚と広い魚。
 澄んだ水の好きな魚と、濁った水の好きな魚。

 魚は水の中で自由自在に泳ぎ回っていると思ったが、そうでもない。
 特に、緊急の場合にどういう行動を取るかは、種類ごとにある程度決まっている。
 水の流れが急な川の場合、なおさら反応は限られている。
 近くに岩があったり流れの速さが変わる場所でそんな動きをすれば、その次どうなるか予測できる場合もある。

 そういえば、流れの騎士は、弓を持ってもしばらく構えないことがある。
 構えてもしばらく狙いをつけないことがある。
 狙いをつけても射つまでずいぶん待つことがある。
 あれは、何を待っているのか。

 やがて魚に矢が当たるようになった。
 魚にこちらが望むような反応をさせて、矢に当たりにこさせるようにしていったのである。
 それが可能な場所とタイミングを探した。
 当たるようになると不思議なもので、あまり考えなくてもどんどん当たるようになった。

 剣技の修行も進み、流れの騎士は、連続技を見せてくれるようになった。
 振り下ろしから振り上げへの変化。
 斬りつけから突きへの変化。
 単純なもの同士を組み合わせると、驚くほどの変化があった。

「剣を一回振るのにも、力も使うし時間も使う。
 ただの一振りも無駄にするな。
 振り終わったときの体の態勢や剣先の位置を、次の動作に利用せよ。
 空振りでも、相手の動きを封じたり、こちらに都合のいい位置に移動させられれば、むだにはならん」

 流れの騎士が見せる動きは、より速く、より高度なものになっていった。
 たいていは素振りだけを見せられたが、五回だけ物を切るのを見せられた。
 最初は木の枝だった。
 次はかなり太い木の幹だった。
 次は川の上を飛ぶ鳥だった。
 次は水の上に浮かぶ羽毛だった。
 最後は見たのかどうかいまだによく分からないが、流れの騎士は、「今から空を斬ってみせる」と言い、何もない虚空を切った。

 バルドは十歳になり、剣の修行は丸一年が過ぎようとしていた。
 ある日、流れの騎士は、剣を持たせてくれた。

 驚喜した。
 絶対に誰にもさわらせない剣だ。
 これを持つことを許され、しかも振ることを許されるというそのことが、バルドをどうみてくれているかをあらわしている。

 振った。
 一番の基本である、真上から真下への振り下ろしをした。
 心に焼き付けた通り振ろうとしたが、剣が重すぎた。
 ふらついてしまったが、流れの騎士は、

「ふむ。
 だいぶ足腰がしっかりしてきたな。
 肉や筋の動かし方も、だいたいよい。
 この分なら、いずれ正しく剣を振れるようになるだろう」

 と、珍しく賞めてくれた。
 次の日、流れの騎士はいなくなった。
 再び旅に出たのである。





 8

 バルドは、一人で修行を続けた。
 といっても、もう流れの騎士が剣を振る姿を見ることはできない。
 木切れを振って、心の中に焼き付けたそれを再現しようと努めた。
 走る鍛錬も続けた。

 ある日、バルドの人生を決定づける出来事が起きた。

 川で射た魚を持って帰る途中、悲鳴が聞こえた。
 河原で川熊に追われて走っている男がいた。
 川熊の走る速度は人間の大人より遅い。
 だいぶ距離も開いていたし、そのまま逃げれば逃げ切れたかもしれない。
 しかし、疲れていたのか、あわてていたのか、男は木に登った。

 木登りは、川熊の得意とするところである。
 バルドがいる場所は、河原より高い位置にある山道だ。
 駆け下りるのも時間が掛かるし、そもそも十歳の子どもが近寄っても、何もできない。
 弓矢は持っている。
 しかし、弓は小さいし、イラゼイの茎を切って、先を(とが)らせ、尻を割って鳥の羽を差し込んだだけの矢だ。
 遠く離れた川熊には当たらないし、当たっても羽虫がぶつかったほどにしか感じないだろう。

 石を拾い、腰に巻いた紐をスリング代わりに使って、熊に投げつけた。
 一投目、二投目と外した。
 ちょうど熊が木に登りかけて動きをとめたため、三投目で命中した。
 熊がバルドのほうを見た。
 攻撃目標を変えて、こちらにやって来る。

 バルドは、木の上の男に、手振りで逃げろと伝えた。
 熊が坂の下に来た。
 バルドは、ソイ笹に結わえた十数匹の魚を、熊に向かって投げた。
 熊は目の前に突然降ってきた食べ物を食べ始めた。

