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バディーズ フォーエバー!!
作:絵爾久万



8)


「さぁ、それでは乾杯といきましょうか」
 テーブルの上には、赤白ワインとワイングラスが3つ。
 オードブル皿にはチーズや、ナッツ類。ポテトチップに、サラダに、天ぷら、蕎麦、里芋とイカの煮たやつなど、様々なものが並びました。
 料理の得意な桜子さんが、あり合わせのもので、パーティーの準備をしてくれたのです。

 桜子さんがワイングラスに、赤ワインをドボドボと満たしました。私たちはそれぞれに、ワイングラスを持ち、高く掲げました。

 隊長の悠麻ちゃんが言いました。
「バディーズ フォーエバー!!」

「バディーズ フォーエバー!!」
「バディーズ フォーエバー!!」
 私と桜子さんも、後に続いて言いました。


 グラスは3人の真ん中で、飛沫を上げてぶつかり合いました。

 これぞ、究極のアート!
 目の前に貼り付けられたサイケでシュールなオブジェからは、最早血生臭い匂いは消え去っていました。私たちは自分たちの作り上げた作品の前で、乾杯をしました。達成感に満ち溢れていました。こんなに美味しいワインを味わったのは、人生最初で最後のような気がしました。

「う、うまい!戦の後の飯はうまい!」
 育ち盛りの悠麻ちゃんは、桜子さんの作ってくれた料理を、バクバク食べました。その姿は、超ミニスカから太腿を丸出しにし、時々パンチラで男どもを挑発する世間一般のエロ女子高生の姿とは、余りにも遠くかけ離れておりました。悠麻ちゃんの背後には、戦国時代の高貴な武将が重なって見えました。

「さすが、30才も年下の男の心を捕らえるだけのことはあるよ。こんなに短い時間で、これだけのご馳走をあっという間に作っちゃうなんて、尊敬しちゃうなあ、俺」
 悠麻ちゃんが言いました。
「26才よ!」
 桜子さんが怒ったように言いました。
「ふんっ、大して変わらねえ」
「なにうぉー!」

「でも、桜子さん、これからもまだまだイケますよ」
 私はふたりの間に入って言いました。
「あら、そう?まだまだイケる?」
 桜子さんは私に顔を近づけてきて、嬉しそうな笑顔を浮かべました。
「え、ええ・・・いけますとも・・・」
 しかし、間近で見ると、凄まじいものがありましたので、私は顔をそむけてしまいました。

 その時です。
「うっぷ!!!!なんじゃ、こりゃあ???」
 天ぷらを食べていた、悠麻ちゃんが突然顔をしかめました。

「チクワの天ぷらよ」
 桜子さんは平然と言いました。

「チクワ?」
「そ、そうよ」
「まっず!固ってえ!・・・ペッ!!」
 悠麻ちゃんは、口の中のものを吐き出しました。そして、手の平に載せたものを見て、大きな目を見開きました。

「ぐわっ!チクワなんかじゃねえよ!」
 悠麻ちゃんは席を立ち、台所へ駆け込み、流しの中に吐き出しました。

「ぐぉらあーーーーー!!!、桜子っ!!」
 口をすすぎ、台所から戻ってきた悠麻ちゃんは、いきなり桜子さんの胸倉を掴んだのです。

「ご、めんなさい。許して!許してぇ・・・」
 桜子さんは、畳の上に手をついて謝りました。
「許さん!」
「ごめんなさい。陰干にして、秘宝として一生持っていようと思ったの。だって、一時は私のアソコに入った愛しいあの人の大切なアレですもの・・・・。でも、やっぱり引きずるのは辛いわ。辛すぎる。わかってよ、この気持ち。みんなだって、みんなだって、一時は憧れたものでしょ?」
「ねーよ!」
 悠麻ちゃんが言った。

