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チートあるけどまったり暮らしたい のんびり魔道具つくってたいのに 作者:なんじゃもんじゃ

4章

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130 進撃のペロン2

 

 侵攻速度が一気に上がった。
 あの夢がかなり効いているようで多くの兵や民間人がオリオン教を捨て魔技神マギシンの信者になっているのが大きな要因だ。
 あの日以来毎日夢に見るのだからクリストフ君も徹底している。

 そんな中で徹底抗戦を謳う権力者たちは部下の反乱や民間人の反乱によってその命を散らしていることが多いので、僕が預かった義勇軍はドンドン規模を大きくしていくことになった。

 義勇兵には十分な食料を、とクリストフ君の方針にそって兵にはしっかりと食事を摂ってもらう。
 満腹の兵は上司の命令に従順だし、不満が溜まりにくいとクリストフ君が言っていたけど、実際に軍を預かってみるとその言葉の奥深さを知る。
 しかもクリストフ君お手製の疲れを軽減するマジックアイテムが支給されているので疲れも少ない。

 僕はクリストフ君の露払いとして5つの都市を解放し更に13万人の義勇兵を加え都合31万人にも及ぶ軍を指揮して更に進軍している。
 あともう少しで教都に到着すると言う所まで来ている。
 あの夢のおかげか抵抗は僅かで犠牲も少なく済んでいる。

 しかしここで最も出会いたくない人に会うことになった。
 たった1人で31万の兵をものともせず無双するその大柄の男によって僕は軍を預かって初めての後退を余儀なくされた。
 報告によればキルパス川方面軍にも彼による襲撃があり少なくない被害が出ていると聞いている。
 1人だから身軽に何処へでも行けるようであちらこちらで被害が出ている。本当に身軽なんだね。

「あれが勇者ですか」

 真っ白な白銀の鎧を身に纏い、左手にオリオン教のシンボルであるスネパスが彫り込まれた綺麗な盾、そして遠めでも業物だとわかる立派な剣を軽々と振り回し神聖バンダム王国兵を薙ぎ倒していた。

「エルフの勇者が何故オリオン教に?」
「お館も人間離れしていたが、あの勇者を見たらお館様も可愛く見えるな」

 エグナシオさんやゲールさんに天人族で後方支援能力が優秀なジョブさんたち首脳陣を集め勇者対策を考える。
 因みに今挙げた3人はクリストフ君が神だと知っている。だからジョブさんがクリストフ君を人間離れしていると言っているけど本当に人間ではないのだ。

「勇者については私が何とかしましょう」

 エグナシオさんが勇者を何とかすると言っているけど、何とか出来るのだろうか? ……良く考えたらエグナシオさんも勇者と並び規格外な称号を持っているのだった。

「では勇者についてはエグナシオ参謀に一任します」

 この中で勇者を何とか出来るのはエグナシオさん……と僕にカルラだけか。エグナシオさんに任せ彼が失敗しても僕が責任を取れば良いのだから自由にやって貰おう。

 その後、フル装備のエグナシオさんが勇者に一騎討ちを申し入れていた。一任するとは言ったけどまさか一騎討ちを申し入れるとは思っても居なかった。

「私はブリュトイース公爵家家臣、エグナシオ・デシリジェム。エルフの勇者殿に一騎討ちを申し入れる!」

 何やってるの?
 あ、そう言えばエグナシオさんは賢者様であるけど根本は脳筋だ、ってクリストフ君が言っていたっけ……これまでの行動で理論的で知的な人だと思い込んでいたけど、忘れていたよ。

「司令官殿、あれを放っておいて宜しいので?」
「今更だと思いますが?」

 ゲールさんが言うように放っておけないけど、一騎討ちに割り込むなんて無粋なことはしたくない。
 僕の周囲に居る首脳陣は頭を抱えている。僕もそうだよ。

 エルフの勇者は何も言わずに只エグナシオさんの前に進み出る。
 そして2人がゆっくり剣を合わせるとその瞬間にとてつもなく激しい打ち合いが始まった。
 僕たちは2人が決闘している場所から少し離れた丘の上から望遠鏡を覗いているので俯瞰しているようなものだけど、2人の凄まじい打ち合いの息吹と言うのか、プレッシャーがここまで届いている。

