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046 魔術とは、属性適性とは

 


 魔術を発動させる魔法陣はバルムス古代語で書かれるのが一般的だ。

 バルムス古代語は魔法的な意味を表記するのに適しているから数千年も前の言語だけど今でも使われている。

 だが、意味を表せばバルムス古代語でなくても他の言語や極端な話だが記号でも魔法陣は書ける。

 魔法陣をかく(・・)という表記を「描く」ではなく「書く」と言うのはバルムス古代語を書き込むことからきている。

 魔法陣は記号でも書き込むと言うことになるのだが、記号表記が全盛であればもしかしたら「描く」と言われていたかもしれないね。


 さて、俺は今現在、クラン『MIツクール』のメンバーに対し魔法陣の構成についてうんちくをたれている。

 えっ、クラン対抗戦はどうしたって?

 まぁ、あれですわ、俺たちのクラン対抗戦は終わってしまったってことですよ。


 クラン対抗戦の本戦1回戦では花火大会をしていたんだけど、俺が作成した魔法陣から打ち上げられたドラゴンのできが良すぎて評価できないって言われましたよ。

 てか、あれが花火か判断できない(みたいな)ってことでした・・・ははは。

 カルラやクララが教師たちに抗議したんだが覆ることはなかったね。


 そしてカルラやクララの八つ当たりがペロンとプリッツに行ったのは2人には悲しい出来事だった。


 俺?

 俺は教師陣から事情聴取されていましたからペロン君とプリッツ君の惨状は見ていません。

 後からペロンとプリッツが燃え尽きていた景色を見ただけです。


 それでやることもなくなりペロン君とプリッツ君が魔法陣の書き方を教えてほしいと言ってきましたのでこうしてクリストフ講座を開いているわけです。

 そして何食わん顔で参加しているカルラ君とクララ君もいますね。


 だが、4人は魔法陣だけに目を向けているので俺はそれをぶっ壊してやることにしました。


「では先ず、魔法の勉強をしましょう!」


「「「「え?」」」」


「皆は魔法と魔術が同じ非自然現象を発動させるものということは知っていますよね?」


「「「「(コクコク)」」」」


「では魔術が魔法の派生スキルだということは知っていますか?」


「「「「(ふるふる)」」」」


「知らないと・・・ではそこから説明しますが、太古の昔は非自然現象を発動させるものは魔法しかありませんでした。その後に魔法から【詠唱破棄魔法】、【無詠唱魔法】、【召喚術式魔法】、【精霊魔法】、【魔法陣術式】などのスキルが産まれました。【召喚術式魔法】、【精霊魔法】は長い年月の中で失われた魔法ですし、もしかしたらもっとあるかも知れませんが、それは置いておいて、【魔法陣術式】が長い年月の間に略され【魔術】となったのです」


 4人がポカーンとしている。

 構わず説明を進めることにする。


「既に失われた【召喚術式魔法】と【精霊魔法】などは別としまして、【詠唱破棄魔法】や【無詠唱魔法】はこの時代では高度な魔法のスキルだと思われていますし、それで間違いではありません。しかし勘違いされているのが【魔法陣術式】(魔術)も魔法のスキルなのです。・・・ここまでいいですか?」


「「「「・・・」」」」


 難しかったか?

 説明した後に質問を受け付けよう。


「これは古代バルムス時代に書かれた『魔導史実』という本に書かれています。今では魔法と魔術は同列で扱われていますが、基本は魔法なのです。私もこの王立魔法学校の図書室の閲覧制限エリアでこの本を読まなければ分からなかったことですが、この本を読んで今まで胸のあたりで引っ掛かっていた疑問が解けましたよ」


「「「「・・・」」」」


「つまり、魔術の基本は魔法なのです! 魔法を高度に操ることができれば魔術の制御もしやすくなりますし、魔法は魔法陣を高度に理解するうえで必要なことなのです。私の場合は魔法ありきで魔術を行使していたので自然とこれができていたというわけなんですがね」


「あ、あの・・・それって・・事実?」


「勿論、事実だよ。図書室にその本があるしね。許可がないと閲覧制限エリアには入れませんけどね」


 ここから少し話が変わるけど・・・


 属性については産まれた時に先天的な適性がなければ一生適性がないと思われているが、俺は後天的でも属性の適性を得られることを知っている(・・・・・)


 適性とは知識であると思われる。

 つまり知識があればそれまで適性をもっていなかった者でも適性を得られるのではないかという仮説が成り立った。


 何故このような仮説を立てたかと言うと、ブリュト商会で働いている魔術師の奴隷であるロックとジャモンに新しい属性の適性が顕れていたからだ。

 最初はジャモンに新しい属性の適性が顕れたのだけど、その時は何故ジャモンに新しい属性の適性が顕れたのかを考えても結論に至らなかった。

 しかしある日、ロックにも新しい属性の適性が顕れていたのだ。

 そして直近の出来事を思い起こし気が付いたのだが、俺が魔法陣の説明をしていた時に日本人時代の科学知識を織り交ぜて説明したことがあったのだ。


 マジックアイテムを作成するためにロックに火属性の魔法陣の説明をしていたら、その横で説明を聞いていたジャモンに新しく火属性の適性が顕れ、ジャモンに土属性の魔法陣の説明をしていたら、その横で説明聞いていたロックに新しく土属性の適性が顕れたのだ。

 この世界では科学の知識は乏しくハリケーンなどの自然現象も神の悪戯だとか邪神が暴れているだとか言っているレベルなので、日本人として多少なりとも科学をかじった(勉強した)俺がその科学の知識を含めて説明し、説明を受けた者が理解をすれば属性の適性が顕れるということに気が付いたのだ。


 この事から仮説を立て、無属性しか持っていないフィーリアに火の科学知識を織り交ぜて説明したら・・・火属性が顕れてしまったのですよ。

 俺の日本人時代の知識では火・水・風・土・氷・雷の6属性であればそれなりに理論的に説明ができるのだが、流石に光・闇・時空は無理ですわ。

 ・・・土も微妙だけどね。

 俺はこの世界の人よりは多少(・・)科学知識がある程度なんで、高度な知識までは無理ですね。


 さて・・・では、先天的な属性適性をもっている者は何故適性をもって生まれるのか?

 ここは仮説のままで立証はできていないが、遺伝子にその知識が含まれており、その遺伝子レベルの知識が強かったり、何らかの切っ掛けがあると先天的な適性として顕れているのではないかと思っている。

 例えば適性が顕れやすい家系があったり交配の法則があるのかも知れない。

 こういう考えは競馬を少しかじっていれば想像できるし、王侯貴族などはこういった理由から知らず知らずに優秀な遺伝子を持った者同士で交配を繰り返しているという考えも浮かんでくる。


 

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