 桜子さんは助けを求めるように、私を振り返りました。
 桜子さんと私のアソコに入ったアレ。ソレを今、悠麻ちゃんが食べた。
 考えただけでも、気分が悪くなりました。身体中を悪寒が走りました。

「とにかく、ひきずりたくはなかったの・・・。で、でも、いいわ。いいわよ。私が全部処理するわよ。すればいいんでしょ!ぐわっ!!!」
 桜子さんはそう言うと、皿の上に残ったチクワの天ぷらを両手で掴み、一気に口の中に放り込みました。

 吐き気がしました。
 もう、他の料理にも手をつける気がしなくなりました。我慢できずに桜子さんに背を向けました。
 何気に隣室の方に目をやりますと・・・・あれ?何か足りない。足りないものはなんだったっけ・・・・。私は一生懸命思い出そうとしました。

 そうです。足りないものはタマミでした。
 ソファの上で手足を縛られ、黒い網タイにガードルを履いたSM嬢タマミの姿が消えていたです。

「タマミがいない」
 私は言いました。
 みんながソファーの方を振り向きました。

「いつから、いなかった?」
 悠麻ちゃんが言いました。
「まったく、モグッ、気がつかなかったわ。ングッ」
 桜子さんは口を膨らまたまま言いました。なかなか噛み切れないようでした。
「私も作品造りに夢中になっていたから、気が付かなかった・・・」
 私は悠麻ちゃんの顔をうかがいました。
「俺もだ。まったく、気が付かなかった」

 私たち3人は、暫くじっと考え込んでいました。



 その時です。
 
 ガガガガガガガガガガガガア!!!!!!

 道路工事のような、激しい轟音が聞こえて来ました。見るとひろりんを貼り付けた、壁が振動していました。
 壁に亀裂が入り、中から何やらギザギザした金属製のものが、飛び出してきました。

 ズガガガガガガガガガガガガ!!!!!


 チェーン・ソーでした。

 チェーン・ソーは壁を突き破り、バリバリと壁を壊していきました。


 ズバッ!!!!
 
 人型に切られた壁が剥がれ落ちました。壁の中から、チェーン・ソーを持った何者かが、勢い良く飛び出して来ました。紛れもないSM嬢タマミでした。

 私たちは同時に身の危険を感じ、急いで、その場から逃げました。


 
 SM嬢タマミは無表情のまま、チェーン・ソーを振り回し、私たちの方に向かってきます。
 私たち3人は這ったまま、キッチンのテーブルの下に逃げ込みました。タマミはテーブルの前までやって来て、チェーン・ソーを振り上げました。

 ウィーーーーンズガガガガガガガガガガガガ!!!!!

 そして真中から切りつけて行きます。テーブルが、バリバリ刻まれていきました。テーブルの下はもう危険です。私たちはバラバラにテーブルから転がり出ました。
 私の足元に、チェーンソーが振り下ろされました。私は素早く回転して身を交わしました。チェーンソーは床に突き刺さりました。タマミが引き抜いている間に、私は冷蔵庫の陰に隠れました。悠麻ちゃんは、キッチンの流し台の中に逃げ込みました。
 チェーンソーを引き抜くと、タマミは、逃げ場を探している桜子さんに向かって行きました。
 桜子さんはとっさに椅子を盾に抵抗しましたが、椅子は簡単に切り裂かれました。チェーンソーの歯は回転したまま、盾を失った桜子さんの首あたりに水平に構えられました。
 私は恐怖のため顔を覆ってしまいました。

「ぎゃあーーーーーー!!!!」

 バリッ!バリッ!ズガガガガガガガア・・・・

 この世のものとは思えぬ悲鳴と同時に、異様な音がしました。恐る恐る片目を開けて覗いて見ますと、桜子さんが血を流して床の上に倒れていました。周囲には細かい肉片が飛び散っています。
 SM嬢タマミはチェーン・ソーを持ったまま、リビングの方へと戻って行きました。












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