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悪いな勇者、このダンジョンは小人用なんだ 作者:钁刈洸一

お客さんは大怪獣

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34話 渦巻き

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「タマゴサンドおいしーよ、フーマ!」

 コルノの機嫌は夕食であっさりと直ってくれた。
 まあ、彼女が好きだって言ったマヨネーズと卵の合わせ技なのだから、当然っちゃ当然なわけなんだけど、ありがたい。

「よく考えたらゆで卵がかぶっちゃったけど、こっちはちょっと違うから」

 出したのは2つに切った半熟ゆで卵。
 タマゴサンドに使ったゆで卵ともども、剥くのはちょっとだけ苦労した。

「おっきーね。そっか、ボクたちが小人だから、ニワトリの卵でもこんなにおっきくなっちゃうんだ」

「その通り。しかもこの卵、ゴブリン2匹分なんだ。これで」

「ふーん。そう聞くと、すごいよーな、すごくないよーな?」

 まあ、ゴブリンだしなあ。
 でもコルノはまだ見てないだろうけど、ゴブリンもでかいんだよ。
 ……彼女はゲームで巨人の知り合いもいるからそんなに驚かないか。


「このゆで卵もおいしーよ! 黄身のとこがトロっとしてて!」

 スプーンで黄身を掬いながらのコルノ。卵がでかいから、ちょっと多いんだけど、コルノにはそんなことはないようだ。

「次は温泉卵にしようか。……それとも煮卵もいいな。半熟の味玉でビールが飲みたい」

 卵かけご飯も捨てがたいんだけど、よく考えたらお米の粒もでかいんだよね、俺たちにとってはさ。食べた感じがどうなるかちょっと想像がつかん。
 炊くのも炊飯器でやりたいけど、小人サイズの炊飯器を買うかは迷うとこなんだよなあ。


「あ、コルノ」

 頬にゆで卵の欠片がついている。俺が自分の頬を指差してとんとんってやって教えてあげるとコルノがびっくりをした顔をしながら一瞬で真っ赤になってしまった。

「も、もう! ……それだけだからね!」

 向かい合って座っていた椅子から立ち上がって俺の隣にきたかと思うと、おずおずとコルノの顔が近づいてきて。
 ちゅっ、と、とんとんした方の俺の頬にやわらかいものが触れた。

「こ、ここまでだからね!」

「う、うん……ってそうじゃなくて!」

 彼女の頬にそっとふれる。
 びくっとしてコルノが固まり、ゆっくりと目を閉じた。
 あれ? なんか勘違いしていらっしゃる?

「は、ははは。ほっぺにおべんとがついてたんだよ」

 頭をぽんと叩きながらそう言うと、硬直が解ける。

「お、おべんとって……?」

 俺の指先についた白身の欠片を見てさらに赤くなる。
 そして、ぱくっと俺の指をくわえてその欠片を食べてしまった。
 すぐに俺から離れるコルノ。

「ま、まぎらわしい事しないでよ!」

「ご、ごめん」

 俺が悪い気はしないのだが、素直に謝る。
 だって、今の俺の頭ん中はそれどころではなかったのだから。

 指チュパされてしまった!
 ほんの一瞬だったけど。今のは間違いない。
 やべえ、やべえって。
 これじゃ、俺……理性を守りたくなくなっちまうよ……。

 だけどアルコールに逃げると、もっと事態が悪化しそうな気がするからどうにもならん。
 あとでまたアシュラをモフりにいくしかないか……。



「さ、飯も食ったし、残ってるDPで買わなきゃいけない物も買っちゃうか」

「え? なに買うの」

「ダンジョン防衛には直接関係なさそうなものかな」

 まずは布団だ。
 せっかくベッドを買ってしまったのに、マットレスとシーツしかないのでは、ちょっと寝にくい。
 せめて毛布がほしい。

 DPで購入できる品をウィンドウに表示させながら選んでいく。毛布も布団も1枚ずつでいいな。複製するから。
 枕も買うか。YES/NO枕なんてものまであるのかよ。

 買っちゃうか? コルノに渡しておけば彼女のOKサインが……って、使い方を教えるなんて俺には無理だ。

 普通の枕と毛布と布団を購入。
 あとでゴブリンの腰布でも素材に複製を実験してみよう。布だからそこまで効率が悪いってことはないはずだけど。
 羽毛布団ってわけでもないしさ。そっちは鳥を見つけてからだ。

「次はコンセントを増やさないとな」

 ダンジョンエディットのウィンドウも開いて、コアルームや台所にコンセントをセットしていく。
 適当な部屋に普通の人間サイズのコンセントも追加した。これで前世の家電も使えるようになったぜ。
 月末に電気代のDPが徴収されるらしいから、その分は残しておかないとな。

 重すぎるPCも新しくしちゃうか。
 ……なんか品揃えがやたらに豊富だな。運営(かみさま)、こっちの方は力を入れてるのか。
 転生エディットやそもそもこの世界がソシャゲみたいだから、運営はかなり前世のデジタル家電にはまっているのかもしれない。

 なのになんでうちの初期PCがあんな旧式(オンボロ)なんだか。
 売れなかったから在庫処分的なんだろうなあ。

「あんまり無駄使いしない方がいいんじゃない?」

「いや、必要なものだから! たしかにダンジョンレベルが上がると、備え付けのPCでできることは自分のウィンドウでほとんどのことができるようになるみたいだけどさ、そこまでレベルを上げてらんない。旧式のあのパソコンじゃストレスが溜まって仕方がないんだってば。ダンジョンレベルを上げるためにも情報収集やDP稼ぎするから新しいパソコンは必要なの!」

