第八話〜電話・灰原とコナン〜
コナンは必死で千代を説得するがまったく聞こうとしなかった。
「嫌なんだよ。俺の前でそんな事されるの。俺が崖から落ちたの犯人を助けるため。それに俺を助けたのあんただろ? 助けてぇんだよ。あんたも」
静かに千代の耳の側で囁くコナンは弱々しい声だった。
「ごめんね。でもやっと見つけたダイヤをキッドにそのまま取られるわけにはいかないのよ」
そのまま部屋を出ていってしまった。残されたコナンは歯切りをした。
自分の無力さに嫌気がさすほどだった。
千代は部屋を出た後どこかに電話をかけ始めた。
「阿笠ですけど?」
「夜分すみませんね」
千代がかけた場所は阿笠博士の家だった。
「あなた、もしかして!?」
「ええ、私よ山本千代。彼の記憶全てもどってるわ。伝えたい事はそれだけ」
「ちょっと待って! 江戸川君の声を聞かせて!?」
千代は少し考えてから“わかったわ”と返した。
「ほら、灰原哀って子が声聞きたいってさ」
千代はコナンの耳に受話器をあてた。
「工藤君? 大丈夫? 記憶全部戻ったの?」
今までに聞いたことの無いような焦り声にコナンは少し驚いた。
「ああ、大丈夫だ。記憶も全部戻ってるよ」
落ち着いた声を灰原に聞かせた。
「そう。ならいいわ。そうそう、愛しの彼女が貴方をずっとさがしてるわよ?」
「え? ああ蘭のことか。元気だって伝えといてくれねぇか? まだ帰れそうにねぇんだよ、それにこの事内緒にしといてくれねぇか?」
「それは貴方の状況次第で決めるわ。今どうしてるの?」
「一言で言えば監禁かな」
コナンは苦笑しながら千代をみた。千代が少しだけ睨み付けた。
「ちょっと何笑ってるのよ!! 何もされてあいの」
呆れた声で、でも慌てたような声が電話の向こうから聞こえた。
「だから大丈夫だって。ただ拘束されてるだけだし、怪我もしてねぇし、だから頼むこの事内緒にしててくれねぇか? 」
「わかったわよ。ちゃんと帰って来なさいよ! ほんとあなた何かにとりつかれてるわよ。帰って来たら、お祓いしてもらいなさい」
「ハハハ……ほっとけ」
「まぁ頑張りなさい名探偵さん?」
コナンが文句を言う前に千代が受話器を取り上げた。
「じゃぁね。そう言うことだから」
そのまま千代は受話器を置いた。
「あなた喋りすぎ」
千代はコナンをおもいっきり睨んだ。
「じゃぁ、あんたが無理矢理でも会話を中断すれば良かったじゃねえか」
「それは……」
「それに内容事態は一言も喋ってねぇぜ?」
「わかったわよ! そこにいなさいよ。出なきゃ殺すわよ」
「ご勝手に」
不適な笑みで千代を見た。千代はそのまま出ていった。部屋は空しく鍵の音だけが聞こえた。
〜阿笠邸〜
灰原はため息を付きながら受話器を置いた
「それでどうじゃったんじゃ」
「工藤君なら大丈夫よ」
「じゃが哀君新一が大変なことになってるんじゃろ?」
「ええ、でもそれは彼と犯人の問題。私たちは彼が帰ってくるのを祈るだけ。わかったかしら博士?」
灰原はもう迷うことなく博士に有無をいわせない口調だった。
「哀君がそこまで言うなら信じてみよう」
博士はアタフタしながら灰原を見た。その顔はさっきとちがい優しい顔だった。
「ありがとう博士」
灰原はまた受話器を持って電話をかけた。
「はいもしもし毛利探偵事務所です」
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