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ずっと一緒にいたいから
作:霧想大雨



01:ママと話す


夕食後、私はリビングでお茶を飲みながらくつろいでいた。
時計の下でくるくる回る天使。金色にコーティングされた置き時計だ。私はソファーに背中をあずけ、三人の天使を見つめていた。
「別れたの?」
その声で、思い出したように私の時間が動き出す。いつの間にか夕食の後片付けを終えたママが隣に座っていた。覗き込むように私を見つめてる。
ママは鋭い。
私が彼と付き合い始めたときも真っ先に気が付いていた。私は隠しているつもりだったのに。
私が答えなかったことを肯定と受け取ったのだろう。いい聞かせるようにママが話しはじめた。
「まだあんたは高校生になったばかりでしょ。これからきっとたくさんの人に恋をしていくのよ。ママだって、パパじゃない人と付き合ってたこと、あるんだもの」

え?

思わず声に出しちゃったのは、ママとパパのつきあいは中学生の頃からだって聞いたことがあったから。正確には、パパが田んぼの近くで、もぐらの穴を掘りかえしていたときに出会ったって。パパが笑いながらそう話してくれたっけ。私はそれが印象的で、てっきり中学からずっと付き合っていたのだとばかり思っていたみたい。

中学の時からずっと、パパと付き合ってたんじゃなかったの?

「まさか」
くしゃりと笑うママ。ママは笑うと鼻に皺が寄る。そんなママの笑顔はとても可愛らしくて、私は密かに気に入っている。
「確かに中学時代に付き合ったこともあるけれど、高校も大学も違うのよ。当時ママは、みんなが付き合っていたからなんとなく付き合っていたんだけどね、高校に行く前にみんなが別れたから、ママもなんとなく別れたのよ」
…そんなの恋愛っていうのかしら?心のなかだけで聞いてみた。

私は中学から高校一年の六月まで、部活が一緒でいっこ下の後輩と付き合ってた。
パパの転勤の関係で、前住んでた町から電車で一時間くらいかかる町に引っ越すことになっていたから、当然、私は今の町にある高校に通うことになったの。
これまでみたいに毎日会うことは出来ないし、彼も私も部活がある。彼は携帯を持っていないからメールはいつもパソコンへ。

名付けてプチ遠距離恋愛。

はじめの頃は、距離なんかに負けないだろうって思ってた。
いつからだろう。
メールをしなくなったのは。彼のことを毎日考えなくなったのは。気になる人が、出来たのは…
少なくともその頃の『恋愛』は、辛いことではなかったと思う。ってことは、私も少しは成長していたのかな。退化してたら悲しいけど。

ともかく、プチ遠距離恋愛は心を痛めることはなかった。彼を想って部屋で泣くなんてこともなかった。
もしかしたら、私もママと一緒で『なんとなく』付き合っていたのかもしれない。…あれは本当に恋愛だったのかしら。



【恋愛】男女が互いに相手をこいしたうこと。また、その感情。(広辞苑第五版より)

私は恋愛してた。彼のこと、好きだったから。
ただ、『好き』にも大きさがあるんだってこと。『好き』の大きさは決まってないから一番の『好き』の大きさは私に好きな人ができる度に更新されて行くんだろうな。












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