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鉄鋼車にて異世界へ  作者: 詩月凍馬
本格運営と樹の歪み?
51/57

依頼の終わりとお茶会と

またしても遅くなりました。

何だか例年以上に忙しいので若干戸惑い気味ではありますが、合間を見つつ少しづつ書き進めています。

ですので、申し訳ありませんが今しばし落ち着くまでは不定期なってしまうと思います。


 さて、年も明けて既に月半ばまで来た今日この日。

 

我ら運び屋ヤムラは何をしてるかってぇと――


「はぁ~・・落ち着きますね~」


 ・・・何故かまたしても女神さんとお茶してたりする。


 あぁ、いや、別に良いんだけどね?

 今日の所は依頼もないし、予定って予定もないからさ。


 ただ、なぁ・・・。

 この女神さん、ちぃっとばっかしホイホイと現界(女神さん始めとする神様達が地上に降りてくる事をこう言うんだそうな)し過ぎなんじゃなかろーかとふと思う。


 神々の現界=世界を揺るがす大事件ってのが常識――あぁ、これは地球育ちの俺だけじゃなく、セイリーム育ちのクーリア達にとってもって事な?

 まぁ、地球とセイリームにとって共通の常識だった筈なんだけど、僅か数ヶ月の間にこうして二度目のお茶会してるってどうよ?


 何となくこの女神さん相手に言っても仕方ない気がしてならんので、別に口に出したりせんけどさ。


 ま、まぁ良いや。

 で、二度目って事もあって若干慣れた感もある女神さんとのお茶会は、前回に比べて遥かにノンビリムードで進行中。

 クーリア達が慣れたのか、それとも世界樹茶の御蔭なのかは今一良く解らんものがあるけどな?


 理由はともあれ、今回の参加者であるクーリアとイリアさんはお茶菓子をお供にノンビリ和やかに女神さんとお話する、なんて偉業を達成している訳だ。


 ・・・うん、多分これ、お茶とかどうとか言う前に、女神さんの天然オーラにやられたんだと思われる。


 前回みたいに度を超えて緊張してたりすれば別だけど、比較的落ち着いた状態であれば問答無用で和みモードに引き込んでくれるのよ、この女神さん。

それと同じ位には、驚かしたり困惑させたりもしてくれるけど、取りあえず今は置いておくとして。


今話題になってるのは、俺らが受けた神殿絡みの以来の顛末。


バスケのコート自体は去年の内に作り終えてはいたんだけど、何分こっちで バスケは初めての試みっつー事もあって、練習・・・と言うか、バスケ自体に慣れるまで少々時間が必要だった。

 ま、これは当然っちゃ当然ではあるけどね。


 地球で言う所のプロフェッショナルリーグと違って、見物にお金は取らないとは言え、大前提が「見せもの」である以上はある程度の技量は必要になってくる訳で、ルール教えました、一回適当に試してみました、ではちょっと問題あり。


 せめてプレイする人達と審判はルールを確りと理解して体験し、スムーズに試合が流れる様じゃなけりゃダメでしょう。

 僅かな時間の中で何度も審判の笛が鳴り、その度試合が中断そして再開とか、見ててじれったいし面白くない。


 なんで、実際にプレイする神官さん達がバスケに慣れるって必要もあって、記念すべき第一回のバスケ試合観戦会は年が明けてからって事になった訳だ。


 ここには年末年始にかけて神殿はそれなりに忙しいってのもある。

 幾ら街全体として祝う事をしないとは言え、経験な信者ともなれば一年の最後にその年を振り返って身の行いを懺悔し、年の初めに今年一年を清廉の内に過ごす誓いを立てるって習慣があるらしい。

 で、それはただ単にアルマナリス神の写し身である神像に向かって祈れば良いって訳じゃなくて、キチンとした形の神事として行うんだそうな。


 まぁ、実際に参加した訳じゃないから詳しい事は解らないけど、それに向けた準備や後始末なんかが年末年始には予定されてるってのは解った。


 ちなみに我らがヤムラ家の場合は、クーリア達セイリーム出身組が揃って信仰対象が女神さん――つまりは世界中の女神リネーシャ様な訳で、我が家で静かにお祈りって形だった。

