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シンデレラは城に向かわない。

作者:みなみ
ぺローさんのシンデレラは天使過ぎる。
「ふんっ、この灰の中からよい豆だけを選び集められたらならば城に行くことを許しましょう。
選べたならねぇ!」

高笑いと共に継母と義理姉達が去ってゆく。
私は灰の前にうずくまり、項垂れた。
その頭上からハラハラと降るのは私にももたらされたはずの招待状の残骸。
見上げれば一番上の義理の姉。

「貴女はけして来てはいけないわ。」

意地悪く、そして美しい笑みを浮かべて今度こそ血の繋がらない家族たちは城に召されていった。

三日三晩続く城での宴に国内の貴族と金持ちの子達が招待された。
王子と貴族や金持ちの息子の為のお見合い大会みたいなものだそうな。
底意地悪い継母と義理の姉達であるがそれはそれは美しい人達なので相手はよりどりみどりのはず。
私なんぞ彼女らの足元にも及ばないような平凡な顔なので行ったところで相手にもされないだろうに…

私は悔しかった。
城に行けば食べ放題飲み放題じゃないか!

父が5年前に死に、私は継母達にこき使われるようになった。沢山いた使用人は次々解雇され、私の仕事が次々増えた。
朝早くから夜遅くまで…
はじめは食事も喉を通らないほど嘆いたけど、色々吹っ切れてからは図太くもなり、少食な継母達の残飯をモリモリ食べ明日への活力とするようになった私。
招待された時はすごく喜んだ。
だって自分で作らずに美味しい料理が食べられるんだよ?
文句も言われないんだよ?
それなのに、嗚呼それなのに…!

















…まぁ、こうなる事は予想できてたけどね。
私はほっかむりを取ると支度を始めた。
腰まであった私の自慢の金の髪は今や肩より短い。
髪はお金になりました(笑)
いや、真面目な話ほしいものを買うとしたら髪売るのが手っ取り早いのですよ。家に縛り付けられタダ働きさせられてる私は時間が無いから。

密かに隠し置いていた母の形見のトランクにわずかばかりの着替えと日持ちする食べ物を詰め込みきっかりと戸締めをした。

「さようなら、私の今までの全て!」

ペコリと頭を下げ私は夜行発車便の乗り合い馬車へと駆け出した。




自分の誕生日が来るのを指折り数えて待った。

15歳。

次の歳には大人になれると思った。
けれども世界の広さと世間の常識を知らずに育っていたことに気付いた。

このままではいけない。

16歳。

以前いた使用人達から贈り物を貰った。
靴だった。私は足にひっかかるようにして履いていた布の靴を捨て去って、それをはいた。
どこまでだっていけると思った。
彼らと連絡を取り合いながら、私はまた誕生日が来るのを指折り数えて待った。

17歳。
昨日なった。

私は決意した。家を出ようと。
いつか王子様が現れてくれるのではないかと思ってたけれどそんなもの夢だった。
私を年老いた成金男に売ろうかと冗談めかして話していた家族だった人達の言葉は私のふらつく思いをしっかり固めてくれた。


3日間乗り合い馬車にゆられて私は隣国の街についた。
そうして小汚い扉をあけ交渉を開始した。




☆☆☆☆☆



「はぁ?掃除婦?」

ギルドマスターは首をかしげた。目の前には若い娘。
可愛らしい顔で幼げな見た目だが17歳ときいて驚いた。
そして彼女の身の上話を聞いて、やりたいことがあると言うので聞いてみたら掃除婦と言うではないか。

「貴方が納得できるくらい美しくこのギルドを生まれ変わらせてあげましょう!
今から明日の昼までに!」


隣国で大規模なパーティーがあるためそちらに仕事を求めて人が移動してしまった為利用客もほとんど居ない。
たまにはみんなで休むかなんと話していた時に現れた娘はタイミングか良かったといえよう。

ギルドマスターは深く考えなかった。
立入禁止の部屋をいくつか指示し、そのまま遊びに出てしまった。

ギルドマスターは強面ではあったが心根までは強面ではなかったので、ギルドがさほど綺麗にならなくとも仕事先ぐらいは世話してやろうと考えていた。

しかし、彼が思う以上に娘はすごかったのである。






☆☆☆☆☆

「よしっ!頑張りましょう!」

私は徹底的に掃除した。
ギルドは魔法の明かりを導入してるので夜中でも明るい。
私が頑張るたびに綺麗になっていく部屋にやる気も上がってくる。
家に居るときのように横槍が入ることもない。

掃除、掃除、掃除!

気付けば朝だった。
ギルドの受付や酒場兼食道も、窓も灯りもぴっかぴか。

私は満足し、体を清めると床に寝転がる。
寝転がっても平気なくらい掃除したのだ。窓から入る日差しが心地よい。
お腹もすいたがそれ以上に眠気が勝り、そのまま私は眠りに落ちた。








☆☆☆☆☆

戻ってきたギルドマスターの驚きといったらありませんでした。
こうして、娘はギルドの専属掃除婦となりました。
おまけに料理も上手かったので、彼女の作るランチを目当てに街の住人も訪れるようになり冒険者との仲も良くなりました。

居心地の良い職場とちょっとにぎやかな人たちに囲まれ娘は幸せに過ごしましたとさ。


めでたしめでたし。




彼女の知らぬ所で『金の掃除姫』の噂は広がり、沢山の依頼が舞い込み、彼女を渡したくないギルドと街の住人と冒険者が密かに戦う事になるのはもう少し先のことなのでした。
空腹女子か食いしん坊女子が必ず出てしまう不思議…

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