その2:約束の場所
時空に、歪みが生じている。
…今度は、何が起きると言うのだ。
厄介な事にならなければ良いがな…。
「折角体があるのに、外に行けないのはつまんない。」
クレヨンを置き、リュウタロスが不機嫌な声でそう言った。
「ねー、次の停車時間で外に遊びに行ってもいいよね?答えは…」
「構いませんよ。ついでにモモタロス君達も行ってきて下さい。」
「聞いてない」とリュウタロスが言うよりも先に、いつの間にか定位置にいたオーナーが許可を出した。
『…え?』
「うわーい、やったー!ねえねえねぇ、亀ちゃん達も一緒に行っていい?」
不可思議そうな声を上げるハナ達とは対照的に、一人はしゃぐリュウタロス。
「でも、オーナー!」
「無論、タダで出かけて頂く訳ではありません。」
ハナの抗議の声を遮り、オーナーは言葉を続けた。
「最近トンネルの数が増えています。これは異常、と言っても過言ではありません。」
「つまり、その理由を僕達に調べろって事?」
「そうです。…無論、断って頂いても、構いません。が、」
びっす、とステッキの先をウラタロス達の方に向け…
「皆さん、乗車賃を滞納していますからねぇ、金銭または労働力でのお支払いが無い場合は…」
皆まで言わず、懐の中から赤みがかったオレンジ色のカードを取り出す。それはあたかもサッカーのレッドカードのような…
…言わずと知れた、「乗車拒否」である。
「いやあ、久しぶりに外の空気を吸いたいなぁと思とったトコやったんや。」
「奇遇だなあ熊、俺も丁度そう思ってた所なんだよ。」
「ふむ、まあ仮の住まいの主の頼みだ。特別に聞こうではないか。」
「ま、調べるくらいならそう時間もかからない、か。その他の時間は、何やっても良いんでしょ?」
相変わらず、「乗車拒否」は最強の切り札のようである。あまり乗り気でなかったイマジンたちが、声を揃えて「やる」と言ったのだから。
…リュウタロスに関しては、面白そうだから、と言う理由なのかもしれないが。
「時間に干渉しない範囲であれば、構いません。好きなように、過ごして頂いて結構です。何しろ次の停車は2004年12月19日ですからねえ。しつこいようですがくれぐれも、時間に干渉しないで下さい。」
「そもそもぉ、何でトンネルが多いことが問題なんですか?」
ここでようやく、オーナーに炒飯を持ってきたナオミが割り込んできた。
「この時間の中に存在する『山』。これは時間と空間の『壁』…なんです。トンネルがあると言うことは、その『壁』に穴が開くと言うことです。それが何を意味するかというと…」
そこで、炒飯に立てていた旗が倒れた。
同時にそれは、オーナーの話の終了を意味していたのだ。
時間と空間の壁、ねぇ…
外に出られるとはしゃぐイマジン達の中、ウラタロスだけは、オーナーの言葉の意味を考えていた…。 |