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悪いな勇者、このダンジョンは小人用なんだ 作者:钁刈洸一

妖精島I

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46話 鑑識

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5/8 誤字修正
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 せっかくある程度自在に飛行できるようになったからダンジョン外に行きたかったんだけど、異常事態が発生。
 お客さんが急増中なのだ。

「いくらなんでも多すぎる、よな」

「なにかあったのかな?」

 昨日まではできたばかりのダンジョンの様子見をしていた、とか?
 違う気がする。

「とりあえずプレーリーウルフの死体を調べてみるか」

 並べられている死体を見てみる。
 大きさはどれもそう変わらないな。
 死因はほとんどが撲殺。頭部を石棍棒で殴られてってのが多いようだ。ゴーレムたちもやるなあ。
 違うのはレッドのドリルと爪で倒されたやつぐらいか。

「あれ?」

「どうした?」

「ほら、この傷、あまり深くはないけど、他の傷とは違うよ」

 コルノが指差した傷を見てみる。致命傷ではないがたしかにこれはドリルや爪の痕じゃなそうだ。
 なにかに齧られたような痕。それこそ大きな臼歯あたりに。

 よく調べてみると、他の死体にもその噛み傷がついているものがあった。

「仲間割れや、ナワバリ争い……じゃなかったら、やっぱりアレだろうなあ」

「アレって、フーマが言っていたネズミ?」

「ああ。ネズミたちがプレーリーウルフの巣に侵入して刺激されたから、こいつらがネズミの巣を探してこのダンジョンにやってきたんじゃないか?」

 仮説だけどな。
 もっと調べようとするのなら、胃を開いてなにを食べてるかとかも確認するんだろう。
 でも、そこまでするのもねえ。
 倒したネズミを食べてるかもしれないけれど、そんなに詳しいわけでもないから見たってわからないだろうし、さ。
 こんな時には狩人(ハンター)の仲間がいればいいのにね。

 狩人といったらやっぱりエルフかな?
 もちろんフィギュアは持っている。ガラテア候補としておいた方がいいかもしれない。忘れないようにメモっておこう。



 プレーリーウルフの死体と、ゴーレムたちが掘った土をアイテムボックスに回収してコルノの作業部屋と化した4層ボス部屋に移動する。

「ゴーレムたちの武装はどうするか決まった?」

「スコップとツルハシを持たせて試してみたよ。戦闘には出さなかったけど武器としても使えそう」

 道具を使うことで穴を掘る速度は劇的にアップする。
 高い所も掘りやすくなったようだ。

「だからダンプゴーレムが1人だと、少ないと思う」

「そうか。増やすか」

 掘った土を運搬するダンプゴーレムが現在は1人しかいないため、増えたゴーレムの掘る量に対応できてないらしい。
 スコップを複製してゴーレムたちに持たせて採掘速度が速くなるなら、もっと増やした方がよさそうだ。

 ダンプゴーレムは1度に運べる量を重視して、通路をギリギリ通れるサイズに造ったから、通路ですれ違うことはできないけど途中の部屋でならなんとかなるはず。

「いっそのこと、複製しちゃうか」

 ゴーレムとして完成したものの複製はまだ試していないのでどうなるかが気になる。
 ダンプゴーレムは大きいので造るのも時間がかかるからちょうどいいだろう。

 転移でダンプゴーレムの所へ移動し、また転移して一緒に戻ってきた。
 ダンプゴーレムが少しくたびれて見えるな。ハードワークと聞いたせいか?
 ダンプゴーレムの隣に、多めに土を用意する。

「レプリケーション」

『複製スキルがLV5になりました』
『魔力操作スキルがLV3になりました』

 おっ、スキルがレベルアップしたな。複製だけじゃなくて魔力操作もアップしたか。
 俺のステータスを確認するとMPが予想よりも減っている。ゴーレム化とゴーレムのエネルギーとしてのMPで持ってかれたか。それで魔力操作も上がったと。
 意識しないで使っているのに操作スキルが上がるのは……レベルアップしたんだからまあいいか。

 複製ダンプゴーレムは、っと。

「うん。ちゃんと普通のゴーレムだねー」

 見た感じでも鑑定でも、ほとんど同じゴーレムが増えていた。
 自我がないせいか自分と同じ姿のゴーレムが現れても動揺はしていない。これがゴータローだったらもっと騒いだろうに。

 問題なさそうなのでもう1つ複製してダンプゴーレムが3人になった。大きいので1人ずつ一緒に転移して現場に運ぶ。
 たぶん1度で全員運べただろうけど、転移先のスペースの都合もあるからね。


「量産型ゴーレムも増やそう」

「素体のほうの調整は済んでいるよ」

 装備は内蔵せず、ラッチを背中や肩に追加したようだ。腰には剣の鞘もついている。
 ゴーレム化する時に剣を鞘に、スコップやツルハシをラッチにセットしておけばゴーレムの1部ということになり、MPで修復できるようになるらしい。

 スコップとツルハシ、剣をゴーレム素体にセットし、土と回収したキャプテンゴブリンの剣を並べて複製する。
 そして複製したゴーレム素体をコルノがゴーレムにした。

「量産型武装ゴーレム、完成だな」

「装備もちゃんと取り外しができてるみたいだね。あとは訓練して上手に使えるようになってもらうねー」

 動きを確認して、大丈夫そうなのでゴーレム素体を記録して、複製して増やし、コルノがゴーレムにしていく。

 ゴーレムになっているのを直接、複製しないのはコルノのスキルレベルを上げるためである。
 決して、MP譲渡時の色っぽいコルノが見たいからではない。
 コルノもゴーレムスキルとMP倍増スキルがレベルアップしたのでMP譲渡の回数が少なくて済むようになってるし……ざ、残念なんかじゃないんだからね!

