挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
悪いな勇者、このダンジョンは小人用なんだ 作者:钁刈洸一

妖精神

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

94/116

80話 ランキング板

 ぐいっとグラスをあおる。
 キンキンに冷えたハイボールの炭酸が、喉を刺激しながら流れ落ちていく。

一仕事(ひとしごと)してない(・・・・)で飲む一杯は最高だねー」

「マスター、さすがにその発言はどうかと思うよ」

「いいんだよ。フィールドダンジョンもできたし、畑もなんとかなりそうだ。今日はお休み。俺さ、転生してから今日まで休みなしで働き続けたんだから」

 前世のおっさんからは絶対に考えられないほどだよ。
 ダンジョンマスターじゃなかったら過労死してるって。

「ミーアちゃん、今日は休ませてあげて。なんかフーマ、昨日の夜からちょっとおかしいんだ」

「ダンジョンの警備はあなたたちに任せるわ。しっかり護りなさい」

「は、はい。レヴィア様までそうおっしゃるなら」

 うむ。このダンジョンで一番偉いのはもしかしなくてもレヴィアたんだな。
 ダンジョンマスターの俺はお飾りなのですよ。
 だから休んでもいいよね。
 第4層のボス部屋で飲む俺たち。アシュラは酔っ払いにつきあうつもりもないのか、設置したキャットタワーの最上部に避難してしまった。

「いったいなにがあったのにゃ?」

「なんかネットサーフィン? してたらショッキングなことがあったんだって」

「ダンジョンマスターランキングのトップダンジョンマスターがさー」

 あ、グラスはもう空だ。
 巨大な缶からピッチャーに移してあるハイボールを注ぐ。
 6倍サイズの缶からよりは楽だけど、炭酸もアルコールも抜けていく気がする貧乏性な俺。ビアサーバーみたいなのでも作れればいいんだけど。

「トップダンジョンマスターがどうしたんだい?」

「……死んでた」

「え?」

 ランキングに乗ってる連中ってどれぐらい稼いでいるのかな、って興味本位で関連スレ覗いたらさ、お通夜状態だった。


 ◆ ◆ ◆


【いくら】DP獲得ランキング その****【稼いだ?】
1:名無しのランカー
月毎に発表されるダンジョンマスターランキングについて語り合いましょう


~~~
429:名無しのランカー
あの人がトップから落ちる日がくるとは

430:名無しのランカー
トップどころか、ランキングにいねえよ

431:名無しのランカー
そんな馬鹿な

・・・マジだ

432:名無しのランカー
え?
これってもしかして?

433:名無しのランカー
まさか
たまたま休んでただけだろ?

434:名無しのランカー
やつの巨大ダンジョンは襲撃者がなくたってかなりのDPが入るんだぞ
なのにランキングに名前がないということはつまり……



 なにこれ?
 今までずっとトップだったダンジョンマスターが1位から転げ落ちたみたいだ。
 それだけなら2位ががんばったってことになるけど、ランキングに名前がないってことは……。
 死んだ?

 ランキングトップのダンジョンマスターでも死ぬことがあるのか。
 レベルも高いだろうし、復活代も高くてDPが稼げなかったってことだろう。



~~~
626:名無しのランカー
たぶん、ただ死んだだけじゃなくて
コア破壊された可能性が高い

627:名無しのランカー
ないだろ
12柱をも仕留めた化け物だぜ
死んだってことすら信じられん

628:名無しのランカー
それなんだが

ダンの持ってたオンリースキルが販売スキルリストの中にあった
もう売れたみたいで確認はできないが

629:名無しのランカー
それが本当ならダンのやつはもう・・・

630:名無しのランカー
>628
そう言ってお前が買ったんじゃねえの?

631:名無しのランカー
たしかにDPがあったら買ったけどな
オンリースキルなんて超高額スキル買えるかよ



 オンリースキルってのは、たしかこの世界で一人しか持っていないスキルだったよな。
 それが販売されてたってことは、所有者がこの世界にいないってことで……。
 そんな超強力スキル持ってるやつでもコアを破壊されるってありえるのか。
 やべえ、この世界ハードすぎる。トップランカーなんて左団扇でのんびりやっててもいいじゃないか。

