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チートあるけどまったり暮らしたい のんびり魔道具つくってたいのに 作者:なんじゃもんじゃ

3章

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097 オリオンの落日4

 

 アナスターシャ・クド・アズバン:生還
 フリードリッヒ・クド・セバイス:生還
 アムレイザ・クド・ブレム:重傷・生還
 ウレイモネン・レストス:生還
 ロジブリ・アクスム:生還
 レイザー・ハイリフ:生還
 クザント・アッテンボロー:戦死
 アレクセイ・ジン:重傷・生還

 今回の奇襲攻撃では1人が戦死し重傷者は2人であった。
 敵陣の真っ只中に放り込まれた事を考えれば上々の結果だったと思う。
 勿論の事だけどフィーリアとリリイアは無傷で生還している。

「今回の奇襲作戦における第一の功はウレイモネン・レストス殿ですね。レストス殿にはこの3つのリングの中から好きな物を選んで下さい」

 いや~、ビックリだわ。
 ウレイモネン・レストスはベセス伯の外孫だけど武勇は受け継いでいなかった。
 だから当初はベセス伯に考え直すように促した事もあったほどなんだよ。
 彼が今回の奇襲作戦に参加したのも全てはベセス伯の命令だったが、彼が武功を立てたのはまったくの偶然だ。
 てか、偶然に偶然が重なった超奇跡的な武功だ。
 言ってみればラッキーパンチが当たってしまいKOって感じ?
 彼は転移早々、物陰から物陰に移り敵兵を避けながら息を潜めていたのだが、他の転移した者たちが派手に暴れまわったお陰もあり敵の副司令官であるレジスネン将軍を討ち取っているのだ。
 このレジスネン将軍は聖クロス騎士団出身の将軍で実質的な司令官だと考えられており最も価値のある人物であった。
 実際にレジスネン将軍と戦っていたのはロジブリ・アクスムだったがレジスネン将軍が不利と見た敵兵に横槍を入れられてとどめを刺せなかったし、追撃しようと思っても邪魔され深手を負ったレジスネン将軍を取り逃がしてしまったのだ。
 そして重傷を負って命からがら逃げおせたレジスネン将軍はウレイモネンに遭遇し首を取られたというわけだ。
 レジスネン将軍にしてみればやっとの事で生き残れたのに運がなかったし、ロジブリにしてみれば武功を横取りされたようなものだが、ロジブリに関してはその事を気にしてはいないようだ。
 まぁ、ウレイモネンにとしては好運だったというわけだな。

「・・・有難う御座います。・・・豪腕のリングを・・・」

 俺はウレイモネンに豪腕のリングを手渡すと耳元で囁く。

「どんな状況であっても功は功ですよ」

 彼はビクっと体を強張らせたが、俺は彼の肩をポンポンと手で軽く叩く。

「おめでとう! ・・・さて、第二の功はアナスターシャ・クド・アズバン騎士爵です。残っているのは疾風のリングと鉄壁のリングですが、どちらにしますか?」

 今回の武功としては総大将クラスの首級をあげたウレイモネンに軍配があがったが、言い方がおかしいかも知れないが実績としてはアナがナンバーワンだ。
 アナのあげた武功は大隊長クラスの首級1つを含む74首でこれは文句なしの武功だ。
 アナはもともと大柄な体格だが背筋を伸ばし胸を張っているので実際の体格よりも大きく見える。
 そんな彼女がゆっくりと前に進み出てきて俺が差し出している手から無雑作に疾風のリングを掴み取る。
 彼女にしてみればどちらのリングでも良かったのだろう、全く選んでいなかったようだ。

「面白かったよ・・・ところで、今度あの娘たちと手合わせをさせておくれでないかい?」

 アナはフィーリアとリリイアがいる方を顎でしゃくり俺の回答を待つ。
 全く戦闘狂ってのは皆同じで、強い者を見ると直ぐに戦いたがるよ。

「この戦いが終わり、訓練であれば構いませんよ」

「ああ、それで構わないよ。しかし若様の所は楽しそうだねぇ」

 俺はアナの獰猛な視線を受け流し苦笑いをする。
 彼女にとって戦場は公園のようなものなのかも知れない。
 遊具で遊ぶように敵兵を弄ぶアナの姿が簡単に想像できるだけに、目の前にいる大柄で赤毛の女性がとても恐ろしく感じる。

