挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
悪いな勇者、このダンジョンは小人用なんだ 作者:钁刈洸一

妖精神

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

85/116

71話 ノームは信仰心が高い

10/21 誤字修正
「女の子が軽々しくそんなことを言うんじゃありません!」

 土下座したリニアをそのまま正座へ移行させ説教してからもう一ケ月になる。
 あの時は本当に困って、へたれなおっさんはそう逃げるしかなかったんだよね。「好きにしていい」と言ってくれたリニアを説教したせいで彼女を眷属にすることはまだできてないけどさ。

 ▼ ▼ ▼

 リニアを眷属にすることはできなかったが、常若の国(ティル・ナ・ノーグ)の沈む地底湖周辺の巨大空間をうちのダンジョンの領域にすることはできた。
 そこで、石化から元に戻れたノームたちや他の難民妖精たちも暮らしている。リニアの家の近所にはテントが増えているのだ。

「よう、フーマ」

「精が出るな」

 キャプテンソードを素振り中のリニアがおっさんに気づく。素振りはそのまま続けるようだ。

「ちょっと待ってくれ、もうちょいでキリのいい数になる」

「ああ、続けてくれ」

 リニアが剣を振るう度に、彼女の見事な二つのメロン――小人だからリンゴか桃あたりか?――も大きく揺れる。
 以前は倒した邪神ダンジョン産のモンスターの毛皮の衣装だったからよくわからなかったけどただ大きいだけじゃなくて、かなり美乳だ。服も動きやすいように選んでいるのか、とてもよく揺れる。あんなに揺れて痛くないんだろうか?
 しかも、汗で濡れて透けてしまっている。まさかノーブラ? だからあんなに揺れるのか。

「フーマ、どこを見ているのかな?」

「い、いや、おっさんには目の毒だなと」

「……わりぃ、醜いあたしが目に映っちゃ気分悪いよな」

 素振りを止めて立ち去ろうとするリニア。
 彼女はスプリガンとなってしまった自分の外見を気にしているんだよな。おっさんたちはそんなの気にしていないのに。

「いや、そうじゃなくて……ハルコちゃん、リニアに下着を見繕ってやってくれ。あと、汗で透けない衣装も」

「わかっただ、あんちゃ!」

 元気よく答えたのはハルコ。この前一番先に石化から戻したノームの女の子でニャンシーの友人だ。恩を返すとおっさんの眷属になってくれている。
 彼女はとても優秀。裁縫が得意とニャンシーが紹介する腕前は素晴らしく、俺たちの衣料関係はかなり改善された。

「あ、あたしはそんなのいいよ」

「ちゃんとなさい。それとも、そのだらしない胸を見せびらかして夫を誘惑したいのかしら?」

 夫のところに妙に力を入れるレヴィア。
 言われたリニアは真っ赤になって義手で胸を隠すが、あまりにも必死になりすぎて、押しつけられた義手の沈み具合に胸の柔らかさも想像できてしまう。
 そのままリニアはハルコちゃんに連れられてテントへと入っていった。

 ハルコちゃんの加入によって、レヴィアたんはうちのダンジョンで最小というポジションを奪われてしまっている。……実は胸はハルコちゃんの方が大きいらしいが。

「リニアの美乳はだらしなくはないだろ?」

「フーマ、あ、あなたまさか、おっぱい星人とかいう人種なの?」

「おっさんがそんなんだったら二人と結婚してない」

 俺は小さいのも大きいのもいける。おっぱい星人はエージンのやつだってば。
 あいつともメールやチャットでやり取りしてるけど、元気そうだ。

「ボクの身体を作った原型師って人がちゃんと、ボクの胸を再現してくれてたらなあ」

 自分の胸を押し上げるように両手を添えるコルノ。だが現実は非情。寄せることすらできないようだった。
 ちなみにコルノのちっぱいはゲーム公式設定なので、原型師さんのせいではない。


 ◇


 しばらくして、ハルコちゃんにコーディネイトされたリニアが戻ってきた。

「リニアはスタイルええから着せ替えがいがあるだ」

「あたしなんて着飾らせてもしょうがないだろ」

 そう愚痴りつつもチラチラとこちらを見るリニア。評価を待っているのだろう。
 だがこれが難しい。リニアは自分の姿にコンプレックスがあるので、「可愛い」などというものなら、「嘘をつくな!」と機嫌をそこねてしまうのだ。
 なにが正解だ? 「似合っている」も駄目だろう。

