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悪いな勇者、このダンジョンは小人用なんだ 作者:钁刈洸一

妖精島I

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44話 ぶき

感想、評価、ブックマーク登録、メッセージ、誤字報告、ありがとうございます
 手に入れたばかりの分身スキルを検証してみる。
 反復横跳びスキルが10レベルになった後に習得したけど、まさかこれが絶対条件とは思えない。
 このスキルを10レベルにまで持っていくなんて俺でさえ異常な状況だろう。
 俺がレア上位種族なのと、戦闘中なので熟練度が上がりやすかったのが大きかったはずだ。
 普通にやっていたら絶対にこんなレベルにまで上がることはないんじゃないかな。

 分身スキルの正しい習得の仕方は、超高速戦闘中に覚えるものだと推察する。
 俺の場合、反復横跳びスキルが10レベルになったことと、機敏スキルもレベルアップしたため、反復横跳び中の速度が分身スキル習得に必要な速度に到達したんじゃないだろうか。

 分身スキルはCPを消費して使用する体術系のスキルのようだ。
 気力で分身……やっぱりCPはチャクラポイントでいいような。このネーミングを決めた時にはあの漫画はやってなかったのかな。

 モンスターのいない時に実際に使ってみた。
 高速移動による残像なはずなんだけど、俺が動いてなくても分身は存在している。
 ただ、分身は本体である俺と同じ行動を取ることしかできない。出現場所はある程度調整できるので囮に使えってことなんだろう。攻撃も見た目だけでダメージを与えられるのは本体だけのようだ。

 今のところ分身の数は3体。分身スキルがレベル1なので1体に、反復横跳びスキルのシナジーで2体追加らしい。
 反復横跳びスゲエ。たぶんもう上げないけど。
 さっきはもう少しストーンミサイルが飛んだ気がするけど、意識してCPを使っていたからそれで分身の数が多かったのかも。

 分身スキルのレベルが上がれば分身の数は増え、幻だけじゃなくて本当に攻撃もできるようになるみたいだが、本体と違う行動は取れないようだ。せいぜいが時間差をつけて同じ行動ができるようになるぐらい。あくまで残像のようだ。

 分身にもちゃんと影があって本体と見分けがつかない。
 さらにレベルが高くなれば、くらったはずの攻撃を分身だったことにするという本体を後から入れ替え、もできるらしい。
 回避に関してだけ考えればチートなスキルだ。

 実体を持って本体と違う行動を取れる分身は“身外身”という別のスキルらしい。“影分身”じゃなかったのか。
 身外身って孫悟空の術だよな。自分の毛を分身にするやつ。薄くなりそうでちょっと心配なスキルである。
 俺の髪を使って練習するのはちょっと嫌だ。複製の髪でもできればいいんだけど。

 今は残像分身の方で我慢するしかないか。これのレベルを上げていけば身外身も習得できるチャンスがあるかもしれない。

 気になるのは、反復横跳びで機敏スキルもレベルアップしたこと。
 スキル関係のまとめサイトにもこんなこと書いてなかったよな?
 ……戦闘中に反復横跳びを検証するやつなんていないか。

 これって、他の能力基礎値向上系のスキルもレベルアップさせることができるんじゃないだろうか。
 たとえば戦闘中に腹筋や腕立てをやれば怪力スキルがレベルアップするかもしれない。知識スキルは読書とか。

 特にCPはいろいろ使うことが判明したので、その計算に使うVITとMINを上げる頑丈スキルと気骨スキルは重要だ。HPとMPにも関係するし。
 VIT……体力、か? マラソンかなにか持久力を鍛えるトレーニング?
 MINは精神力だろうから……座禅?

 分身が別行動を取れれば分身を戦わせて、その間にトレーニングするのになあ。
 戦闘中以外でのトレーニングでは熟練度の上がりが悪いのでレベルアップは遠い。
 というか実戦中の熟練度の上がりが良すぎるのか。命がけだもんな、集中力が違うってことかもしれない。
 どんなに真剣に訓練したって、命がけで反復横跳びするやつはいないだろう。

 ゴブリン1匹だけだったら試してみるかな。
 天井に近い壁にいれば攻撃は届かない。さらに分身して被弾率を下げれば、なにか投げられてもいけるかもしれない。

 ……天井に近いところにいる、同じ姿でこっちを見ながら腕立てしている4人の小人(こびと)。こん棒を投げつけても気にせずに腕立て続行……嫌すぎる。

 よし。今回はこの方法で鍛えるのはパスしよう。植物素材の採集もしなきゃいけないし、時間がかかる検証は止めておこう。
 もう十分にいい汗はかいたから、お酒も美味しく飲めるはずだ。

 あ、今頃気づいた。
 久々の飲酒予定でテンション上がりすぎて奇行に走っちゃったのか。
 おっさん、アルコールが入る前から暴走しちゃってたよ。怖いなあ。



 ゴブリン1匹にちょっと時間をかけちゃったので、ここからは急いで進もう。
 隠形スキルを使いながら壁や天井を走って移動する。
 ゴブリン発見。今度は2匹。
 分身スキルで戦ってみることにする。

