表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

美味しい蜜の花

作者: たぬき

花の一生。

それは意外と知られていないが、非常に過酷なものである。

種から芽を出した瞬間から、周りの花との競争が始まるのだ。


より美しく咲こうとする花もいれば、より強い香りを求める花もいる。

一定のタイミングで、花達は周囲の花達と比べられ、大きく劣るものは間引かれていく。

生死を賭けたまさに戦争。


そんな中で、誰よりも美味しい蜜を作ろうとする花が一輪咲いていた。

その花は生まれながらに伸びしろが大きかった。

そして、その花は伸びしろを美しさや香りに全く使うこともなく、

美味しい蜜を作るために使用した。


先輩の花達は、そんな一途な花を見て、何度もアドバイスをしていた。

「少しくらい見た目にもこだわらないの?」

「香りがないと、ミツバチにも気づいて貰えないよ?」

しかし、その花は聞く耳を持たず、

ただひたすら、美味しい蜜を作るために全精力を傾け続けた。


「みんな見た目ばかりを気にして馬鹿みたい。

 私は中身で勝負するのよ。」


結果、その花が立派に咲く頃には、美味しさだけでなく、栄養価も抜群。

誰もが羨望する素晴らしい蜜を作る花が出来上がった。


「さぁ。ミツバチさん達いらっしゃい。」


しかし、飛んでくるミツバチが蜜を吸っていくのは周りの花達。

素晴らしい蜜を持つ花には一匹のミツバチにすらやって来なかった。


ミツバチが飛んで来ない限り、花は受粉することができず、子孫を残す事ができない。

こうして、素晴らしい蜜を持つ花は、一代限りの花としてその生涯を閉じてしまった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