 ダンってのが元トップランカーのダンジョンマスターらしい。
 スレでは12柱を何人も倒したとか、ダンジョンが超巨大だとか、千年近くランキングのトップを独走していたとか、彼の偉業を称えていた。
 ダンの話題でそのままでスレが消費され、次スレへと移行してる。



~~~
109:名無しのランカー
ダンが亡くなったってことは生き残りの眷属の争奪戦がスゴイことになる

110:名無しのランカー
とくにアフロディーテ!

120:名無しのランカー
あの魔乳はいったい誰のものになるのか!

121:名無しのランカー
うんにゃ、アフロディーテも死んだっぽい

122:名無しのランカー
いやいやいや、たとえダンが勇者に滅せられたとしてもアフロディーテは殺さねえべ
絶対にお持ち帰りするだろ

123:名無しのランカー
アフロディーテのオンリースキルも売ってた
DPを工面してる間になくなってた

124:名無しのランカー
美の女神のオンリースキル?

125:名無しのランカー
<乳揺れ>スキルだな

126:名無しのランカー
また売られるかも知れないからスキル名は教えない
次に売ってるのを見たら今度こそ買う!



 もしかしてアフロディーテのオンリースキルって、俺の<ガラテア>なんじゃ?
 転生スターターのDPじゃ買えないぐらい高かったもんなあ。
 そう考えると、タイミングがよかったのか。


 ◆ ◆ ◆


「アフロディーテが死んだ?」

 俺の話を聞いていたレヴィアが急に大きな声をあげた。

「たぶん、そうらしいけど。もしかして知り合い?」

「ええ。契約したダンジョンマスターとともによく竜宮城にきていたわね……会うたびに私の結婚はまだかしら、と聞く嫌な女だったわ」

「うわ」

 美人だけど性格は悪かったんだろうか?
 ギリシャ神話のアフロディーテは……男好きでわがままな印象があるから、こっちもそう変わらなかったのかもしれない。

「やっと見返せると思ったのに……」

 苛立たし気に俺からグラスを奪って一気にあおるレヴィア。
 そんなに結婚したのを自慢したかったのかね。

「レヴィアちゃん寂しそう」

「ふん。あんな女の死で悲しくなるわけがないじゃない。これは祝杯よ。せいせいしたわ、だいたいあの女が簡単に死ぬわけが……」

 レヴィアを椅子から持ち上げて、俺の膝の上に移動させる。
 近くで見ると、彼女の綺麗な瞳は涙に濡れていた。
 口では悪く言ってるけど、友達だったのかもしれない。

「レヴィアちゃんにはフーマとボクたちがいるからね」

 コルノも近づいてきて、レヴィアの頭を撫で始める。
 レッドができた時のゴータローを思い出すなあ。

「……それで、結局フーマはなんで急に今日は休むと言い出したのよ?」

「トップのダンジョンマスターでも死んじゃったみたいに、いつ死ぬかわからないから今のうちにのんびりしようと思った、とか?」

「それもあるけど、さっきのスレでこんな書き込みみて、さ」




~~~
709:名無しのランカー 
お前らもバカなカキコミしてないで、真面目にDP稼いで強くならんとダンみたいに死んじゃうぞ

710:名無しのランカー 
DP稼ぐために何人殺した?
今以上に人を殺せと>709はいう

711:名無しのランカー 
ここやギルドでバカいってなきゃ
おかしくなりそうなんだが

712:名無しのランカー
俺はとっくにおかしくなってる気がする

713:名無しのランカー
ここのランキングだって、どんぐらい人間を殺したかってことだもんな

714:名無しのランカー
生物の殺害以外で稼ぐ方法はあってもランキング入りは難しい

715:名無しのランカー
>710-714
急に真面目モードになるんじゃない



「ってのがあってさ。みんな人間を殺してDPを稼いでいることをそれなりに考えてるんだな、って。でも中には機械のように淡々とダンジョンの運営をしているダンマスもいてさ」

「それが仕事ならばそうなるのではないか?」

「ダンマスたちってDP稼いでランキングを上げるってのを目標にしてるのが多いみたいでさ。いや、ランキングスレだからそれは当然なんだろうけど、俺の目標はのんびりしたい、だったはずなんだよね。生き延びたり、問題を解決するためにここ一ヶ月はそれに反してきたけど、このままじゃいけないな、と」

 あれ?
 なんかみんなの表情が呆れてない?
 そこ、そんな大きなため息つかないの。


「なー!」

 突如、寝ていたはずのアシュラが大きく鳴いた。

「ん? 警報! 侵入者か!」

「にゃ! 場所は第1層、巨大空間にゃ!」

 監視ウィンドウの操作に慣れたニャンシーが先に敵を発見する。
 巨大空間ということは邪神のダンジョンのモンスターだ。

「またネズミか?」

「違うにゃ。これは……アリにゃ!」

 今までこなかったくせに、せっかく休むと決めた日にやってくるとは……。

 あの台詞を叫んだ方がいいんだろうか?

\アリだー!/

オーバーラップノベルス様より発売中!
立ち読み&口絵公開中です


width=
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