 出来上がった量産型武装ゴーレムにもMPを稼動用としてMPを譲渡する。このMPはゴーレムのステータスに表示されるゴーレム自身のMPとは別に扱われるらしい。外部バッテリーみたいなものだろうか?

 新人を転移で連れて行きゴータローに紹介し、ついでに剣を渡す。鞘はコルノが作ってくれた石製の物を複製した。
 1層の大部屋の1つをゴーレムたちの集合場所と決め、そこに複製剣を100本置く。

「ここに剣を置いておくからちゃんと練習するように」

「ゴ!」

 頷いて剣を取るゴータロー。
 あ、やっぱり二刀流なのね。

「ゴゴ」

 軽く振っている。意外と様になっているな。
 そういやこいつレベルアップしてるんだっけ。
 動きも良くなっているのかもしれん。

「後で量産型たちにも渡しておいてくれ」

「ゴ」

 これでダンジョンの防衛は強化された。
 ネズミの群れがやってきても数で押し切られることはない!
 ……と思いたい。




「アシュラ、調子はどうだ?」

 出発前に3層ボス部屋に寄って行く。
 レヴィアもいた。いつの間にかいなくなったと思ったら、ここでアシュラと遊んでいたようだ。ゴーレム造りを見ているだけなのは退屈だったのかな。

「みゃ」

「この子、さっきから外の様子を気にしているわね」

「外? ダンジョンの外か?」

「にゃ」

 頷かれてしまった。
 ここからダンジョンの外がわかるのか?
 ここは3層の奥で、上にまだ2層もあるんだけど。換気扇ががんばってるから外の匂いだって届かないだろうに。

「わかった。今から見てくるよ。こっちでなにかあったら知らせてくれ」

「なー」

「眷属チャットね。今は便利なものがあるのね」

 リヴァイアサンがダンジョンマスターの眷属だった頃はなかったのかな?
 だからダンジョンマスターを失ってしまったのかも。

「私も一緒に行きたいけれど、夫の留守を守るのも妻の務めなのよね」

「妻違う。でも、守ってくれるのは助かるよ。連絡はコルノに頼んでくれ」

「わかったわ」

 フワリと浮いたレヴィアたんが俺の頬にそっと唇を当てた。

「頬にならばいいでしょう? いってらっしゃいのキスよ」

「い、いってきます」

 返礼を要求されそうな気がしたので慌てて転移で出発した。




「思ったよりも時間がかかってしまった」

 昨日と同じ場所に転移する。キリギリスを燃やし、コロギスを倒した場所だ。ネズミの巣穴付近にいきなり転移するのは怖すぎるからね。
 すぐに感知を使うが大きな反応はなかったのでエアーコート、エアーミサイルを使って空中散歩を開始だ。

 飛べはするけど屋内とはやはり違うな。
 俺が軽いせいか風の影響をけっこう受けるようだ。
 エアーミサイルから落ちないように注意しないと。

 マップを頼りにネズミの巣穴を目指して飛ぶ。高度は5メートルぐらい。
 これぐらいの高さがあれば地上から野生動物やモンスターに襲われることは少ないはずだ。
 鳥や飛行モンスターもいると思うので、感知と隠形のスキルは使いっぱなしだけどね。

 感知(レーダー)に時々、ネズミの反応が引っ掛かる。モンスターではなく普通のネズミで、しかも単独行動しているのであの巣穴のネズミかはちょっとわからない。

 だけど、他の大きな反応がないのが気になる。昨日だったら大きな虫の反応がいくつかあって、それに見つからないように移動していたのに。

『感知スキルがLV3になりました』

 集中していたせいか、感知スキルがレベルアップした。
 感知できる範囲が拡がったはずだが、それでもネズミ以外の反応はなし。
 かわりに、巣穴に近づくとネズミの反応が増えていく。

 嫌な感じだ。
 もう少し高度を上げておこう。
 巣穴上空で様子を伺う。
 特に異常はない?

 あ、ネズミの群れが巣穴に戻ってきた。大きな獲物を運んでいる。
 2メートル以上の巨大な芋虫? あんなのもいるのか。
 まさか島の守護神的なやつじゃないだろうな? うちには小さい美少女が2人いるんだけど……。
 あの怪獣だったら小さすぎるか。卵から孵化したてでももっと大きかったもんな。

 やっぱり餌なんだろう。傷だらけの巨大芋虫はネズミたちとともに巣穴へと消えていった。あのネズミの群れが危険だという直感は間違ってなかったようだ。

 あんな巨体の芋虫がいるってことは植物が豊富なはずだよな。まさか肉食の芋虫ってことはあるまい。
 ……モンスターならありえるか?
 しまった。思わずあの怪獣を思い出して懐かしんでいたけど、ちゃんと鑑定しておけばよかった。

 まあいい。ネズミの群れが来た方角へ飛べばいいだけだ。
 森っぽいのが見えているから、きっと間違いはないだろう。


 巨大な蟲がうろついていたらどうしよう。
 マスクしてった方がいいかなあ?

今話終了時までに上がったスキル

複製LV5(up)
魔力操作LV3(up)
感知LV3(up)

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