僕はついに、邪魔な田辺を始末することに成功したのだった。田辺を始末した僕は、今までに無い快感を得ていて、思わずその場で射精してしまったほどである。でも、何故? 田辺は死ぬ前に、母さんが死んでるなんて変な事をいったんだろう。こうして、母さんは元気に田辺の死体を見ながら、笑っているというのに!
僕と母さんは、田辺の死体を横目にしながら、食事を楽しんだ。母さんとは食事中、会話がよくはずんだ。
母さんは僕に褒め言葉をたくさんくれた。
「ようやく、技一も男になったね。これで、お前も一人前だよ。母さんは技一の事を誇りに思ってますよ」
「あ、ありがとう、母さん。なんかぁ、僕もふっきれたよ」
そうして、二人で大笑いした。
食事の方も、実に美味しかった。父さんは非常に美味いのだ。二人ともむしゃぶりつくように、父さんを堪能した。父さんの頭は、僕と母さんにスプーンで吸いあげられ、空っぽになっていた。父さんの内臓も、プニュプニュした食感がたまらない。動物のモツなどとは比べようにないぐらい美味しさなのだ。
「ところで技一、そこで横たわってるやつはどうするんだい?」
母さんは田辺の死体を見ながら聞いてきた。
「うん。父さんのように、バラバラにして冷蔵庫に保存しようと思うんだよ! ちょうど、父さんをいただいたので、冷蔵庫に空きができたからね」
「そうかい、そうかい。技一は、本当に頭がいい子だね」
「後で風呂場にいって田辺を解体するよ!」
「ねぇ、技一、解体する前に、そいつと母さん、遊んでもいいかい?」
「だめだよ、母さん! 僕がいるのに浮気するってのかい、それに、こいつは汚れているから、母さんにはもったいないよ」
「じゃぁ、今日は技一が母さんの火照った体を癒してくれるのだね」
「うん。わかったよ。全く母さんはスケベなんだから」
母さんは照れ臭そうに笑った。僕も母さんにつられて笑った。僕達、親子にとって幸せな夜になった。
食事が済んだ後、僕はシャワーを浴びてから、母さんの部屋にいった。母さんは布団の上で、素っ裸になって僕を待っていた。僕は母さんのおでこから順にキスをしながら、体を愛撫していく。母さんは歳のせいか、さすがに皮膚はカサカサしているが、愛する母さんの為に僕は一生懸命に母さんの体を撫で回した。
母さんは体が硬いので、時々、間接を曲げるとボキィボキィと音をたてた。そして、ほどよくしてから、母さんの大事な部分にローションを塗って、僕と母さんは一つになった。母さんはいつにもまして、僕の激しい腰使いによってヒィヒィ喘いでいた。僕は母さんの中で勢いよく発射してその日の営みは終わった。
母さんとの愛の営みが終わると、僕には一仕事が残っていた。
田辺の死体を風呂場に運ぶと、手際よく死体の解体を開始した。僕は一度、父さんを解体した経験があるので、それほど苦労することなく、田辺をバラバラにすることが出来た。時間にして三時間ほどで、田辺の体の部分を袋につめて、父さんの入っていた冷蔵庫に収納する事が出来た。それから僕は田辺の着ていた服を持って、田辺の車に乗り込むと、自宅マンションから遠く離れた河原に放置した。車を放置してから、最寄の国道まで徒歩ででてから、タクシーを拾って、自宅マンションに戻った時には、すっかり夜が明けていて、スズメと蝉が喧しく鳴いていた。
僕は自室に戻ってから、すっかり疲れてしまい、すぐに睡魔が襲ってきた。
そして、僕はいつもと違う悪夢を見た。
夢の中では、深夜に見慣れた自宅マンションの外に僕がいて、僕はエレベーターに乗って四階までいくと、
自宅の玄関のベルを押している。中から、父さんが玄関のドアを開けた。父さんはひどく怒った様子で、僕を確認すると、意味不明なことを言ってきた。
「なんのようだこんな時間に! もう妻につきまとわないでくれ」