 壁で静止して見つかる前に奇襲だ。
 アイテムボックスから手裏剣を出す。メジャーな四方のやつだ。そして小人用ではなく普通の人間用サイズ。ズッシリと重いが俺のSTRとDEXならば余裕だ。
 分身しながら、その巨大な手裏剣を片方のゴブリンに向かって投擲する。そしてすぐに別の手裏剣を出してもう1匹にも投げつけた。

『分身スキルがLV2になりました』
『投擲スキルがLV2になりました』

 回転しながらゴブリンに迫る手裏剣。
 勢いよく突き刺さり、2匹のゴブリンはなにが起きたかわからないまま絶命した。

 あれ?
 手裏剣って本当は牽制用の武器だと思っていたんだけど、こんなに威力があるの?
 元祖3Dダンジョンゲームじゃないんだけど。

 ……きっとゴブリンが弱かっただけだ。
 手裏剣もアイテムボックスなしでは小人じゃなくても携帯には向いてそうにないくらい大きくて重かったし、前世の手裏剣とは別物なのかもしれない。
 素直にスキルのレベルが上がったことを喜んどこう。

 剣って名前がついてるのに“剣スキル”はレベルアップしなかったか。投げたら駄目ってことなのかな。
 投槍は投擲と槍、どっちのスキルが上がるか気になる。
 でもまあ、俺の身長じゃ人間サイズの長い投槍は投げられないからどうでもいいか。

 手裏剣は人間用なので高かったからちゃんと回収しておく。後で複製もする予定だけど、大きくて重いから素材の消費も大きそうだ。
 1層のキャプテンゴブリンの剣だけじゃ効率悪いから、もっと下の層も視野に入れた方がいいかもしれない。



 次のゴブリンはまた1匹だったので、今度は剣で戦ってみることにする。
 初めての接近戦だ。超怖い。気づかれないように天井を歩いてゴブリンの頭上に移動。剣を構えて分身してゴブリン目がけて落下する。
 見事にゴブリンの頭部に着地し、勢いを殺さずにサクッと刀身がほとんどゴブリンの頭頂部に埋まった。

『分身スキルがLV3になりました』
『剣スキルがLV2になりました』

 にもかかわらず、ゴブリンが激しく暴れだす。
 即死じゃないのか。
 ゴブリンの脳はコンパクトで、小人用の剣では届いてないのかもしれない。

 振り落とされる前に自分から飛び降りる。
 シュタッと着地。ダメージはない。
 攻撃が命中したせいか、分身が消えていたので再び分身して他の剣を出す。

「頭が駄目なら、首だ!」

 ゴブリンの身体を駆け上がる俺。レベルアップして6体に増えた分身も一緒だ。
 振り払おうとゴブリンの手が伸びてきたので、サイドステップしながらそれをかわす。うん、いい速さだ。反復横跳びスキルがいい仕事してる。
 その手を足場にしてゴブリンの肩へと到達。首筋目がけて剣を振るう。CPを使った通常攻撃。思わず叫んでしまう。

「普通斬りぃぃぃっ!」

『剣スキルがLV3になりました』

 さすがに小人用の剣ではゴブリンの首を刎ねることはできなかったが、ズバッとかなり大きく斬ることができて、派手に血しぶきが迸った。ジャンプしてゴブリンから離れる。

 予想外の飛距離を跳んでしまった。反復横跳びでジャンプ力も鍛えられたか?
 かなりの高さからの着地だったが、やはりノーダメージ。このチートな身体のサスペンションはすごいらしい。

 ゴブリンはまだ暴れていたので、気合なしのファイヤーボールを当ててトドメを刺した。
 火魔法スキルがレベルアップしなかったのでCPを使った方がよかったかも。


 やっぱり巨大生物相手の接近戦はめっちゃ怖い。
 小人用の武器じゃ火力に欠けるし。レベルアップはしたけど、剣スキルはしばらく出番はなさそうだ。

 もっと大きな小人用の剣があれば違うかな?

 その後は数が少なければ投擲、数が多ければ魔法で倒してスキルレベルを上げつつ1層のゴブリンを駆逐した。
 スキルはレベルアップしたけど、俺自身のレベルは上がらず。

 まあ、能力基礎値向上系のスキルのレベルが上がってからの方が種族レベルアップ時の能力値の伸びがいいはずなんで、構わないんだけどさ。

 アキラかエージンに頼んで、戦闘中にトレーニングを……止めとこう。恥ずかしすぎる!

 あの鍛え方がまとめサイトに載ってなかったのって、発見されなかったんじゃなくて、恥ずかしくて人に教えられなかったんじゃなかろうか?

今話終了時までに上がったスキル

壁歩LV6(up)
隠形LV5(up)
分身LV4(up)

剣LV3(up)
投擲LV4(up)

火魔法LV5(up)
風魔法LV5(up)
水魔法LV5(up)

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