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悪いな勇者、このダンジョンは小人用なんだ 作者:钁刈洸一

3日目 ヒロインと眷属

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22話 ジロー

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 コルノにずっぱやされたせいでゴータローがイジケてしまった。

「ごめんごめん。ボクのレベルが上がったらゴータローもちゃんと改修するから許してよー」

「ゴ?」

 後ろ向きに体育座りしたまま、ぐるんと勢いよく首だけをこちらに向けるゴータロー。
 ゴーレムだから首が180度回るのか。
 ってか、そこで回転するのね。
 ゴーレムってこんなに不思議関節だからコルノも球体関節なんて考えつかなかったんだろうな。

「本当だよ。ボクのゴーレムで、しかもネームドになったゴータローの動きが悪いままなんて許せないんだからね」

「ゴ! ゴ!」

 ゴータローは立ち上がり両腕を振り上げてジャンプ。おおげさに喜びを表す。

「命令なしにこんな動作をするなんて、ホント、ゴータローは面白いね!」

 コルノさん、ドリルと爪手な両腕を広げて外人さんのようなヤレヤレポーズをしてる隣のゴーレムには気づきませんか?
 こいつも自我持ってそうだなあ。

「さあ、現場でのこの子の動きを確認しよう!」

「ゴ!」

「ドリ」

 ドリルゴーレムの鳴き声はゴータローと違うみたいだ。
 零れた土をうっちゃって空にしたマグカップをゴータローが抱えたら、彼が壁を掘っていた場所に移動する。

「少しは拡がったねー」

 高さはゴータローの手が届く範囲までだけど、そこはたしかに大きく掘られていた。

「ゴ!」

 ゴータローも得意気に胸を張るが、その肩をドリルゴーレムがぽんと大きな手でたたく。
 あの肩たたきってリストラ合図のアレか?
 なんか2号ゴーレムは性格が微妙かもしれん。

 ドリルゴーレムがドリルを回転させて土壁に突き刺す。
 ドリルの横から、すごい勢いで土がとび出しはじめた。


「ちょ、ストップ!」

「ドリ?」

 ドリルゴーレムが不満そうに振り返る。
 そこには頭から土塗れになった俺たちがいた。

「掘削速度は申し分なさそうだけど、周りのことも確認しなさい」

「命令前に始めちゃ駄目だよ」

「ドリーン」

 怒られてがっくりと膝をつくドリルゴーレム。その背中を今度はゴータローがやさしくさする。

「ゴ」

「ドリ」

 ドリルゴーレムの頭をなでなでしているゴータロー。ドリルゴーレムは嫌そうにそっぽを向くも、その手からは逃げない。

「うんうん。感動的だねー」

「え? 今なんて言ってたのさ?」

「ふふっ」

 笑ってないでさ。
 土を落とすためにクリーンはかけてくれたけど、結局コルノは教えてくれなかった。気になる。

 ゴータローとドリルゴーレムも仲良くなったようなので、ドリルゴーレムのテストを再開。
 今度は俺たちが離れてから壁掘りをしてもらう。土が飛んできてもいいように、何も言わないうちからゴータローが盾になるように立ってくれた。俺より小さいからあまり意味はないんだけどね。

「ドリルで穴を開けて、爪の手でそれを広げていく、か」

「掘るのはあの子に任せて、土を運び出す役がいるみたいだね」

「ゴ!」

 任せろとばかりに胸を叩くゴータロー。さっきイジケてたやつとは思えない頼もしさだ。

「ゴータローも立派なお兄ちゃんになって」

「ゴ」

 コルノが涙を拭う真似をしている。息子の成長に感動している母親のつもりなんだろうか?
 ゴータローが兄であれが弟ね。

 名前をつけるとしたら、ゴージローかドリジロー?
 なんか次のゴーレムに俺の脳が使われそうな気がするからパスだ。
 他に特徴は……赤いな。
 アカイシ。苗字みたいだからこれもパスしとこう。
 レッド。そのままだけどこれでいいか。

「うん。おーい、作業やめてこっちきて」

「ドリ?」

「そこで止まって、じっとしてて」

 近づいてきたドリルゴーレムを眷属契約する。
 俺も慣れてきたのか、ゴータローの時よりも早く契約完了できた。

 ような気がする。
 タイム計測してないんで実際はわからん。

「よし。これでお前も俺の眷属だ」

「ドリ!」

「お前の名前はレッド。よろしくな」

「ドリ?」

 レッドが急停止してしまった。
 名前がもらえるとは思ってなかったんで驚きのあまり硬直した?

