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チートあるけどまったり暮らしたい のんびり魔道具つくってたいのに 作者:なんじゃもんじゃ

4章

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124 ホン王国の麒麟児2

 

 ホン王国は神聖バンダム王国から要請があった聖オリオン教国への侵攻における共闘には否定的な者が多かった。と言うより俺以外は非参戦派ばかりだ。
 こいつら今更何言っているんだ状態で、ごねれば何とかなると思っているのだろうか?
 だから俺は単独で参戦することをブリュトイース公に伝えた。
 そしたらブリュトイース公より幾つかのマジックアイテムが届けられ参戦に感謝する旨の親書が送られてきた。

「しかし単独で参戦しては陛下の勘気をこうむるのでは?」
「構わん、その時は新たに手に入れた土地で独立すれば良いのだ」
「これはまた思い切った考え方ですな」
「ホンジュはそういう考えが嫌いか?」
「ほっほっほっ、好きですが何か?」

 このホンジュ・コンジュは我がリー家に代々家令として仕える男で、既に50歳を超えているが俺が引くほどの戦闘狂(バトルジャンキー)だ。
 ランクCの魔物であれば単騎で狩れるほどの斧の使い手でランクBの魔物も数人の部隊で何度も討伐した実績があるし、リー家の内紛時には俺の代わりに兄貴の首を刎ねていることからも分かるように対人戦の猛者でもある。
 今の俺が最も頼りにしている男でもある。


 神聖歴516年6月。
 川からの風が初夏の暑さを和らげてくれる。
 俺は今ブリュトイース公が手配してくれた大型輸送船の甲板の上で上陸予定地であるキルパス川のオリオン教国側の砂浜を見据えている。
 あの砂浜に上陸すればもう引き返すことのできない戦いが始まる。
 俺が集めた兵は5千人。精鋭を集めたとは言え、大国聖オリオン教国に対してこんな僅かな兵力で戦いを仕掛ける俺を気が狂ったと言う者も居る。だが、停滞した日常を打破するには敢えて虎穴に入る必要があるのだ。

「御大将、敵兵が砂浜に陣取っていますぜ」
「ああ、これから死に行く者どもだ。可哀相に俺たちの行く手を阻むからこれから地獄を味わうことになる」
「へへへ、いいねぇ、御大将は分かってるぜ」
「野郎どもっ!1人も生かして帰すなっ!俺たちの強さを狂信者どもに思い知らせてやれ!」

 俺は大声で兵たちに語り掛ける。言ってることは海賊のようだが、これでも鼓舞しているつもりなんだ。お利口ちゃんの兵相手なら別の言い方をしただろうが、俺の部下は皆兵士と言うよりは冒険者や盗賊、海賊に近いからこれで良い。

 聖オリオン教国の魔術師たちが魔術を放って来た。
 分かっていたけど簡単には上陸させないつもりなんだろう。しかしこの大型輸送船にはあり得ないほどの防御魔術が組み込まれているようで飛んで来る魔術を全て防いでいる。

「ブリュトイース公、ぱねぇな」
「こりゃ楽で良いですな」

 俺の横で自分の背丈よりも大きい斧を片手で杖のように持ったホンジュが防御魔術を褒める。輸送船なので攻撃力はないが防御力は信頼して欲しいと手紙に書かれていたのを思い出す。
 ブリュトイース公は間違いなく転生者だ。彼はそれをはぐらかすが俺の中では「ブリュトイース公=転生者」は確定事項だ。
 この大型輸送船だって、ブリュトイース公の旗艦である光月だって、地球の知識が元になっているのは間違いない。その内、空母だとか飛行機だとか創り出す気がする。
 本当なら俺自身で創りたいと思うけど俺にはそういった知識はないし能力もない。俺にあるのは常人よりも遥に丈夫なこの体と常人より遥に多い魔力だ。
 武器さえあれば単騎でランクAの魔物だって狩れる自信はあるけど、残念ながらランクAの魔物に傷を負わせることができる武器はそうそうない。残念ながら魔術に関しては魔力は多いけどそれほど得意ではないんだ。

 輸送船の船首が砂浜に乗り上げた。船首のハッチが開放され兵が雪崩のように上陸していく。
 この輸送船の周囲15mほどは防御魔術によって守られているので上陸を邪魔しようとする敵の魔術を防いでくれる。だが15m以上離れればその防御魔術も効果がなくなり俺たちは敵の魔術に晒されることになるが、仮にもリー家の兵がこの程度の魔術攻撃で進軍を緩めることはない!

「野郎共!獲物がネギ背負って向こうから来てくれたんだ、しっかりオモテナシしてやれっ!」
『おおおぉぉぉぉっ!』

 ホンジュが先頭になって敵軍に向かって走っていく。あいつ魔術が当たっても平気な顔して大斧をふりまわして魔術を打ち落としている。

「おらぁぁぁぁっ!」

 ホンジュが敵に取り付いた。ここからは魔術も簡単には撃てない。俺達の間合いだ。

 伊達に魔物が闊歩する土地で生き残ってるわけじゃないんだぜ。
 狂信者どもに思い知らせてやるぜ。
 俺も剣を抜き敵陣に斬り込む。
 この剣はブリュトイース公から贈られた剣で何とアダマンタイト製だと言う。この剣ならランクAの魔物でも切り裂くことが出来るだろう。
 今まで使っていた剣がランクBの魔物の牙を削り出した剣だった。この剣でもかなり良い物だったがそれでもランクAの魔物には力不足だった。
 しかしブリュトイース公より貰ったこのアダマンタイト製の剣ならランクAにもしっかり傷を負わすことができるだろう。何と言っても伝説の金属であるオリハルコンを除けば最強・最硬の金属だから。
 難点を挙げるとすればとても重いことだろう。片手ショートソードなのにホンジュの大斧以上の重さがあるのだ、俺以外では扱うのも大変だ。
 ブリュトイース公はどこで俺の情報を得たのかこの剣を俺に贈ってきた。


 何人切り伏せただろう、流石の俺もやや疲れが見える。
 周囲は狂信者どもの死体で埋め尽くされている。

「いやー爽快、爽快。久しぶりに暴れましたな」

 バトルジャンキーのホンジュが狂信者どもの血糊がべっとりと付いた切れ味もくそもない大斧を肩に担いで同じく赤黒く血塗られた顔を綻ばせる。

「部隊を纏めろ、死傷者の把握も急げよ」
「既に指示を出しております」

 こいつバトルジャンキーだけど副官としても優秀なんだよ。

 
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