「そう言えば……聖オリオン教国の勇者ってことは……あの剣って聖剣カラドボルグでは?」

 ジョブさんがポツリと呟いたけど、僕の耳にははっきりと聞こえた。

「それって不味いですよね?」

 僕が聞き返すとジョブさんは苦笑いして答えてくれた。

「普通の剣なら数度打ち合うだけでボロボロでしょう。エグナシオ殿の剣がお館様が御造りになった剣であろうと聖剣相手では分が悪いと思いますが」

 確かにクリストフ君製の剣でも聖剣相手では分が悪いと僕も思うけど、そんな状況であのエグナシオさんが一騎討ちを申し入れるだろうか?
 エグナシオさんは脳筋ではあるけど非常に頭が良いし、敢えて危険を冒すとは思えない。

「しかし勇者と互角に打ち合うとは我らの参謀殿には脱帽ですな。流石は王立騎士学校のありとあらゆる実績を塗り替えてきた最優秀騎士殿だ」
「しかし剣が持たないのでは時間の問題ですな」

 エグナシオさんと勇者は剣で打ち合い、盾で剣を防ぎ、身をよじり剣を躱す。お互いに有効打はまだ無く時間が無常に過ぎていく。
 20分ほど2人が打ち合っているのを見ていたが、剣の腕は互角のように見える。

「いつまで待てば良いのだろうか?」
「エグナシオが良いと言うまで待つしかないな」

 ジョブさんとゲールさんが暇そうに話をする。すこし緊張感が緩んで来た気がする。こんな時に襲撃されたら被害が増える気がする……まさか……ね?

「ゲールさん、周囲の警戒を。哨戒を出してください」
「敵襲が?」
「分かりません。ただ、気になるので……」
「了解した。哨戒を密にする」

 そう言うとゲールさんは下がって行き部下たちに指示を与えていた。指示を受けた兵士たちはてきぱきと動いて散開していった。短い時間だけどしっかりと訓練された兵士たちだ。

「む、動きがありそうです」

 エグナシオさんと勇者の一騎討ちを見ていたジョブさんが言うので僕も2人を望遠鏡で覗く。
 そして意外な結末をみることになった。

「……エグナシオ殿が勝ちましたな」
「勇者の剣は聖剣ではなかったのでしょうか?」
「勇者と言えどエルフに聖剣を与えなかったのでしょうか?」

 あり得ると思えるからあの国は凄い。
 最後は勇者の剣がポッキリと折れ、それに一瞬怯んだ隙を見逃さず勇者を無力化したエグナシオさんだった。
 そしてそれと同時に聖オリオン教国の奇襲部隊が哨戒に引っかかったと報告を受けたので一軍を差し向ける。哨戒部隊を出してて良かったよ。

 僕たちがエグナシオさんの傍に行くと既に勇者は縄で縛られていた。そして勇者の怪我をポーションをかけてある程度治してもいた。エグナシオさんの手際が良いのには脱帽する。

「クック司令官殿、勇者はブリュトイース公爵閣下に引き渡します」

 綺麗な敬礼をして僕に勇者の処遇について話すエグナシオさん。
 それを了承し、僕は気になっていたことを聞いてみた。

「勇者の持っていた剣は聖剣ではなかったのですか?」
「いいえ、聖剣でした。たしかカラドボルグとかいう聖剣です」
「え、でも折れた……」
「当然です。私の剣は神剣ですから聖剣とは格が違います」

 神剣……クリストフ君か!

「クック司令官の参謀として従軍が決定した夜にブリュトイース公爵閣下よりお借りしました。何でも以前に8つの首の龍を倒した時に偶然手に入れた天叢雲剣あめのむらくものつるぎと言う神剣だそうです」

 そ、そうだよね、いくらクリストフ君だって神剣を創るなんて出来ないよね?

「それでこの天叢雲剣以上の剣を創ったから壊しても構わないと言っていましたが、この神剣が壊れるなんて想像もできないほどの剣です」

 ぶっ、やっぱりクリストフ君だった!

 
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