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美味しい蜜の花

作者: たぬき

花の一生。

それは意外と知られていないが、非常に過酷なものである。

種から芽を出した瞬間から、周りの花との競争が始まるのだ。


より美しく咲こうとする花もいれば、より強い香りを求める花もいる。

一定のタイミングで、花達は周囲の花達と比べられ、大きく劣るものは間引かれていく。

生死を賭けたまさに戦争。


そんな中で、誰よりも美味しい蜜を作ろうとする花が一輪咲いていた。

その花は生まれながらに伸びしろが大きかった。

そして、その花は伸びしろを美しさや香りに全く使うこともなく、

美味しい蜜を作るために使用した。


先輩の花達は、そんな一途な花を見て、何度もアドバイスをしていた。

「少しくらい見た目にもこだわらないの?」

「香りがないと、ミツバチにも気づいて貰えないよ?」

しかし、その花は聞く耳を持たず、

ただひたすら、美味しい蜜を作るために全精力を傾け続けた。


「みんな見た目ばかりを気にして馬鹿みたい。

 私は中身で勝負するのよ。」


結果、その花が立派に咲く頃には、美味しさだけでなく、栄養価も抜群。

誰もが羨望する素晴らしい蜜を作る花が出来上がった。


「さぁ。ミツバチさん達いらっしゃい。」


しかし、飛んでくるミツバチが蜜を吸っていくのは周りの花達。

素晴らしい蜜を持つ花には一匹のミツバチにすらやって来なかった。


ミツバチが飛んで来ない限り、花は受粉することができず、子孫を残す事ができない。

こうして、素晴らしい蜜を持つ花は、一代限りの花としてその生涯を閉じてしまった。



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