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  En-gi 作者:
史紀と理緒1
「私達に協力してくれないだろうか?」
「なんで?」
「この戦いを終わらせる為に」
 頭を下げる少佐殿。
戦いを終わらせるのは賛成だ。が。
「断る。ボクには追わなければならない相手が居る」
「それが夕べの男なら私達に協力してくれれば」
「人間の戦争に関わる気は無いの」
「しかし、一人で追うには」
「人間を殺すよりはマシ。それじゃ」
 ベッドから降りて、少佐の横を通り抜けて部屋を出る。


「いいの?」
「何が」
 ホテルに戻って軽い食事を取り、荷物をまとめている。
「人間の戦いに参加しないって言うのは賛成だけど。昨日の相手は一人では」
「お前が邪魔しなきゃ勝ててた」
 じろっと睨んでやる。
「そうかなぁ」
 ベッド寝転んで、ボクの言葉を否定する。
「おい。一ついいか?」
「何?」
「お前はなんでここにいる?」
 当たり前の様にボクの部屋に居る。
それがあまりにも自然にくつろいでいるので不思議に思わなかった。
「あ、え」
 こいつはベッドに寝転んでいた体を起こして、天井を見て考えている。
「なんとなく?」
「なんとなくで居座っているのか?」
「ま、まぁいいじゃない。細かい事は、ね」
 ね、じゃないだろ。
「お前とは気が合う事は無いと思う」
 バッグを担いで部屋を出る。


「どこ行くの?」
「お前には関係ないだろう」
 夕べの騒ぎの影響かそれ程人は居ないが、代わりに守備隊や警察の姿を多く見る。
ボクも声を掛けられたが、少佐殿に連絡を取って貰ったのですんなり通れた。
若干の曇り空の下、大きな通りを歩いていく。
人が少ないとこんなにも広いのかと、寂しい光景だ。
 その中を歩いている。それなりに様になっている光景の筈なのに。
 後からついてくるのなら、まだ可愛げはあると思う。
「教えてよ」
「うるさいな。お前は」
 隣に並んで歩いているこいつの所為でなんとなくしまらない光景になっている。。
「あ。お腹空かない?」
「馬鹿にしてるのか?」
「いいじゃん、時間も時間だし」
「十時前だぞ」
「気にしない、気にしない」


 腕を引っ張られて店に引き込まれる。
カウンターでボクの意志を無視したご注文が取られる。
「九七十円になります」
「史紀ちゃん」
「……はぁ!?」
「私、お金、無い」
「単語で喋るな」
「あの……」
 カウンターにはご注文の品々が揃えられていた。
「ほら。早く」
 このままでは済まさない。
納得の出来ない支払いだったが、払わない事も出来ない。
隣で微笑んでいる女を睨みつつ支払う。

 窓際の席に着いて人の通らない通りを眺めて向かい合って座る。
「で、これからどうするの?」
「どうするもなにも。お前からお金を返して貰わないと」
「え。なんで?」
「お前に奢る理由がボクには無いだろう」
 一口パンを頬張る。
「いや……あははは」
 横を見てジュースを啜る音で誤魔化そうとしている。
「大丈夫。史紀ちゃんの事を手伝うって事で。一つ」
 ポテトを差し出してくる。
それはボクのお金で買ったのだと言う事を覚えていないのだろうか?
「お前、今までどうやって生きてきたんだ?」
「それがね!」

 なんのことは無い。財布を落としてしまっただけだそうだ。
一言で済む事を楽に来た理由から説明された。
それも「暇だったから」だったそうだ。
延々一時間、一人で喋っていた。
あの街のここが良かった。この人は優しかった。等等。
「で、これからなんだけど」
 背中に嫌な汗が流れた。
「財布を無くしちゃったんで、一緒に探してくれない?」
「一人で行け」
 席を立つ。
「ちょちょちょ。まだ、話は続くの。もし、万が一見つからなかったら一緒に旅しない?」
 頭を掻いて、
「断る」
 ゴミを片付けて店を出る。


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