2月14日ーーーーその日はバレンタインデー
好きな人に愛を込めたチョコを渡す日。
今年は,工藤君にチョコをあげたいと思っているんだ。
でも,彼は私からあげるチョコなんて期待していない。
彼は私と正反対な優しい毛利蘭さんから貰うチョコを期待しているんだ。
ーー彼が一番大切だと思っているのはやっぱり蘭さんなんだ。
そう思うと胸が痛む。
私は自分の愛している人には好かれていない
そう思い込んでしまうんだ。
彼の本心が知りたい。
そんな事をバレンタインデーの前に何回考えたのだろう?
きっとバレンタインデー当日に近付くにつれ彼の本心を知りたがったんだろう?
もうバレンタインデーは明日
一応、チョコは工藤君のために作って用意ある。
前もっての準備は完了した。
あとは、工藤君に直接渡すだけ…。
でも,私にとって”チョコを直接渡すだけ”がどれだけ大きな事か…
ーーチョコをあげる=勇気を振り絞る。
たったそれだけの事を言うだけだけど、今の哀にとっては辛くて難しい事。
哀は包まれたチョコは睨むように見る。
そのたびに心の中で大きく葛藤し続ける。
(このチョコを工藤君にあげた方がいいのかな?どうしよう…。)
戸惑っている間にも時間は1分1秒と刻んでいく
そのたびに哀は葛藤が激しくなる
あとーーあともう少しで2月14日のバレンタインデーになってしまう
『ЯЯЯЯЯ』
哀は迷っている最中にけたたましい電話のコールがしつこく鳴り続ける。
(何かしら?)
不機嫌そうに電話先へ向かう。
「はい、阿笠ですけど…」
『哀ちゃん?もしもし。あのさ、コナン君って博士の家に居る?』
「(工藤君また事件か何かに突っ込んでいるのね…)いませんけど…。」
「そう…。新一もいなければコナン君もいないんだ…。」
「えっ?」
「何でもないわ。それより明日バレンタインデーよね。哀ちゃんはコナン君にチョコあげるの?」
「えっ、何で?別に私は…」
電話越しなのに、顔を赤らめてうつむき加減で呟く。
「そう…。でも哀ちゃん好きな人が居るんならチョコ渡した方がいいよ。バレンタインデーは一年に一度好きな人に愛を込めたチョコを渡す日だから…。私は…
あげたくもあげれないから…」
蘭は最後の言葉の部分をか細く呟く。
ーー涙ぐんでいるような声で
その時の蘭の気持ちは哀には痛感していた。
(蘭さん…。)
哀は自分が気付かなかった他人の痛みを今になって分かった。
「あっ、哀ちゃん御免ね。話が反れてしまったね…コナン君は見なかったのね。
本当に御免ね…。こんな夜遅くにじゃあね。」
その言葉を言ってから蘭はすぐに電話を切る。
一瞬だけ『ツーツー』って音が耳に響く
(………。)
哀は顎に手を当てて考え込む。
ーー翌日
「よう、灰原」
工藤君が駆けつけて来る。
「”よう”じゃないわよ…。昨日蘭さんが貴方の事心配していたわよ。何処に居たのよ?」
「昨日か?昨日はちょっと事件があってな…。」
(やっぱり…)
哀はジト目でコナンを見る
「どうかしたのか?」
「別に何でもないわ。それと…」
鞄の中に入っている物を取り出す。
「はい、此…」
包装紙に包まれている箱をコナンに向かって渡す
「えっ…」
「勘違いしないでちょうだい?これはあくまでも義理チョコ何だから…いつも貴方には助けて貰っているからね。そのお礼よ…。分かった?」
哀は背を向けて最後の言葉を主張するように吐く。
「(ハハハ…)」
コナンは哀に聞こえない程度の声で笑う。
そして,哀は急に歩き出す。
その様子にコナンも気付く。
「あっ、おい灰原…。」
コナンの声など無視してさっさと歩く哀
哀はいつもと違う満面な笑顔を浮かばせる。
ーーやっぱり自分の本音は伝えられなかった。
でも,義理でも彼にチョコを渡せた事は嬉しかった
一応、彼に勇気を絞ってチョコを渡せた。
それで今の気分は清々しかった
ーーまだ本音は伝えられていない。
来年のバレンタインデーこそは伝えたい。
自分が工藤君が好きだという素直な気持ちとそして,『義理』では無く『本心』がこもったチョコを渡したい…
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