 このバナバの街には女神さんを祭った神殿はなかったしね。


 後、神殿側の予定以外にも年末最後の三日を『回顧の日』、明けて最初の四日を『定めの日』として仕事を休んで家で過ごすって言う習慣もあった事も理由の一つだ。

 『回顧の日』の三日間で一年を振り返って自分と家族の行いを見つめ直し、『定めの日』の四日間で去年の反省から新しい自分と家族を始める為の誓いを定めるって習慣らしいけど、まぁ、日本で言う大晦日と三賀日みたいなもんだと思えば良いかな。


 それらの都合上、神殿と街がある程度落ち着くまで待たなきゃならなかったって訳だ。


 よって、実際に行われたのは先週――セイリームの一週間は樹火土金水に加えて風と命を加えた七つの属性が割り当てられた都合八日間。

 その内、地球で言う日曜日に当たるのが『樹』の日って事になるんだけど、年が明けて二回目の樹の曜日にセイリーム世界初めてとなる公式――と言って良いのか良く解らんが――バスケ試合が行われる事になった。


 スポーツって概念がないこのセイリーム世界に置いて、初めてのスポーツ観戦会って事もあって、ちょっと心配してはいたんだけどその結果はと言えば――


「実際に自分でもやってみて楽しいのは解っていたんですけど・・・まさかあんなに見に来てくれる方が多いとは思いませんでした」


 と言うクーリアの言葉が物語ってくれていると思う。


 勿論、試合に先立って街のみんなに宣伝はしていたし、出来る限り見に来てくれる人が多くなる様にって俺達ヤムラ家も神官さん達も頭を絞ったのは確かだけど、あれはちょっと驚いたかな?


 まぁ、結果的に大成功って言って良い状態だったから、俺としても嬉しい所ではある。


 ある程度・・・ではあるけど、バスケに慣れてきた神官騎士が行った試合はその高い身体能力と、時折使われる身体強化の術式によるブーストなんかもあったりして、中々に派手で見ごたえのある試合を見せてくれた。

 日頃から連携を意識した訓練をしてる事もあって、中にはアッと驚く様なチームプレーを見せてくれる時もあったし、地球のプロプレイヤー以上にダイナミックなんじゃなんて個人プレイも見れた。


 そんな試合は特に娯楽って言えるものが少ない世界って事もあって、大反響の内に終われた訳だ。


 一応、本来の目的である『神殿と民の距離』とか、『孤児達の受け入れ先探し』なんて面でも一応は前進したって思って良いんじゃないかな、あれなら。

 試合の最後に今後、二週目の樹の曜日に試合をやるよって事を伝えたら、見に来てた街の人達は大歓声を上げてたし、見学者の整理だとかなんかには神官以外にも孤児達も手伝いに出てたりもした。

 加えて、試合が終わった後はそんなに長くはないとは言え、神殿側と街の住民が触れ合える様な時間を取ってもいたから、以前よりは距離は近づいているんじゃないかと思う。


 まぁ、そんな中で驚いた事が一つ。

 流石に場所が神殿の中庭――それも厳格で有名なアルマナリス神の神殿なだけあって、集まってくれた人達もキチンと節度を持った態度で居てくれたから良かったけど、あれが無秩序なまんまだったら怪我人量産されてたのは間違いないと思われる。

 背の低い子供や女の人なんかが見やすい様に前の方に入れてやり、お年寄りなんかは出来るだけ用意した椅子に座れる様にって自然に行動してくれてるのが俺的にはちょっと驚きだったね。

