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まちがいメール

作者:火河智数
夏ホラー2007に書いたホラーです。
『あなたはやく、海に来てね。娘も待っているから』
こんなメールが、オレの携帯に来た。

「あれぇ、係長は、結婚してたのですか」

「イヤイヤ、オレは独身だよ。誰かが間違って、オレのところにメールをしたんだろう。それはそうと、聖子せいこちゃん。今日飲みにいかない」

「いやだぁ、係長たら」

「ハハハ、冗談だよ。それはそうと、聖子ちゃん、この書類をお願いね」

「わかりました」聖子はオレのところから離れた。
オレは、今の会社では独身といっているが、実は五年前、オレは結婚していて、メールのあるとおり、娘もいた。

五年前、妻と娘は、事故で亡くなった。イヤ、オレが二人を殺したのだ。

オレは、ギャンブルで借金をしてクビがまわらなくなり、保険金目当てで、妻と娘を殺すことにした。

娘が、夏休みだから海に連れてって、といってきたので、オレは、二人を殺すチャンスだと思った。

オレは車を持っているが、メーカー側から、ブレーキの異常が見つかったため、修理するので持って来て下さい、といってきた。
オレは、絶対に警察に捕まらない、あるアイデアがうかんだ。

海にいく前に、オレは妻と娘にジュースを飲ませた。睡眠薬のはいったジュースを……。

オレは計画通り、車を海に落とした。妻と娘は、溺れ死んだ。だが、二人はどこをさがしても見つからなかった。
保険会社は、メーカー側の不都合が原因だと信じ、オレに保険金を支払った。
その金で借金を支払いおわると、オレは前にいた会社をやめて町を出て、今の会社に再就職した。
五年前のことを、このまちがいメールで思い出してしまった。


『夏休みになったから、娘といっしょに海に遊びにいこう』

またメールがきた。これで一週間連続だった。

「係長、またまちがいメールですか。アドレスを変えたらどうです」

「実は、昨日変えたんだ。でも、また来たんだ。聖子ちゃん、これ、どうおもうかなあ……」

「さあ……、どうなんでしょう……。誰かのイタズラじゃないですか」

「このアドレス、まだ、誰にも教えてないんだけど……。聖子ちゃん、今日はどう」オレは困ったそうに、聖子にいった。

「私、部長に用があるの思い出しました。係長、また今度……」

聖子は、オレに誘われるのがイヤなのか、それともこのまちがいメールが気持ち悪いのか、オレを避けるように離れていった。

オレは、携帯の機種を変えたが、またメールがきた。さすがに、オレは気持ち悪くなった。
このメールを出した何者かが、オレのことを知っているのか。それとも、死んだ妻が出したのか……。イヤイヤ、いくらなんでもそれはないだろう。
でも、これが何日も続いたら、オレの頭が変になってしまう。オレは、お盆休みに妻と娘が死んだ海にいこうかと思った。もし海にいけば、このメールが来ないかもしれないと思ったからだ。


盆休みになって、オレは海にいくことにした。
盆休みだから、渋滞に巻き込まれ、海にいくまですごく時間がかかった。海に着いたのが夜だった。
オレは旅館を探していて、やっと見つけた旅館は、幸運にもキャンセルが出たので、部屋が空いていた。


『もうすぐ会えるね。娘も楽しみにしてるわ』

朝になって、またメールが来た。
これは本当に、妻が、オレにメールを打っているのではないのだろうか。
そんな思いが、オレの頭によぎった。

オレは、すぐに旅館をでると、海にむかった。
もうすぐ海に着くので、スピードを落とすため、ブレーキを踏んだ。

オレは焦った。ブレーキがまったくきかないのだ。このままでは、海に落ちてしまう。
携帯が鳴った。こんなときにメールがくるんだ。
スピードが落ちないまま、車が海に落ちた。
オレは携帯を見た。メールには、こう打ってあった。

『今から、娘といっしょにいくから、ちゃんと車の中で待ってて』

なにか、こっちにむかっているものがあった。
最初はなにかわからなかったが、それはよく見ると、それは、女の死体だった。
その死体が、こちらへ近付いてきた。オレは、死体の正体がわかった。


妻と娘だった……。


妻と娘の死体が、スピードをあげて、オレの車のフロントガラスに突っ込んできた。
オレは逃げなかった。
逃げられなかった。
妻と娘が、オレの体に引っ付いていたからだった。

「やっと、会えたね。娘も喜んでいるから……」

割れたフロントガラスから海水がはいってきた。


警察が、海に落ちた車を引き揚げた。
そこには、三人がなかよくならんで座っていた。
締め切り二日前に、“まちがいメール”が来て、これはと思い、勢いで書きました。

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