挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
悪いな勇者、このダンジョンは小人用なんだ 作者:钁刈洸一

お客さんは大怪獣

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

41/116

33話 複製効率

感想、評価、ブックマーク登録、メッセージ、誤字報告、ありがとうございます
 なぜかドSと言われてしまった俺は、コルノの視線から逃げるようにボス部屋の確認に移る。
 コアルームよりも大きな、なにもない部屋だ。

「水飲み場は温泉作成スキルで創れそうだけど、トイレを先に用意してからだな」

 猫砂もDPで購入できる品の中にあったので買ってある。ちょっと高かったけど、問題はない。
 だってさ。

「レプリケーション」

 アイテムボックスから出した土を素材に猫砂を複製して、さらに“登録”する。
 こうしておけば、使用済みの猫砂を素材に複製することで、新品の猫砂になるから次を購入しないですむのだ。

 ダンジョンエディットウィンドウを操作してボス部屋の隅にトイレ用の浅い穴を掘り、こぼれないように縁を少し高くして猫砂を投入しておく。

「ここがトイレだぞ」

「にゃ」

「ちゃんとわかって返事してるみたいだね。意外と賢いんだ?」

 そりゃアシュラは眷属だからね。俺の知識も転写済みなんだろう。

 トイレから離れた場所に同じように穴を作って今度は排水口もつける。
 それから、低目の温度で温泉作製。

「ここが水飲み場兼、水浴び場だ」

 猫だから水浴びはしないかもしれないけど、一応ね。
 風呂好きな猫もいるらしいしさ。
 もしアシュラがそうなら、温泉も作ってやらないとな。

「あとは……侵入者がこの部屋に入ってきた時に高いところから見下ろしてるとかっこいいよな。キャットタワーもいるか」

 アシュラが運動不足にならないためにもほしい。
 DPで購入できる品にあればいいけど。無ければ作るしかない。木工スキルでできるかな。

「材料はゴブリンの武器になるけど……」

 あいつらの武器は棍棒が多かった。ただ、キャットタワーを作るにはちょっと短いようだ。
 上に乗るためには板も必要だ。前世のアイテムに手頃な板があったかな?

 どこかで板材を調達しないといけない。他にも使い道はあるし。



「食事はこれでいいか?」

「みゃ」

 俺が出したプレーリーウルフの死体に頷くアシュラ。
 前世で猫缶買っておけばよかったぜ。
 ニボシと削り節はあるから、魚が入手できるようになったら今度あげよう。

「俺たちも腹減ったな。準備しよう。コルノはどうする?」

「ボクはここに残るよ。アシュラを観察して、もっとすごいゴーレムを作るんだ」

「あ……そう。もし、新しい2層と3層に行くなら罠に注意してくれ。眷属なら罠がわかると思うけど、3層は迷いやすいから迷ったらチャットで呼んでくれれば迎えに行くから」

「うん。わかった」

 俺は1人でコアルームに転移する。
 コルノの感触がないと寂しい。

 脱衣所の洗濯カップの様子を見てみると、シーツの汚れは落ちてるっぽいので、取り出して絞る。
 俺の力(STR)とDEX(器用)がすごいから苦労せずに絞れてるけど、昔の洗濯機についていたあれがほしい。2本のローラーの間を通して絞るやつ。

『洗濯スキルを習得しました』

 いやそうじゃなくてさ。
 そう使うスキルじゃないから嬉しさが微妙だ。
 俺は家事手伝いじゃなくて、ダンジョンマスターのはずなんですけど。

 むう。次にガラテアできるようになったらメイドさんフィギュアを本物にした方がいいかな。
 それまでに戦力を追加しないでもすむような状態にしておかないといけない。
 戦力になるメイドさんってのもけっこういるけどさ。

 シーツを絞り終えたら、物干し台に干す。
 干しにくいな。洗濯バサミも小さいのがほしい。
 なんとか干せたら、次は食事の用意。

「まずはメニューをなんにするかだよな」

 コルノの機嫌を取りたい。
 豪勢に焼肉でもいっちゃうか?
 ……無駄に精がついて、俺が我慢できなくなっても困るな。
 焼肉ならお酒もほしいし。また今度にしとこう。

 それならコルノが好きだって言っていた卵にするか。
 解体場に移動してゴブリンの死体と、前世の鶏卵を出す。
 複製は似た物質が素材として必要で、そうじゃない場合は素材にした物やMPの消費が激しいみたいだから、本当はなにか他の生物の卵を入手してからにするつもりだったけど、この際だからテストも兼ねて複製してみる。

「レプリケーション!」

 いつも以上に気合を入れてスキルを使う。

『複製スキルがLV4になりました』
『錬金術スキルがLV4になりました』

 卵1個で2つのスキルがレベルアップしてしまった。
 だけど、複製の結果を見れば頷けるかもしれない。
 卵はちゃんと複製できた。

 ただし、卵1個を複製するのにゴブリン1匹の死体を消費して。あ、腰布だけ残ってる。
 これ、普通の鶏の卵だったよな?


『卵
 鶏の卵
 無精卵
 生でも食べられる』


 うん。モンスターの卵じゃない。
 なのにこの複製時の効率の悪さはなんだ? そんなに素材として離れているってことなの?

