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チートあるけどまったり暮らしたい のんびり魔道具つくってたいのに 作者:なんじゃもんじゃ

3章

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102 襲撃4

 

「ブリガンティかぁ~、なる程ねぇ~」

 クララは情報部のトップであるので情報を精査するのが役目でもある。

「となれば芋づる式で釣り上げるとしますかっ!」

「何か分かった事があるのか?」

「プリッツの報告ではブレナンは隠しているけどブレナンの息のかかった奴がベルム公国の領事館によく出入りしているってさ。そしてベルム公国って言えばその後ろにいるのは」

『聖オリオン教国!』

 クララの振りでカルラとペロンが息の合った声を上げる。
 ブレナン伯爵とベルム公国と聖オリオン教国が繋がったか・・・そして聖オリオン教国はブリガンティと繋がっている。

「ブレナンは落ち目だから聖オリオン教国の力を借りて復権しようっていうの? ボクだったらそんなプライドの欠片もない行動なんかしないけどね」

「カルラ、考えたくはないけど、無いとは言えないよ」

「クララとプリッツはブレナンの屋敷や所有地、それからベルム公国の領事館と王都内で所有している土地を重点的に捜索してほしい。それからカルラはブレナンとベルム公国の旗を掲げた荷馬車などの通行記録を、ペロンは引き続きこの屋敷の周辺を警戒してほしい。・・・とは言え、表立って捜索などできないし、気付かれればお2人の命にかかわる可能性もある。慎重に頼むぞ」

「任せないさい! ね、プリッツ!」

『・・・』

 俺をはじめカルラとペロンがプリッツに哀れみの目を向ける。
 クララはいつもと変らぬ明るい顔を、プリッツは顔に縦線が入っているように見える。
 実働部隊のプリメラは実質的にプリッツの部下として動いているので実働部隊の責任者はプリッツなのだ。
 そのプリッツに重くのしかかるプレッシャー。

「プリッツ、苦労をかけるけど頼むよ」

「うん、頑張ってみるよ・・・」

 俺はプリッツにもうひと踏ん張りだと頼んだ。
 早速、皆は行動に移る。

「・・・」

 先ほどから視線が痛いんだけど・・・

「・・・」

「フィーリア、何か言いたい事が有れば言ってくれ」

「・・・いえ、私は・・・」

「フィーリア、主人を守るのが眷属の勤めだと常々フィーリアがそういっていたね。だけど、主人を諌めたり自分の意見を言えなかったり、そして何より主人を信用できない者は本当の意味で主人を守る事はできないと思うぞ」

「っ!」

 フィーリアは何かに気付いているか、何かを隠している。
 それが何かは分からないが、俺の眷属であるフィーリアが俺に言えないような事なのは確かだ。

「1日、いえ、明日のお昼までお暇を頂けないでしょうか」

「・・・分かった、それでフィーリアの気持ちの整理ができるなら行っておいで」

 フィーリアは俺に一礼して部屋を出て行った。
 残ったのは俺だけだ。
 俺の執務室だから俺だけになる事もあるのだろうが、これまで必ずと言ってよいほどフィーリアが傍にいた。
 もしかしたら初めてかも知れないな。






「ビンゴよっ!」

 扉が乱暴に開け放たれ鼻息の洗いクララが飛び込んでくる。
 その後に続いてプリッツが入ってくる。

「クララ、もう少し静かにできないか?」

「これが静かにできるわけないでしょ! クリストフ、見つけたよ!」

「クララ、落ち着いて! クリストフ君、ラミルダ第4王女殿下とベリグザイム王太孫殿下を見つけたよ。今はプリメラさんに見張ってもらっているよ」

「そうかっ! で、どこに? 姿を確認したのか?」

「ベルム公国の領事館内だよ。姿に関しても確認しているよ」

 目標が絞られれたとは言え圧倒的な速さでお2人を見つけた情報部。
 数が居ないので面での情報収集活動はできないが、点での情報収集は本当に優秀だ。
 情報部への慰労の言葉は後回しにさせてもらい俺は早速登城し、陛下(タヌキ)に謁見を申し入れた。
 勿論、あの後すぐにベルム公国の領事館内を千里眼で確認し2人の姿を確認している。
 状況としてはあまり良くはない。

