第九話〜電話・灰原と蘭〜
灰原が電話したのは探偵事務所だった。
「灰原です」
蘭はハッとして涙で潤んでいた瞳を拭き取った。
「あの。江戸川君のことで話さなきゃいけない事があるの」
「えっ?」
もう、会えないかも知れないっと心の何処かで思っていたのかもしれない。止めたはずの涙が勢いよく出出来た。
「江戸川君は生きてる」
“願っていたことが叶った”蘭の涙は一瞬で嬉し涙に変わった。
「い、いまどこに?」
涙声で一生懸命声を絞りだした。
「それがわからないの。今、彼記憶喪失なの。それで、『山本千代』って言う人のところにお世話になってて、記憶が戻り次第帰ってくるらしわ」
灰原は出来るだけ蘭を心配させないように教えた。
「そっか!良かった。ありがとう哀ちゃん」
蘭は優しくお礼をいい受話器を置いた。
(大丈夫だよね? コナン君)
自分自身に言い聞かせるように胸に手をあてた。
〜山本宅〜
「フフ、よくねむってるわね」
千代はコナンのいる部屋の鍵を開けた。
朝食に睡眠薬をいれ今はぐっすりと寝ている。千代はコナンを助手席に座らせ、車を発進させた。
窓から吹く爽やかな風を受けながらコナンは目を覚ました。まだ働かない頭を少し降り千代を見た。
「あら、起きたのね。寝顔可愛かったのに」
千代は残念そうにコナンを見た。
「何処に行こうとしてんだよ?」
精一杯の睨んだ顔て千代を見る。少し動いてわかった。今コナンの首筋に細いタコ糸のような物があった。そのタコ糸にはカッターの刃が固定されていた。“動けば動脈切るぞ”と脅されているように……。そしてタコ糸は後部座席に繋がれていた。
「ごめんなさいね。あなたそうでもしないと暴れるでしょ?」
しかし、お構い無くコナンは拘束してある手を動かす。その度に小さな首に小さな傷がついていった。
「もう!わかったわよ。糸はほどくわよ」
千代は車をコンビニの駐車場に止め、コナンの口をガムテープで封じた後、複雑に絡む糸をとった。
そして、コンビニで買ってきた消毒液でコナンの首筋を治療した。少し痛みに歪む顔を見ながら“自業自得よ”っと小さな声で呟き、手のロープをきつく結び直し、ガムテープを外し車を発進させた。 |