 日本じゃ電車に乗った時、目の前に御老人が居ても座ったまま知らん顔でスマホ弄ってる若者もいる事を思えば、俺が驚いたのも解ってくれると思うんだ。


 なんで、その辺りの事を言って見ると、女神さんは小さく苦笑を浮かべる。


「イツキ様の世界の事は良く存じませんが・・・この世界とて、全てがあのようであるわけではありません。あの場が神殿であったればこそ、とも言えます」


 イリアさんはそう言うと、一度お茶で喉を示して続ける。


「お話を伺っただけではありますが、イツキ様の居らした地球と言う世界より、こちら――セイリームの方が神々と人の距離は近い様に思います。実際、神罰や加護と言った形でそれが示されておりますし、だからこそ『神が住まう場所』である神殿での不貞は避けるのです」


 そう言うイリアさんの言葉を聞いて、あぁ、と納得。


「って事は、あれは場所故って事か・・。そりゃ目に見える形で罰則喰らうって解ってれば気をつけもするわなぁ」


 まぁ、それを踏まえてもって気がしないでもないけどさ。

 そんな風に考える俺に女神さんは苦笑を浮かべたまま口を開く。


「まぁ、『神殿だから』と言うのは私達にしてみれば単なる迷信なんですけどね」


 ・・・・はい?

 何か今、宗教観ぶっ壊す良―な一言が出てきたよ―な・・・・。


「神殿だから、聖域だからと言う様なものに関わらず、私達神は基本的に世界全体を俯瞰して眺めてるんです。勿論、その中で特に気にかける方が居ればある程度変わりもしますが・・・どの場所を重点的に見ている、なんて事はありません」


 おぅ・・・やっぱ出てきてましたよ。

 っつーか神殿どうこう関係なしっすか・・・。


「って事は、神殿だから大人しく礼儀正しくなんてのは意味なし、と?」


 尋ねる俺に女神さんは首肯。


「はい。と言うより、神殿での行いの方がどちらかと言えば軽視されていますね。私達に近いとされる場所だからこそ、そこ以外での行動を重視すると言うのが神界の基本方針です。過去、私達が神罰を下してきた者達の中にも、神殿での行いは礼儀正しく人柄も柔らかな人格者であり、経験な信徒として振る舞っていた者も多いんです。そしてその裏では罪なき民を虐げ、己の欲望のままに振る舞う。これでは神殿での顔だけで判断する事等出来ませんから」


 あ~、うん。

 そりゃ確かに。

 最初っから気をつけてる場所見るよりは、気が緩んでそうな場所見る方が大事だわな、そりゃ。


「とは言え、神殿と言うのは祀る神を信仰し、その為の研鑽を積む信者達にとって神に近しい場所である事は確かですよ? 信仰の象徴がある事もありますし、それらによって私達に『繋がり易く』もなります。まぁ、そう言う意味ではこの家もあまり変わらなかったりしますね。こうして私が来てますし」


 え~っと・・・良いんだろうか、それ。

 っつーか、実際に女神さんが来てる以上、ある意味神殿よか上なんじゃっつー気がするのは俺だけか?


 そう思いながらクーリアとイリアさんを見てみれば、どうやら同じ事を思ったらしく何だか笑いが引きつって見える。

 いや、まぁ、無理もないとは思うけどさ。

 でもってこれ、神殿にゃ言えんよなぁ、マジで。


 ・・・・・・・。


 何だろう。

 女神さんが来る度に家って秘密が増えってってる気がする・・・。


 そんな事を思いながら見てみれば、微笑んだまま小首を傾げる女神さんの姿。

 それを眺めながら、やっぱり天然って最強なのかもと思った俺は間違ってないと思う。 

 気を取り直して雑談に興じながら、ネリンさん達にこの話聞かせたらどんな反応するんだろーなー、なんて思う俺だった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 地球でもある特定の民族は嫌われてるしな奴ら 何処でも無礼で処置無しだからもう終わってるからな! とうとう優しい日本人も怒らせたので何かあっても 皆見向きもしなよ?地震が起きようが風水害が起き…
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