 そのレッドをゴータローが指差した。

「ゴッゴ」

 ゆっくりとレッドが動き出し、鋭い爪を1本立てて自分に向ける。
 頷くゴータロー。

「ドッド! ドッド!」

 ゴータローと同じように両腕を上げてはしゃいだあと、レッドは深く頭を下げた。

「うん。これからもダンジョン拡張と防衛、ゴータローと一緒に頼むね」

「ドリ!」

 今度はサムズアップか。どこでそんなの覚えるんだか。

 ……眷属契約時の転写だろ。わかってるよ。


 レッドにもMP譲渡して、俺とコルノは転移で戻ってくる。
 コルノは転移の時は密着してくるのが当たり前と思っているようで嬉しい。

「レッドとゴータローか。レッド&ゴーだね」

「なぜ言い直す?」

 あいつらが爆走しそうじゃないか。

「次はどうするの?」

「外出して草集めする。にはちょっと遅いか」

 ダンジョン内だからわからないけど、もう夕方だ。暗視は持ってるけどスキルレベルが低いんで夜の草原をうろつくのはちょっと怖い。照明魔法なんて使ったら目立つだろうし。

「じゃあ、次のゴーレム造ろうか! レッドのあのペースならすぐに追加の土が届くよ。またなにか面白い設計、ある?」

「そうだなあ」

 放置したままだった虫の死体を見ながら考える。こいつらの部品は使えそうにないな。
 他に使い道があるかもしれないから、嫌だけどアイテムボックスにしまっておく。

「3号機はやっぱりタンクだろうな」

「タンク? ゴーレムなら当たり前だけど」

「そうなのか?」

「うん。魔王軍(うち)はそうだったよ。ゴーレムが前に出て壁になって、後ろから魔法や弓矢で攻撃してた」

 ああ、そっちか。盾職(タンク)の方ね。
 あっちでもそういう呼び方をしてたのか、眷属契約時の知識転写によるものか気になるな。

「ちょっと違う。タンクってのはキャタピラがついていて」

「えっ、イモムシがついているの?」

「ええと、無限軌道ともいって、車輪にわっかを巻いて、荒地や雪道を走りやすくするもの、で合っているのかな」

 俺の説明もいい加減なので、キャタピラが基礎知識扱いされないなのは当然かと実感する。

「ふーん?」

 あの説明じゃわからないか。
 ノートパソコンを出して、戦車の出てるアニメの動画を見せるか?
 でもバッテリーが充電できないし……。

 エージンとこなら充電できるかな?
 前世のノートパソコンを持ってることが知られてしまうのはなんかマズイ気もする。
 DPに余裕ができたらうちのダンジョンに小人サイズじゃないコンセントをつけよう。

「こう、板を何枚もくっつけてわっかにして……作るのは面倒そうだな。転輪もいくつも必要だし。いいのが出来たらそれを複製すればいいんだろうけどさ」

「よくわからないけど、もう少しレベルが上がってからの方がいいかも」

「そうだな。コルノはどんなのがいいんだ?」

「レッドのように特化させたのもいいかなって。なにに特化させたらいいかな?」

 特化型か。ドリルは使っちゃったもんなあ。
 残るは空と海? うちのダンジョンじゃ意味ねー。

 悩んでいたら急に目の前にウィンドウが開いた。

「警報?」

「どうしたの?」

「ダンジョンに侵入者だ!」

 虫じゃないのかな。警報が出るくらいの相手だし。

「数は7か。画像は……ちっ、ブレててろくに判別できない」

 ったく、うちの防犯カメラはポンコツなのね。
 マップを確認すると、8つの光点がここに向かっている。数少ない分岐も迷っていない。
 あ、落とし穴に1匹かかった!
 DPが1入ったのでモンスターモグラクラス?

「次の落とし穴は回避されたか」

「どうする? ここで待つ?」

「いや、むこうの方が数が多い。ゴーレムたちと合流しよう」

 飼おうにもまだちょっと準備ができていない。倒すしかないだろう。
 マップウィンドウの枠をつかんで横にずいっとずらし、眷属と連絡できるチャットウィンドウを開く。


フーマ>敵がきた。数が多い。迎撃の用意をしてくれ。
ゴータロー>ゴ!
レッド>ドリ!


 チャットでもあいつらの台詞は同じか。

「ボクたちも行こう!」

「そうだな。総力戦だ」

 さあ、戦いだ。


眷属にヒロインではなくゴーレムが増えてしまった

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