「おぉぉ、ブリュトイース伯、参られたか」

「はい、陛下。今日は例の件でご報告がありましてまかりこしました」

「し、して、どうか?!」

「こちらを・・・」

 今回のあらましを報告書にしている。
 それを陛下(タヌキ)に渡し、陛下(タヌキ)は顔を真っ赤にし報告書を握りつぶす。

「お、おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 陛下(タヌキ)は人目も憚らず激昂した。
 ジムニス兄上をはじめとした護衛騎士たちも陛下(タヌキ)の激昂にうろたえる。

「ぐぬぬぅぅぅっ、はぁはぁはぁ、・・・・・・こ、この報告書は事実なのだなっ?!」

 机を乗り越えて俺ににじり寄り胸倉をつかまれてしまったぞ。
 いくら何でもこれはあかんだろ。

「手の者が確認しております。ただ、救出するまでに至っておりません。現在、手の者を張り付かせております・・・あまり時間がないとお考え下さい」

「クリストフ、いったい何が?」

 溜まらずジムニス兄上が声を上げた。
 だが、その声に対して俺が応えることは無かった、何故なら陛下(タヌキ)が号令をかけたからだ。

「ブリュトゼルス隊長、動けるものだけでよいっ! 今すぐ騎士団と魔術師団を召集せよ! 更に決して動きを外に漏らすな! 城から蟻一匹出すでない!」

「はっ!」

 ジムニス兄上は執務室を出て行った。
 どうでも良いが、その手を放してくれるかな。
 陛下(タヌキ)の唾が顔にかかっているんですが・・・

「あ、あの・・・陛下・・・」

「なんじゃっ?!」

 護衛騎士の1人が陛下(タヌキ)の姿を指摘したかったのだろうが、陛下(タヌキ)の勢いにと言うか怒気に気おされ後ずさる。

「ゴホンッ。陛下、そろそろこの手をお放し下さい」

「む? こ、これは・・・うむ、す、すまなんだな、ブリュトイース伯」

 少し落ち着いたのだろう、俺の胸倉を掴んでいる手を放し奥のソファーに向う陛下(タヌキ)

「ブリュトイース伯、こちらへ」

 ソファーに座ると俺は確認すべき事を確認する。

「騎士たちを集めどうなさるおつもりで?」

 そう、ベルム公国の領事館に騎士たちを向わせてどうするかって事だ。
 兵力で鎮圧するか、威圧し投降を呼びかけるか、この2択になるだろう。
 だが、それでは下手をするとお2人の命が危ないし、間違いなくベルム公国とは戦争となる。
 勿論、ベルム公国とは国境を接していないので直接的な戦争ではなく、国交断絶や昔の地球であった東西冷戦のような状態になるだろう。
 どうするか決めるのは陛下(タヌキ)だ。

「決まっておろう、ベルムの腐れ外道共を皆殺しにしてくれる」

「ベルム公国の後ろには間違いなく聖オリオン教国がいるでしょう。そして我が国の中にも」

「なっ! ブリュトイース伯! 貴殿は我が国に裏切り者がいると?!」

 護衛騎士もざわつく。

「・・・残念ながら」

「その不埒者はいったいっ!」

「その報告書の後半に記載しておりますが私がベルム公国に目を付けたのは暗殺対象が全て国王派の貴族たちだったことと、陛下よりいただいた情報で分かったブリガンティの存在。ブリガンティの後ろには聖オリオン教国がおります。この王都で捜索ができない場所で聖オリオン教国の息がかかった場所はベルム公国の領事館か領事館が所有している土地でしょう。そして最近ベルム公国と頻繁に繋ぎをとっている者がおりました」