「う、うん?」

 俺の長台詞にコルノは首を捻る。
 俺がちょっとエッチな画像や動画を探したいだけじゃないことをわかってくれればいいんだけど。

「コルノだって、パソコンは音が出た方がいいだろ?」

「パソコン買うの? ならボク、デジタルカメラがほしい!」

 ふむ。デジカメか。前世のアイテムにもあるけど、大きくて使いづらいし買っちゃうか。

「わかった。アシュラを撮るんだろ」

「違うよ! ボクのゴーレムの写真を撮ってスレにアップするんだもん」

 もうそこまでコルノは理解してるのか。俺の転写基礎知識すげえ。
 けど、うちのちっちゃいゴーレムたちをアップしてもゴーレムスレの住人はあまり喜ばないんじゃ……まあいいか。

「個人情報がわかる画像はアップしちゃ駄目だぞ。俺やコルノの画像もだ」

「買ってくれるの?」

「うん。俺とコルノのツーショットも撮りたいし」

 メモ帳ウィンドウの機能を使えば、画像も記録できる。けど、それだと俺がコルノと一緒の画像ってのは難しいでしょ。
 ……ダンジョンの監視機能を使えばいけるか?
 いや、操作しながらのカメラ目線は無理だ。やはり買おう。

 コルノにもDP購入用のウィンドウを見れるようにして、2人で選ぶ。
 といっても、俺が説明するのをコルノは聞いていただけだったけどね。


「これでいいか。DPをかなり使っちゃったけど、必要なもんだしな」

 無線LANやその他ちょこちょこと買ってしまった。
 3Dプリンタもほしかったけど、さすがにそれはDPが足りず、似たようなことが自分でできるのに気づいた。人間、いや小人3Dプリンタだったよ、おっさんてば。

 残りDPは100ちょい。
 フィールドダンジョンは遠のいてしまったが、元に戻っただけだ。
 これから地味に稼いでいけばいい。

「ポイントショップからいける通販サイトで買えればポイントもらえたのにね」

「小人用のパソコン売ってなかったんだからしょうがない」

 途中でそれを思いついて旧型PCでチェックしたんだけど、小人用の商品は少なかった。小人に使わせるPCなんざねえ、ってことなんだろう。
 普通サイズのを買って、縮小してくれるサービスを利用することも検討したけど、貰えるポイントを計算に入れても運営から買った方が結局安かった。

 重いPCでの作業だったから余計な時間くっちゃったよ。
 まあ、これからはその時間も大幅に短縮できるけどな。



 届いたPCをパソコンデスクにセットする。旧型PCはアイテムボックスに収納した。ブラウン管ディスプレイもだ。

「画面大きくなったねー」

「これぐらいないと駄目だろ」

 でかい画面が見たいだけなら、前世のノートパソコンを使えばいい。
 あっちもその内、使い道考えないとな。

「え、もう起ち上がったの? 速いねー」

「前のが遅すぎたの」

 画面には“GODOS7”のロゴが出ている。
 最新型は“GODOS10”なんだけどクチコミでの評判が微妙だった。その前の“GODOS8”はさらに悪かったので7にした。どっかのOSと同じだ。
 まさか運営、あれの海賊版を使ってるなんてどこぞの国みたいなことしてんじゃないだろうね?

 その後、無線LANもセットした。
 そこそこ強力なやつらしく、同じ層ならかなり離れていても使える。違う層になったら階段のそばでも駄目みたいだから、電波じゃなくて魔法的なもので通信しているのかもしれない。
 使い方や設定方法も前世のと変わらなかったけどさ。

「ねえ、ボクこれ使っていいかな?」

「いいよ。俺は風呂入ってくる」

 複製すれば、コルノの使用中でも俺が使えるPCも増えるし問題はない。素材は小人さん(レプラコーン)にオークションで安い中古PCを探してもらおう。



「アドレスのかぶりはどうやって解消したっけな」

 湯船につかりながら、あとの作業を考える。
 やることは多いが、のんびり引き篭もるためだ。仕方がない。
 PCもやっとまともになったから、安全を確保して、DPがそこそこ稼げるようになればいいか。

 風呂場もちょっと大きくしたしさ。早くここでお酒飲みたいぜ。
 コルノと混浴も……。

 いかん、膨張しそうだ。スッキリさせるために風呂にきたんだ。溜めちゃってどうする。
 追加したジェットバスで気分転換するか。

 まあ、ジェットバスといっても泡が出るんじゃなくて、勢いよく温泉が横に湧き出すジェットバスもどきなんだけどね。
 ほら、あの浴槽。お湯が豪快に溢れているでしょ。渦もすごい速さで回ってさ。

「ん?」

 浴槽の側面につけた温泉の湧出口は2つだからあんな風に渦巻くことはないんだけど。
 って、底でなにかが光った!

 確認のために近づくと、湯船の渦の中心からなにかがせり上がってくる。

「人? 小人!?」

 ジェットバスもどきからは、女の子の頭のようなものが見えている。ツインテール?
 いや、これはツインドリルだ!

 この登場で腕組みしているってのはわかっているね。ロボだったら100点を上げてもいいだろう。


 で、誰なんだ、これ?

投稿、遅れてしまいました

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