僕は何故だかわからないが、いきなり持っていたハンマーで父さんの頭を殴っていた。卒倒してしまった父さんを尻目に僕は、母さんを探して居間に向かっている。居間の中には母さんがいて、僕の姿を確認すると叫び声をあげている。そして、僕は母さんの首を絞めていた。そこで夢は覚めた。
一体なんで、こんな夢を見るのだろうか? 僕は考えたが、頭が痛くなるだけで答えは見つからなかった。
きっと昨日の出来事で疲れているだけだと僕は思った。その証拠に次の日の日曜日になってから、僕は夏風邪をひいてしまったのか、高熱がでてしまって、一日中寝込んでしまった。流石にあわただしい週末だったので致し方ないことであるのだが、明日仕事にいかないと田辺のことで仕事場の者に怪しまれては困るので、じっと熱が下がるのを待った。幸いな事に、月曜の朝になってすっかり熱は下がり、すっかり僕は元気になっていた。さすがに週末、精のつく父さんを食べたおかげだと、密かに父さんに感謝した。
いつものように、出勤前にテレビの天気予報を見ながらアイスコーヒー飲んだ。天気予報は今日も快晴で猛暑日になる恐れがあると、見慣れた予報官がいっている。相変わらず大気の状態も不安定なので、落雷や雷雨に、ご注意くださいとの内容だった。僕は母さんに朝のあいさつを済ませると工場に出勤した。
工場につくと、いつものように朝礼があって仕事の段取りの説明が作業リーダーからあった。
「あれぇ、今日は田辺君はきてないのか? めずらしいな、誰か休むとか連絡ないか?」
僕以外は田辺の状態を知ってるわけがないので、みんな黙って聞いているだけだった。
リーダーは田辺には、後で連絡を取るといっただけで、田辺のことは軽く流して朝礼は終わった。
僕は可笑しくてたまらなかった。だって田辺が僕の冷蔵庫の中で眠ってることなんて、誰も知る由がないからだ。そして、午前中の仕事は何事もなく終わった。
昼休みになって、僕が休憩場で休んでいると、リーダーが僕の横に座り話しかけてきた。
「根黒さん、田辺君と連絡取れないのだけど、何か知らない? 他のものに聞いたところ、金曜日に根黒さんの自宅にサーフボード取りにいくと、はしゃいでいたって皆言ってるのだよ」
「はぁ。確かに田辺さんは、僕の家にきましたけど、ボードを受け取るとすぐに帰られましたよ」
「そうですか、田辺君、寮に住んでいるのだけど、寮長さんの話によると、金曜日の夜から行方不明みたいなんだよ」
「え、そうなんですか? 僕の家に来てからすぐに帰られましたから、それ以降の事はわかりません」
「そうだよね。ごめんごめん」
僕はリーダーから田辺のことを聞かれて、ドキドキしたが、うまくかわせてホットした。
しかし、ホットしたのも、つかの間の事であって、午後に入ってから、とんでもない出来事が僕に振りかかったのだった。
昼の作業が始まって一時間ほど経った時に、突然ラインが全停止した。停止した原因は突然の雷雨によって近くの変電所に落雷が落ちて電気が供給されないとの事だった。リーダーの話によると、復旧の見通しが立たないとの事である。被害状況は京都市内全域にわたっているのだそうだ。外では信号機も止まってしまい市内はパニックになってるとの事だった。僕はそのことを聞いて汗が吹き出した。もちろん冷や汗である。
電気が止まると云う事は、自宅のエアコンも冷蔵庫も止まってしまうのだ。冷蔵庫の中には、田辺が眠ってるじゃないか! 数時間もしたら、田辺が腐ってしまって異臭が近所にもれてしまう恐れがある。それに、母さんだって、暑さに耐えられなくなって、何をするかわかったものじゃない。
僕はリーダーに突然の腹痛を訴えた。リーダーは僕の尋常じゃない冷や汗をみて、すぐに帰らせてくれた。
急いで作業着を着替えて外に飛び出したら、物凄い雷雨だった。バス停に向かいバスを待ったが、市内は物凄い渋滞であって、バスが来る気配が全くない。仕方が無いので、僕は自宅マンションまで15キロはある道のりを歩いて帰ることにした。僕は急いで帰ったつもりだったが、雨に邪魔されて思うように進むことが出来ず、マンションに着いた時には、数時間が経過していた。