「では、最後に第三の功です・・・レイザー・ハイリフ殿。ハイリフ殿には鉄壁のリングを与えます」

 このレイザーという男の武功は隊長首2つをふくむ53首で、武功4位のアムレイザとは僅差だった。
 バネス子爵家の陣借りとしてこの戦に参加している彼は軽く会釈しリングを受け取る。
 一言も発せずバネス子爵の元までもどると手にしていたリングをバネス子爵に渡したのにはビックリした。
 彼にとっては英雄級のマジックアイテムはそれ程価値のある物ではないらしい。
 なら、何故今回の奇襲作戦に参加したのか?
 彼の事は多少なりとも聞いているが、恐らくは父親へのあてつけではないだろうか?
 彼は英雄級のマジックアイテムを得てそれを恩のあるバネス子爵へ献上した。
 父親の事は直接は知らないが、父親が聞いたら歯噛みして悔しがったのではないかな?
 それと恩があるバネス子爵に報いるというものだろうか?
 どちらも有り得るが、俺としてはどちらでも構わないし、大して気にする事でもない。

 今回の奇襲作戦という名の嫌がらせは敵の副司令官や隊長級の首を幾つか得ており、対して味方の被害は皆無に近い死者1人であるので大成功と言って良いだろう。
 流石にここまでの戦果は俺も考えていなかった。
 恐らく敵は混乱しており翌朝の出陣は延期されるのではないだろうか?
 てか、延期だろうな。

 俺が仕掛けたのは今回の奇襲だけではなく、他にもあるしね。
 今回の奇襲作戦の影に隠れているけど実は奇襲で混乱している敵の兵糧を大量に奪取している。
 これはカルラ、ペロン、プリッツの3人が極秘裏に動いた結果で、膨大な兵糧や武器・防具、それに矢弾などを奪取している。
 恐らく奇襲によって首脳陣の首を幾つも取った事以上に敵に対しての嫌がらせになっているだろう。

「随分と楽しそうだね?」

「俺の領地で暴れた報いは万倍以上にしてお返ししないとね。ペロンも今回の物資の奪取で功をたてたから晴れて騎士爵に叙爵だ」

 戦死者も1人出ているので手放しで喜ぶ事はできないが、それでも戦死者1人に対して膨大な戦功を彼らは立てている。
 戦死したクザント・アッテンボローの家族の面倒はしっかりとさせてもらう。
 必要ならば家族を引き取り生きる道を与えてやる。
 烏滸がましい考え方ではあるだろうが、これしか俺にはできないからな。

「僕が貴族だなんて・・・父さんたちも喜んでくれるかな?」

「ペロンはカルラを嫁にするんだ。せめて男爵になっておかないとな。望んだ戦乱ではないが、折角なので利用させてもらおう。だからもっと戦功を立てよう!」

 今回の戦いでペロンには更なる戦功を立ててもらう予定だ。
 もともとカルラ本人は騎士爵で子爵家の息女だし、プリッツは騎士爵家を継ぐ予定なので平民のペロンにはここで戦功を立てて最低でも騎士爵へ叙爵させる予定でいた。
 クララも無爵ではあるが、彼女は騎士爵家の息女として貴族に準じた地位があるし、これまで王都で活動していた事で中央の官僚や他の貴族に顔が売れているので、そう遠くない時期に叙爵する事になるだろう。
 なので今回はペロンの叙爵を優先する。
 これまで俺を影から助けてくれたペロンにはそれなりに報いてやりたいし、報いなければ俺の気がすまない。

「敵は今回の奇襲と兵糧消失でかなり混乱しているだろうから、明日はこちらから打って出るつもりでいる。皆の奮闘に期待する!」

 この場にはカルラ、ペロン、プリッツ、フィーリア、リリイアの5人がおり、俺は5人に激を飛ばす。

「「「「「了解!(しました)」」」」」





 翌朝早く、こちらから打って出る。
 敵が混乱して出陣を取りやめたからといってこちらがそれに合わす必要性を感じない。
 てか、敵の弱ったところに付け込むのは戦いとしては当然の事だ。
 先陣はアカイザーク・フォン・ベセス伯爵率いる500隻、この500隻の中にはフェデラーが指揮するホエール級1番艦『光月』も組み込まれておりベセス伯も光月に乗り込んで部隊の指揮を執っている。
 そしてペロンもフェデラーの補佐官として光月に乗り込んでいる。
 プリッツには別の任務を与えているし、カルラには俺の補佐官として本陣に詰めてもらっている。
 勿論、フィーリアやリリイアは俺の護衛として俺のやや後方に控えている。
 それとブリュトゼルス辺境伯家の秘蔵っ子でもあるロザリア団長も本陣詰めだ。

 500隻からなる大部隊がジルペン要塞の係留場から出陣していく光景は圧巻であり、その中でも光月の威容は群を抜いている。

「光月は動く要塞ですね」

「父上にはホエール級2番艦を購入してもらう予定だからロザリア団長も乗艦の機会があるでしょう」

「それは楽しみね、ふふふふ」



 
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