ちょっとした考え方のお話
「一番早いものはなにか」
そう問われた時人は様々な答え方をするだろう
時間、人、動物、機械…。
十人十色で考え方も違う。
私が読んだ本にはこう述べてあった
「その光というものもそうとうなもんだけどさ、もっと早いものをぼくは知っているよ」
こう自分の半分の歳も行かない少年に言われたらどうするだろう、私は興味を持ち少年の言葉をもっと知りたいと考える
老物理学者も同じだった、「なんだい、それは」と聞き返してしまったのだ
「ぼくのお父さんさ」
「正確に言うなら、お父さんがお父さんになった時かな」
私はこの考えは良く出来ていると思った
「ぼくが生まれたその途端にお父さんは、お父さんになっちゃったんだ」
ははぁ、と感嘆の声を出すしかなかった
でも、私は少し違う考え方をする。
私だったら「一番早いものは、感情の移り変わり」では無いだろうか。と考える
人の気持ちは実に安易に変わり易い
金に目が眩む者、正義を掲げる者、悪を突き通す者
最初に述べた通り人は十人十色様々である
だからこそ感情の移り変わりが何よりも早いものかと今の今まで考えていた
だけれどこの本を読んでから世界が色鮮やかに着飾られた
元々私は「人は十人十色、考え方は違って当たり前、考えが違う人とは無理矢理仲良くする必要は無い」と考えていたが確かにそうだった。だが、何か違うのだ
ストン、と腑に落ちる快楽。…文で表現するのには難し過ぎるスッとした、不安を取り除くような…何か
百聞は一見に如かず、と言うことでお近くの書店で「羊の宇宙」という本を是非手に取って頂けないだろうか
定価1400円、講談社
夢枕獏___作
たむらしげる____絵