 バルドは、急いで紐を腰に巻いて逃げた。
 少し走って振り返ると、男も反対方向に逃げている。
 結局家まで走り続けた。

 翌日、パクラ領主テルシア家の騎士と名乗る男が、バルドの家に来た。
 昨日助けた男は、パクラ領主の使用人だった。
 バルドの父親としばらく話し合っていた騎士は、バルドに感謝の言葉を述べ、褒美の金子を与えてから、

「君は、ご領主エルゼラ・テルシア様のお城で働いてみたいかね」

 と()いた。
 テルシア家の城は、給金も良く、食べ物もちゃんと食べられる。
 村の誰もが憧れる職場だ。
 バルドは、はい、と答えた。

 そのまま騎士に連れられて城に行った。
 住み込みで働き、一月に一日休みがもらえる。

 十歳の子どもの仕事は限られている。
 バルドの仕事は、なんと、小姓だった。
 農民の子が小姓に取り立てられるなど、めったにない。
 三日目、当主のエルゼラが突然に、

「お前は、武芸の稽古をしたいか」

 と訊いた。
 バルドは、はい、と答えた。

「明日、従卒たちの訓練に参加してみなさい」

 と、エルゼラは言った。
 従卒の仕事は騎士の身の回りの世話をすることだから、小姓と重複する部分も多い。
 しかし、この二つはまったく違う。
 小姓は武器にはさわらないしさわれないが、従卒は、あるじの武器の手入れをする。
 小姓は侍従の見習いであり、従卒は騎士の見習いなのである。

 テルシア家では、将来騎士になる見込みのない人間も、適性と希望によっては従卒とした。
 武器の使い方や戦い方を覚え、兵士として働ければよいという考え方である。
 ゆえにテルシア家の兵士は極めて質が高い。

 翌日、バルドは、朝早く起き、先輩にまじって、水汲みと掃除をし、それから走った。
 城の近くの山道を、ぐるぐると走るのである。
 大勢の従卒がいて、みな年上だった。
 最年長は、十八歳だった。
 バルドは、十八歳の従卒にまったく遅れずに走り抜いた。

 そのあと、模擬剣と木盾を使った素振りの訓練に参加した。
 盾を持ったのも初めてなら、片手で剣を振るのも初めてである。
 しかも今までは木切れを振っていたのだ。

 皆がぶんぶんと音を立てて模擬剣を振るのをみて、武者震いがでた。
 始めに先輩が見本を見せてくれた。
 振り回してはいるが、何かを斬る振り方ではない、と思った。
 流れの騎士から、「騎士の剣は斬るというより振り回して打つのが基本だ」とは教えられたが、この剣は斬る振り方ができるのにと思った。
 不思議なことに、模擬剣を持ったとき、自分がこの剣をどう振りたいか、はっきりした姿が浮かんでいた。
 だが、なかなか心で思う通りには振れなかった。
 七日目に、やっとしっかりした剣筋がつかめた気がした。
 その日の夜、バルドは、

「お前は明日から殿様の従卒となる」

 と言われた。
 テルシアの城では、従卒は交替で騎士たちの担当を務める。
 だから、特定の騎士の専属従卒となることは、ひどく例外的な扱いなのである。
 しかも、当主たるエルゼラの専従だ。
 周りの嫉妬は大変なものになった。

 その嫉妬は、数日で半減した。
 エルゼラの訓練の、あまりの厳しさに。
 だが、それこそがバルドの望むところだった。

 最初にあいさつしたとき、エルゼラは、剣を誰に教わったかと訊いた。
 バルドは、父の友人の騎士に教わりました、と答えた。

「お前は、よい師を持った」

 そう言われ、バルドは無性にうれしかった。

 テルシアの城では、若い者がしっかり成長するように、食事をたっぷり与えてくれた。
 もともとバルドの両親は食べ物の不自由だけはさせなかったから、バルドは庶民の子どもと思えないほど栄養状態がよく、すくすく育っていた。
 鍛錬が進むにしたがい、バルドは大きく、強くなっていった。




 9

 四年後、バルドは従騎士になり、さらに三年後、騎士見習いになった。
 テルシア家では、こうした階梯について非常に厳格だった。
 大陸中央では、従卒からいきなり騎士見習いになることが多く、いったん騎士の誓いを立ててから、有力な騎士の元で従騎士として経験を積むのが普通らしい。
 当然、修行の年限は少なくなる。

 辺境でも、いいかげんな慣行はある。
 ろくな修行もせず、他家の有力な騎士に弟子入りして騎士見習いとなり、二年や三年の形ばかりの修行をすませて騎士の誓いを立てる者も少なくない。

