第十二話〜無事〜
一時間後小さな呻き声と共に目を覚ました。周りを見渡す。そして千代と目があった。
「もう……終わったから……」
「そっか」
「ごめんなさい。貴方を……貴方を殺そうとした」
千代の言葉に驚かないコナンは別のことに気付いた。
(拘束されてない)
コナンがフッと笑った。
「んで? 殺そうとして殺せなかった訳は?」
自信たっぷりで千代に聞いた。
「分からない」
「それでいいんだよ」
「え?」
「あんたの心にまだ“人間”がのこってたんだから。心の中で葛藤してたんだろ? で、善が勝った。それでいいんだよ」
止まっていた涙がまた流れ出る。布団に入ってるコナンを抱き締めた。コナンは急なことに驚く。
「ごめんなさいごめんなさい」
今日何度目かの謝罪。しかしコナンから以外な言葉がかえってきた。
「千代さん。ありがとう」
次に驚くばんの千代。目を丸くした。
「あなたに感謝されるようなこと、私してないわよ。逆に傷つけてばかりだったじゃない」
抱き締めていたコナンを布団の中に戻した。
「千代さんは俺をまた助けた。これで二回目。もしこの誘拐が千代さんじゃなかったら、多分この世に居なかったと思う。睡眠薬飲んだとき千代さんにはいつでも俺を殺せたはず。でも千代さんは逆のことをした」
目がみるみるうちに大きくなる。限界に近い目でコナンをみた。
「あなた、お人好しって言われたことない?」
「え? あぁ」
曖昧に返事を返した。
「普通ならこんなことされて“ありがとう”なんて言葉思い付かないわよ。むしろ憎むわよ」
“そうか?”とキョトンとした顔をした。
「貴方って何者なの?」
千代は神経にきいた。コナンも目を背けずニッコリわらった。
「僕はただの小学生だよ?」
ニッコリした顔がそれ以上にニッコリした顔になった。
「ほんとかしら?」
千代の疑う目。今度はフッと笑い大人びた顔になったコナンは先ほどより低い声をだした。
「ただの探偵だよ」
コナンの大人びた顔をみると千代は笑みを浮かべた。そして心からの感謝をした。
「ありがとう」
コナンはだるい体を起こそうとしたが千代に止められた。
「今からお粥作ってあげるから大人しく寝ときなさい? まだ、だるいんでしょ」
そういい残し千代は部屋を出ていった。今度は鍵のしめる音はしなかった。
「誰も傷つけることなく終わったんだな」
仰向けの状態で誰に話しかけることなく一人呟き目をとじた。
三十分後
コナンは目を覚ました。起き上がって周りをみたけどまだ千代はきていなかった。
部屋に時計がなく自分自身どれくらい寝ていたのかわからなかった。
「コナン君おきたのね」
数分後ドアが開き千代が両手にはお盆をもって入ってきた。
「出来たわよ」
千代はお粥をお茶碗にいれコナンに差し出した。
コナンは少し警戒した。
「大丈夫よ。薬なんて入ってないから」
コナンは安心してお茶碗を受け取った。少し食べてみる。
「あ、美味しい」
「あたり前じゃない。私これでもレストランで働いてたのよ」
千代は笑いながら、コナンに話した。
「ねぇ、コナン君。明日帰ろっか?」
「え?」
コナンは食べていたお粥の手をとめた。
「もう、終わったし。私も大丈夫だから……哀ちゃんって子も心配してるだろうしさ。ほんとは離したくないんだけどね。だって私たち子供いなかったから。なんか子供が出来たみたいで、手放したくないな」
千代は寂しそうにコナンを見つめた。
「そっか。じゃぁ、明日一日千代さんの子供になってあげる」
ニッコリ笑うコナン躊躇う千代。
「いいの?」
「いいよ」
子供の声を出しわらった。
「じゃぁ、明日遊園地いかない? いって見たかったのよ」
笑いながら千代はコナンを抱き締めた。コナンの顔が少しだけ赤くなった。“これで何度目だろうか”っと心の中で思った。 |