首都攻防戦5
夜が明けた。
うつろな空気に支配された園典。
「意外ですね」
それがどっちの意味なのかは分からない。
逃げ出した市民や兵が多かったのか少なかったのか。
私の思いとしては少なかった。
「しかし、ここから逃げても跋維党以外の盗賊に襲われなければいいのですが」
「それは大丈夫だろう。王が逃げた方には跋維党の伏兵が居たはず。それらと正面切って亜炉そう組織はないだろうから」
「なぜ、跋維党の伏兵は王を狙っているのなら援護を出すべきでは?」
「いや、奴らの狙いは王の逃亡映像を流す事だった。しかし、王子の演説によってその意味は失われた。奴らが伏兵を置いてもそれほど意味が無い」
「市民を討つ事は?」
「略奪をしているのは統制から外れた部隊だ。伏兵には向かん」
とは言っても確実では無い。
私の予測通りに配置していてくれる事を祈るだけだ。
軍議が始まる。
残った兵は一万弱。対する兵は七万。それも少なくても。
「兵力の差をどの様に埋めるか、が今回の戦いの要です」
「他都市からの増援は?」
「現状、期待は出来ません」
王の事、昌機平野戦。色々と不利な状況に置かれている。
「将軍の表情から何か策がおありかと」
未麻中佐は他の将兵とは違い、この状況にも臆する所が無い。
「兵力差は埋められる。問題はこちらの士気。その問題がクリアされれば勝利は確実になる」
私の策は、
「同士討ち。それしか無いかと」
上手く行くのか、どの様にやるのだ、等と懐疑的な言葉が飛び交う。
「将軍」
王子の言葉で私は言葉を続ける。
「七万と言っても一箇所に留まっているのではなく、ここ園典を東に二万、西にも二万、南に三万が包囲する形で布陣している。その後に本体が控えている」
「一箇所ずつ破っていくのですか?」
「それをしていては連携を取られて園典が陥落してしまう。まずはこちらは三隊に分かれる。第一陣四千は王子が率いて南の陣を破る」
王子出撃に一同から声が上がる。
「四千で三万に突っ込むのですか!!」
「王子の身に万一の事があれば」
「この戦いはただ勝つだけではなく、王族の信頼を少しでも取り戻す事も必要だろう!」
置かれた状況とまだどこか緊張感の無い将校に対して声を荒げてしまう。
息と心を落ち着けて、
「第一陣には未麻中佐も出てもらう。そして第二陣は東西の軍を相手に園典の防衛。こちらは五千の兵でやってもらう」
四万に対して五千。よほどの駆け引きに長けていないとすぐに陥落する。
「残る千は南の両陣の間に割って入り、後陣を叩く」
「千で一万に向かうのか?」
「はい。第一陣が破った陣から党蔵した敵兵は後陣に向かいます。その直前に後陣を強襲し同士討ちを行わせます」
「そんな上手く行くのか?」
「相手は昌機平野戦の勝利、そして王の逃亡でこちらを甘く見ているでしょう。討って出るとは考えたはいない筈。そこに二万の兵とはいえ四千の決死の突撃を加えれば敵は浮き足立ち戦うよりも逃走します」
「後に下がった所で新手の一万との戦いがありますが」
「そこで第三部隊が間に入り攻撃をかけます。そうすれば敵同士争いますよ」
「そんな上手く」
「行きます。前は盗賊上がりの部隊、礼儀に対する忠誠などありません。それは東西の部隊も同様です。気をつけるのは後陣の一万と北部に陣取っている伏兵それだけです」
北部の兵の事を説明する。
「北部の兵はどの様に対応されるのですか?」
「それらはもう居ないとは思いますが、居たとしても少数。第二陣が油断せずに居れば対処できます」
「一万対一万なら、後は士気の問題ですか」
「それは第一陣で王子が上げてくれると信じてます」
王子と目が合う。その目には覚悟と信念に満ちた力強い光が宿っている。
「任せてくれ」
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