僕は玄関のドアを勢いよく開けると、母さんを確認しにいった。部屋に入ると、案の定、異臭がしていた。
匂いの元を早くつきとめたがったが、今は母さんの事が心配だった。居間のドアをあけると、いつもの冷気と違って生暖かい空気が流れている。母さんを確認した。幸いなことに母さんはどす黒く皮膚は変色しているが、元気だった。少し匂いはしているものの、僕は安堵した。その時、ブォーンと音がなって、エアコンが動き出した。電気が復旧したのだった。僕は助かったと思った。そして田辺の入ってる冷蔵庫を確認しにいった。
田辺の方は全く持って安心できる状態で匂いもしていない。触ると田辺の生首はまだヒンヤリと冷たかった。でも、一体この物の腐ったような匂いはどこからしているのだろうか? 匂いの元は風呂場からしていた。
僕はしまったと思った。田辺を切断した道具を洗わずにそのままに放置していたのだ。きっと、停電する前から匂いはしていたのだろう。風呂場はむちゃくちゃに臭かった。もちろん、その腐った血の匂いは近所にも、もれていたのだろう。それから、数時間後に警察の人がたくさん、僕の自宅に押し寄せてきて、僕は逮捕されてしまった。警察の人は、あまりのひどい有り様に吐いている者もいた。
僕は今、地元警察の留置所に入れられている。朝、目が覚めると、取調べ室に閉じ込められて、偉そうな刑事に何度も同じことを聞かれて困っている。
「それで、君の名前は?」
「僕の名前は根黒 技一っていいます」
「嘘をつくのじゃない! 根黒ってのは被害者の名前なんだ!」
「だから、僕は根黒の一人息子なんですよ!」
「バカヤロウ! 被害者には子供はいないのだよ。まあいい、質問をかえよう」
刑事はテレビドラマで見るようにしつこく、僕を攻め立てる。ときおり、僕の答えが気にいらないと激しく机を殴る。
「お前のいってる父さんとやらはどうしたんだ?」
「母さんと一緒に、田辺を殺した日に一緒に食べました」
「はぁぁ? お前の母さんと言ってる女はミイラ化していて死後一年は経過してると鑑識結果がでてるのだよ。どうして、死体が食べること出来るのだ!」
「だから、何度もいってるじゃないですか! 母さんは生きているのですよ」
僕と刑事のやり取りは一向に進展しなかった。このようなやり取りが一週間ぐらい続いた頃、今度は刑事の代わりに大学の教授が僕の話を聞きにきた。
「それで、根黒さんは時々、母親とセックスをしたのですね」
「はい、週に三回は母さんと愛し合ってました」
教授は僕の話を信じてくれて、とても優しかった。なんでもかんでも僕のいってることを紙に書いている。
僕は教授が何を書いているのか興味があったので、こそっと覗き見た。紙にはネクロフェリア(死姦)の疑い濃厚と書いてあった。それと、多重人格とか妄想壁とか意味のわからない言葉が書かれていた。
そんな日々が数ヶ月続いたある日、僕は医療刑務所というところに入れられた。
刑務所といっても、テレビで見ているような過酷な労働が待ってるわけでもなく、ただ独房に入って暇な一日過ごしてるだけでよかった。時々、更正具合を見るとか言って、先生の質問に答えるだけでいい。
そうして、僕は五年ほどここにいてから、仮釈放された。僕は寂しがりやなので、新しい母さんを探しに、東京に移動した。
しばらくすると……すぐに新しい母さんが見つかった。今度は女子大生の母さんだった。
京都ほどではないが、東京でも暑い夏がやってきた。今度の新しい母さんも非常に暑がりであって、暑いと機嫌が悪くなる。
そして……母さんのいる居間からはエアコンの稼動音が今日も響いている。
ブォーン、ブォーン、ブォーン……ブォーン。 了。 |