 MPの消費も大きい。……あれっ? CPも減ってる。気合を入れたせいだろうか。

 記録したのでオリジナルをアイテムボックスに入れ、もう1度チャレンジしてみる。
 今度は気合を入れないでやってみると、初の複製失敗。
 MPだけ消費して、ゴブリンの死体には変化がなかった。

 むう。あ、残ってる死体、アキラが血抜きしたやつだ。
 血抜きされてない死体を追加して、さらにチャレンジ。

「成功、か?」

 卵はちゃんと1個複製できている。
 ただし、血抜きしたゴブリンと血抜きしてないゴブリンの死体の2つが消えた。やはり腰布を残して。
 気合を入れてCPを使わないと、ゴブリン1匹じゃ足りないってこと?
 CPってのはなんなのか、あとでちゃんとまとめサイトで確認した方がよさそうだ。


 ともあれ、卵は用意できた。

「ダチョウの卵よりでかい、か?」

 複製鶏卵は俺から見れば巨大だ。
 割るのにも苦労しそうである。
 俺たちだとウズラの卵がちょうどいいぐらい?
 あれならたまに有精卵が混じっていたらしいから、こっちでも孵すことができたのに前世の俺の手持ちになかった。残念である。

 これからも卵を食べようとしたら複製のためにゴブリン狩りの必要があるな。
 ま、それぐらいならば俺1人でも余裕だろう。“未熟者のダンジョン”の1層で狩ればいい。

 さて、なにを作るかだよな。
 温泉の力を確認するために半熟ゆで卵は作りたい。
 もう1個の卵はなんにしようか?
 玉子焼きもいいけど、そろそろパンも食いたいし、タマゴサンドにすることに決めた。

 となると、食パンがいるな。
 アイテムボックスから前世アイテムの食パンと、収穫した謎草を出す。食パンは8枚切りのが1枚。卵の例もあるので、謎草は多めに出した。
 あ、塩もいるんだっけ。複製塩も並べて、と。

「レプリケーション!」

 念のために気合を入れてCPを消費して複製したが、やはり謎草の消費量が食パンの量よりも多い。
 キャベツの時と比べても明らかに違う。重さで比べたら4、5倍使ったんじゃないだろうか。

 なぜだ。加工されたり、他の物が混じっているからか?
 イースト菌と牛乳と……あとなんだっけ。油?
 それとも、キャベツは葉っぱで、食パンの材料の小麦が種だから?

 原因が不明だ。
 早くフィールドダンジョンを作って小麦を育てるしかないのだろうか。
 それとも、街で小麦粉を買ってくるか、か。DPで買うよりは安く買えると思う。

 食パンだけでは寂しいので、テストついでに野菜もいろいろ試してみる。

 結果、やはり葉物は素材にした謎草の消費が一番少なく、他の部分、根や実は謎草が一気に減ってしまう。

「まいったな」

 これでは予定がちょっと狂うな。
 できるだけダンジョン(おうち)に引き篭もりたいのに。

 今のとこは外で謎草を刈るしかないんだけどね。
 今度は刈らずに、根っこまで持ってくるか。
 ネズミの巣穴とは別方向に探索に行くしかないな。
 木の実か芋類が見つかればいいんだけど。

 ジャガイモとサツマイモはあるから、これもフィールドダンジョンができたら、植えて増やしたい。
 ダンジョン外に植えたら目立つし、虫や動物に食われそうだから今は無理だ。
 ダンジョン内で育てられそうな植物があればいいのに。

 ……ウドならいけるか。あとはモヤシ。
 どっちも手元にない。正確にはモヤシはあるが、根と芽が切られちゃってるから成長はしないだろう。
 せめて豆があればなあ。

 あ、キノコなら日光の届かないダンジョンでも育てられるかも。
 シイタケとシメジならあったよな。干しシイタケじゃなくて、生のやつ。これをなんとか増やせればいいんだけど。
 胞子出そうにないよなあ。栽培キット買ってればよかったか。

 可能性がありそうなら農業スキルにかけてみるかな。
 スクナが元々持っているスキルだし、これを伸ばせば無茶が通るかもしれん。
 やることリストにメモしておこう。

 っと、考え事してる間に卵をゆでちゃえばよかったな。
 前世の鍋を出して、洗濯カップと同じように内側の側面から温泉を出す。今回は温度を75度ぐらいでセット。お湯が溜まってきたら複製卵を2個投入する。
 お湯を渦巻かせているのは、でき上がった時に回転で黄身が真ん中にくるようにするためだ。

 これで15分ぐらい待ってみよう。
 その間、気になったので、3層のボス部屋の監視映像を確認する。
 おお、カラーになっているな。ダンジョンレベル4のおかげか。音はまだ出ないけど。
 コルノがアシュラにむかってなにか言ってるようだ。なんて言ってるんだろう?

 お、アシュラにダイブした。
 モフモフしてやがる……ぐふふふふふ。やはり耐え切れなかったようだぜ。
 さらにアシュラがコルノを乗せたまま歩き出す。いいなー。
 俺もやってみたい。

 ボス部屋を1周するとアシュラが横になって、コルノがそれを枕にして寝始める。なんて羨ましい。
 おっさんもそこに入れてくれ。

ウズラの有精卵で孵化は迷いましたが止めときました

オーバーラップノベルス様より発売中!
立ち読み&口絵公開中です


width=
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