 テルシア家にも、ときどき騎士見習いを受け入れてほしい、という要望がある。
 家を継げない次男以下がやって来る。
 テルシア家で騎士の修行をしたという触れ込みなら、養子の口も増えるからである。
 だが、二か月以上もつ者は少ない。

 二十歳のとき、つまりテルシアの城に入ってから十年目、バルドは騎士の誓いを行った。
 驚いたことに、導き手、つまり先達はエルゼラ自身が務めてくれた。
 誓いの儀式で先達を務めてくれた者を忠誠の相手にすることはできない習わしである。
 だから、どこの家でも、当主自身は先達をしない。
 誰か代理の者に先達をさせる。
 そして、新しい騎士は当主への忠誠を誓うのである。
 そのエルゼラ自身が先達をしてくれるとすると、バルドはいったい誰に忠誠を誓えばよいのか。

 エルゼラに先導され、誓いの儀式が始まった。
 そしてその時がやって来た。

「なんじ騎士たらんとする者よ。
 その忠誠は誰人(たれひと)に捧ぐや」

 その質問に対して、わが忠誠は人民に捧ぐ、と答えたのである。
 それから長い時が流れ、今やバルドは、老いて死出の旅にある。
 だがあのときの誓いは、今も失われていない。
 誓いを守るための剣も盾も、手放してしまったが。

  いや、そうではなかった。
  わしにはお前がおったのう。

 バルドは、左手で、腰に吊った剣の(さや)をなでた。
 老馬スタボロスの革で作った鞘は、やや無骨な造りである。
 しかし、その革の感触は、この上なく力強い。
 ゲルカストの戦士エングダルによる縫い目は、毅然とした美しい文様を描いている。
 中に入ってるのは、鉈もどきの剣とはいえ、心強い相棒である。

  スタボロスよ。
  ともに戦おうぞ。
  わしが死ぬ日まで、よろしく頼むぞ。

 そう小さく口に出して、バルドは剣の入った鞘を叩いた。
 鞘から不思議なぬくもりが湧いてきたような気がした。





 10

 もう西の村も近い所で、後ろから馬車が来た。
 乗っていたのは西の村の村長と娘で、屈強な若者が二人付いていた。
 東の村に行った帰りらしい。
 こちらの荷車は速度が遅いので、先に行ってもらいたいのだが、すれ違える場所がない。

「もう遠くないから、このまま進めばええ。
 気にせずゆっくり行け。
 その野菜は、皆が楽しみにしとるんじゃ」

 と村長が言ってくれたので、そのまま進むことにした。
 少年は、村長の娘のほうをちらちら見ながら、赤い顔をしている。
 娘のほうでも、少年に話しかけていたから、顔見知りなのだろう。
 村が見えてきたとき、村長の馬車に後ろから襲い掛かってきた獣があった。

「うわわわっ。
 ま、まさかっ。
 ま、魔獣か!?」

 若者が叫んでいる。
 バルドが荷車の後ろに回りこんだときには、二人の若者は倒れており、岩鹿(コルアジエ)の魔獣が馬に突きかかっていた。

  さっそく出番がきたようじゃの、スタボロス。
  ゆくぞ!

 そう念じながら左手で鞘を押さえ、右手で剣もどきを抜いた。
 剣は、あの不思議な燐光を発していた。

  うむっ!
  ありがたい!

 バルドは、太古の魔剣が最後の霊力を振り絞ってくれたことに感謝しつつ、魔獣の首を()いだ。
 どんな武器をもってしても、容易には傷つけられないはずのその首は、一撃で切れ飛び、宙を舞った。
 けいれんする魔獣の四肢に気を付けながら、バルドは倒れている若者二人の様子をみた。
 幸い、命に別状はなく、傷は深くない。
 ほっとしながら振り返ると、きらきらした少年の目がそこにあった。

 「やっぱり。
 やっぱり、騎士って、すごいや!
 ぼく、絶対騎士になる。
 人を斬る騎士じゃなくて、野獣を斬る騎士になる。
 みんなを守る騎士になるんだ!」

  しもうた。
  騎士への道を諦めさせるどころか、あおってしもうたようじゃの。
  ううむ。
  おやじ殿、すまん。
  説得は失敗じゃ。
  考えてみれば、わしはこの役回りに不向きであったわ。

 相変わらず上天気だ。
 思いっきり動いてしまったから、たぶん夜には腰が痛むだろう。
 緊張の反動か、ひどく体がだるい。
 若いときはこんなことはなかったのだが、年寄りなのだから致し方ない。
 だが気分はよかった。




7月16日「壁剣の騎士(前編)」に続く
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