第二話〜夫婦との出会い〜
〜浜辺〜
四十代の夫婦が浜辺を散歩していた。
「ね、あなた。彼処に誰か倒れているわ」
何処かお洒落な女の人とごく一般的な男の人。二人が見た人それは小学生くらいの少年だった。女の人が駆け寄る形でその少年を抱き上げた。辛うじて息があった。そして痛々し怪我。夫婦はすぐ病院へと連れていった。
医者がいうには崖から自殺したかもしれないという。息があるだけでも奇跡だった。怪我は切り傷と全身打撲傷そして後頭部強打だった。
身元なんて分からない状態で二人はその少年を預かるといい、医者から了承を得た。
〜三日後〜
少年は目を覚ました。困惑したように周りを見渡し二人に気付いた。
その光景を見て男の人があわてて、起き上がった。
「おお。やっと目を開けよった。おい、千代!千代」
男の人は千代の肩をゆすり起こした。
「ボウヤ大丈夫かね? お名前は?」
心配そうに彼を見た。しかし彼の様子がおかしかった。
「な……まえ?」
「そう名前。なんていうの?」
「わからない……何も覚えてない」
夫婦は驚いて看護婦をよび診察をしてもらった。
「記憶喪失ですね。後頭部強打によるものですよ」
深刻そうに医者は二人に報告した。しかし、二人はさほど驚いてはいなかった。
「では、あの子治るのですか?」
「大丈夫だと思います。これは一時的な症状ですから」
「すみませんがあの子を引き取らせてください。記憶がもどるまででいいです。お願いします。」
医者に深々と頭を下げるともう一度了承を得た。
検索もおわり少年は、病室に戻った。
「今日から私達がお母さんとお父さんだからね」
少年におばさんが話しかける。
「そうだ!貴方の名前和樹二人で考えたのよ」
二人はニコニコしながら少年に話しかける。しかし少年は一点を見つめ何かに怯えていた。その何かは一目瞭然でわかった。それは今まで少年が身につけていたであろう蝶ネクタイ型変声機と時計型麻酔銃だった。
「頭……痛い」
少年ーー和樹は頭をおさえて苦しみ出した。その光景をみてお母さんと名乗った千代が抱き締めた。
「大丈夫。大丈夫だから落ち着いて。ね?」
優しい声で一生懸命慰める。そしてその頭痛は少しずつひき、その代わり一人の女性の名を口に出したーー蘭ーーと。 |