 陛下(タヌキ)は身を乗り出してくる。

「その者とはっ?!」

 俺が言いにくそうにすると「咎めはせんっ! ここだけの話であるっ!」と詰め寄ってくる。
 報告書に書いてあるから読んでくれとは言いずらい。

「その者は、・・・ブレナン伯です。但し、ブレナン伯については証拠が揃っておりません」

「くっ、あの不埒者がぁぐぐぐぐっ」

「陛下、落ち着いて下さい。ブレナン伯に関しては証拠はありませんから・・・」

「構わぬ。・・・ベルムの領事館を急襲し証拠を押さえれば良いのだ」

 そこにジムニス兄上が戻って来た。

「陛下、30分後には第二騎士団及び第三魔術師団の召集が完了する予定です」

「うむ、今回の件はブリュトゼルス隊長を総司令官とする。補佐としてブリュトイース伯も行ってくれるな?」

 乗りかかった船だし、行かないって言える雰囲気ではないな。

「ご下命、承りました」

「うむ、ブリュトゼルス隊長はブリュトイース伯に詳細を聞いてくれ。これは戦争であるっ! 掃討せしめよ!」

 その後、俺はジムニス兄上について騎士団の詰所に向う。
 既に多くの騎士と魔術師が集まっており、広い練兵場が人で埋まっていた。

「詳細は分かった。であるなら、まずはお2人を救出する事が最優先だな。何か策はあるか?」

「それに関しては問題ありません。私に任せてください――――――」

「そうか、ならば、俺たちはお前の合図があるまでベルム公国に気付かれないように領事館を遠巻きに包囲する事にする」

「そうして下さい。それと――――――」

 俺はジムニス兄上に耳打ちする。
 この際だから打てる布石は打っておきたいよね。

「ふっ、お前はまったく・・・ブリュトゼルスはお前が継ぐべきだったんだろうな・・・」

「な、何を言っているのですか!」

 ジムニス兄上の不意の言葉で俺は焦ってしまった。

「変な意味じゃないぞ、俺は剣には自信があるが頭の方は人並み程度だ。父上やお前のように領地を上手く治める事はできんだろう。自信が無いんだよ、はははは」

 力なく笑うジムニス兄上は本当に自信がないのだろうと思う。
 だけど俺だって自信があるわけじゃないし、ジムニス兄上の言うように領地を上手く治めているとは思っていない。
 実際、ウードやフェデラーをはじめとする部下たちに多くの負担をかけている。

「ジムニス兄上、為政者に必要なものは人を見る目と決断力だと私は思っております。そしてジムニス兄上にはそのどちらもあると私は思っています」

「ふ、お前に言われると不思議とそう思えるな・・・すまなかった。今のは忘れてくれ」

 吹っ切れてはいないだろうが、ジムニス兄上は気持ちを切り替えたようだ。
 それとほぼ同時に各隊長から集結完了の報告がある。
 ジムニス兄上は俺に頷き、俺もジムニス兄上に頷く。

 ジムニス兄上は集まった騎士や魔術師の前に向う。
 そして壇上に上がると槍の石突を台に打ちつける。
 その音は練兵場に響き渡り、練兵場はシーンと静まり返りジムニス兄上に皆の視線が集まる。

「皆の者、良く聞け! 私はジムニス・フォン・ブリュトゼルスだ。今回の作戦の指揮を執るっ! 今回の作戦は陛下よりの勅令によるものであり我が神聖バンダム王国にあだなす者共を掃討する」

 そしてジムニス兄上が補佐官として従軍する俺を紹介する。

「クリストフ・フォン・ブリュトイースです。今回の作戦に参加させて頂きます」

 俺は今回の作戦内容を説明する。
 当然のように隊長たちをはじめとした騎士団員や魔術師たちは俺の話に憤りを覚える。

 ジムニス兄上が剣を抜く。

「今回の作戦はラミルダ第4王女殿下とベリグザイム王太孫殿下の救出が最優先である! 我らが暗殺者を止める事ができなかったせいでお2人は攫われた。汚名返上のチャンスが回ってきたんだっ! 我らの命に替えてもお2人を救出するっ!」

『おうっ!』

 ジムニス兄上の話を聞き皆が力強く応える。

「これは訓練ではない、戦争であるっ! 日頃の訓練の成果を見せろっ! 王国騎士団の力を見せろっ! 王国魔術師団の力を見せろっ!」

『おおおぉぉぉぉぉっ』



 
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