「悪くないよリニア。そのカツラもいい感じだ」

「そりゃそうだよ。そのウィッグはボクの髪だもん」

 リニアは頭に負った怪我の影響で髪の毛がほとんどない。だからカツラを作ったようだ。
 ハルコちゃんは<裁縫>に伴うものなのかハサミの使い方にも慣れていて、真呪(メデューサ)モードで伸びるコルノの髪をよく切っている。おかげでコルノは最近ずっとショートカット。その切った髪を有効活用したのだろう。

「あ、あたしのためにこんな綺麗な髪を……あたしになんてもったいないよ」

「ううん、ボクの髪がリニアちゃんに似合わないわけがない」

 リニアには説明してないけど、彼女の父親はゼウス。ゲームキャラとはいえ、ポセイドンの娘であるリニアとは従姉妹になることをコルノは知っている。
 そのせいかリニアのことも可愛がっている。

「いいんだよ、すぐ伸びるし。フーマは短いのも好きだって言ってくれるから」

 はい。おっさんはショートカット派です。最近はコルノのロングヘアーもいいなあって、思っているんだけどね。

「……ありがとう」

「どういたしまして。腕の調子はどう?」

「問題ないよ」

 石製の左腕で握って開く動作を何度か繰り返すリニア。
 この義手はコルノが造ったゴーレムアームである。おっさんもちょっと手伝っているんだぜ。

「ボクは金属加工が得意じゃないから石なんだけど、やっぱり鉄製がいいよね?」

 そうなると、リニアに錬金術を教えたくなるな。あの兄さんとは義手義足の左右が逆だけどさ。
 大剣が持てるように磁石を入れて、大砲内蔵もいいかもしれない。そう思ってたらさすが夫婦、コルノも同じ考えだったようで。

「それともやっぱり武器を内蔵した方がいいかな?」

 左腕ってことは精神銃? それとも聖ジョルジュの剣?
 ミストルテインの槍もいいかもしれない。

「動くだけで十分だって。こんなにまでしてもらって、あたしはどうやって恩を返せばいいのさ」

「護ってくれてるだけで十分だって。妖精たちやおっさんのダンジョンをさ」

「そうは言っても、あれから邪神のダンジョンのモンスターどころかネズミ一匹きてない。あたしがなにかやってるわけじゃない」

「リニアがいてくれるだけで助かっているんだって」

 邪神のダンジョンから漏れ出す瘴気や、リニアや妖精が溜め込んだ瘴気を吸収して、うちはDPの固定収入が入るようになってるからね。
 邪神のダンジョンのそばで暮らしていたリニアから溢れる瘴気は、リヴァイアサンほどではないとはいえ、適度な量で大変ありがたい。

「いずれ眷属になってくれると嬉しいんだけど、それはディアナたちを戻せるってわかってからでいいよ」

「頼む。ディアナ様たちを助けてくれ」

 常若の国(ティル・ナ・ノーグ)のディーナ・シーたちはまだ要石となったままだ。
 封印を解いたら邪神のダンジョンからモンスターや瘴気が溢れ出しそうで怖いのと、そもそも地底湖の底なので調査がまだ終わっていない。

 まあ、それに関してはミーアが調査を楽しみすぎて時間がかかっているだけみたいなんだけどさ。

 ◇ ◇

 巨大空間での妖精たちの様子を知るために見回りを続ける。
 もうダンジョン化してるので監視機能を使った観察もできるけど、直接会って話も聞きたい。

「フーマ様」

 ノームたちのほとんどがおっさんに会う度に両手を合わせて拝むのはなんとかしてほしいけどね。

「フーマ様ばリヴァイアサン様ん夫でろ」

「んだのー。おめだば、おらほの神様だ」

 ノーム弁ってわかるようで微妙にわかりづらいなあ。
 ハルコちゃんはこっちに気を使ってノーム弁をだいぶ抑えてくれてるから助かるよ。ついでに詳しいことを説明してくれた。

「あんちゃはレヴィア様の夫でオラたちの大恩人。石さなったノームば戻してくれた神様だ」

 ハルコちゃん以外のノームは眷属になってくれなかった。どうやら、あまりにも畏れ多いとの理由らしい。
 おっさんは神様じゃなくてダンジョンマスターですので、もっとフレンドリーに接してください。

 あまりに馴れ馴れしいのも困るけどさ。


オーバーラップノベルス様より発売中!
立ち読み&口絵公開中です


width=
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