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活動報告でも書いたけど二字小説のモチベーションがマイナスの意味でやばい。
オリジナル書いている方が楽しいという……
そのうちオリジナルも連載する予定。

なんだろう。禁書への愛が冷めたんだろうかあとちょっと自分の小説読み返して欝にw

それでも一生懸命書いたお話です
初任務編
僅かの意地
「もっと飛ばせっつてんだろうがっ!」

ひぃっ、と情けない悲鳴をあげてアクセルを踏み込む中年の男性を横目に麦野は携帯を操作する。彼はアイテム専属の運転手なのだか、頭がバーコードのようなのはストレスによるものではないかと思わせるほどにびくついていた。
先程から電話がずっと繋がらないこともあいまって、麦野は普段の倍はイライラしていた。
フレンダは先程からそわそわとした様子でときたまぶつぶつと呟いているし、滝壺は窓の外をいつもと違った真剣な眼差しで眺めていた。
せっかく苦労して仲間にしたlevel5が失われようとしている。
しかしそれだけの損失ではない。
麦野達アイテムにとってそのlevel5は、強さ以外の価値を持ち始めていたのだ。

(あのアホ……あたしらが着くまで持ちこたえられんのか?)

そうでなければ冷徹を自負する麦野沈利がこんなに心配するわけがない。

「ねぇ麦野、マコトは大丈夫だよね?」
フレンダの不安そうな眼差しは、明らかに肯定を求めていた。

(世間では二位と三位の力の差は大きいって言われてるし、なにしろあの未現物質の能力は常識外。多分勝てない)

麦野は冷静に脳内で分析する。
実際に今日、垣根と相対し、認めたくないが全くかなわなかった麦野は垣根の実力をはっきりと認知していた。それは他の二人も同じである。

(でも黒神が逃げに徹していてくれていれば、生き残ってるかも。あいつはプライドとかそんな気にしなさそうだし可能性はあるわね……)

麦野は、自分の期待をこめて、大丈夫よ、と一言だけいった。しかし気持ちは伝わったようで、フレンダは少し間をおいて大きく頷いた。

運転手は先程からアクセルを踏みっぱなし。この分ならあと十分くらいで到着するだろう。
しかし、持ちうる駒は今のうちに全て動かすべきだ。麦野はマコトに電話をかけるのを諦めて、唯一現場にいる少女への連絡を試みる。

『はい、何ですか麦野?』

絹旗の様子はいたっていつも通りで、強いて言うなら少しだけ元気がない程度だった。今の状況を知らないんじゃないか、と麦野は推測する。

「黒神は今どうしてる?」

『さぁ、私が超びしょ濡れになって頑張ってるっていうのに電話にすら出ないんです。全く、マコトは…全く……』

会話を聞きたそうに身を乗り出している二人のために麦野は携帯をスピーカーモードに切り替える。

「実はさ、黒神、今第二位と戦ってるっぽいんだよね」

絹旗の息を飲む声が車内に広がる。そして、数秒の沈黙の後、リノリウムの床を靴が叩く音と、荒い呼吸が広がった。

「落ち着けって絹旗。私達もあと十分でそっちに着く。それまでにできるだけ奴の居場所を絞っといて」

『っ……分かりました』

「絹旗」

不意に麦野は絹旗を呼び止めた。思い返してみれば、アイテムで一番黒神と仲が良いのは絹旗だ。下手に垣根を深追いしすぎると、アイテムから二人消える恐れもある。
感情に左右されず、損得で物事を考える。組織のリーダーはそうしなくてはならない。

『……何ですか?』

「無茶すんなよ」

『……分かってます。では』


……


「ふぅ、それにしても全く、無茶苦茶しやがるぜ」

周囲のコンクリートが溶岩のやうにどろどろに溶け、霧のように黒煙が立ち込めている中、学園都市第二位は無傷で立っていた。
嫌な匂いが垣根の鼻をつく。火災現場の数倍悲惨なこの場所に、有害ガスの一つや二つ、存在しないはずがない。

垣根はやれやれと溜め息を落とすと、空気成分以外を通さない物質を作り出し、自分の周囲にフィルターとして展開する。

垣根は当然の如く無傷だった。しかし黒神マコトに対して後手になっていたことは、垣根の自尊心に多少なりとも傷を入れていた。先ほどのマコトの猛攻の間、一瞬でも攻撃に移る余裕がなかったのだ。

「あー、どうしたもんか……面どくせぇしもう殺しちまうか」

先程の様子から見てもスクールにマコトがすんなり入る可能性は皆無だ。もし脅して、成功したとしてもその後裏切る可能性が高すぎる。
そして垣根は気が長い方ではなかった。

垣根は悪魔の、しかし天使のように真っ白な両翼を出現させ、それを重ねて頭上へ持ってくる。
そしてそのままコンクリートの壁に向かって降り下ろした。


・・・


ふぅ、とマコトは研究所外の柱にもたれかかり一息着く。
ここは最初に絹旗と別れた場所で、マコトの傘が立て掛けられていた。傘に付いている水滴はまだ乾いていない。それほど時間がたっていないのだろう。体感時間はかなりのものだったが……

マコトは疲れと安心から蜃気楼を解いた。蜃気楼をかけつつ、能力を使って身体を加速させてここまで来たのだ。この時点で垣根に捕捉されていることはまずないだろう。油断とかそういう不確定なものではなく確信だった。

「マコト!」

「……ああ、絹旗、お疲れさん」

バシャッバシャと水溜まりに足を突っ込むのも気にせず、絹旗がマコトに駆け寄ってきた。傘をさしていないからか、ふわふわのワンピースが水を吸ったスポンジみたいになっている。
マコトは何はともあれ絹旗の肩に手をおいて、服を乾かす。

「ありがとうございます、ってそれどころじゃありませんでした。第二位と遭遇したって本……!?」

絹旗は最後まで言い終わる前に研究所が真っ二つに割れた。いや、割られた。こんなことができる人間は彼しか考えられない。
白い翼が割れ目から顔を出した。しかし産まれてくれるものは可愛い白い小鳥などではない。

「よぉ、さっきはやってくれたねぇ第三位」

真っ黒な悪魔だ。

「盛大にこの俺をムカつかせてくれたなあ」

距離は五十メートル。しかし、垣根にとってその距離は全く問題ない。彼は音速を越える速度を出せるのだから。マコトはとにもかくにも自分と絹旗を隠す蜃気楼を発生させる。
絹旗がごちゃごちゃと言っていたが、位置の捕捉のヒントとなるためマコトは手で口を押さえて黙らせた。

(限界近いけどそんなこと言ってる場合じゃないな)

垣根相手に出し惜しみしてると死ぬ、そう思ったマコトは、蜃気楼をさらに変化させ、自分と絹旗の虚像をいくつも広いグラウンドに作りあげる。

「やれやれ、合理的だが面白味にかける野郎だ」

垣根は驚くこともせず、両翼を水平に伸ばしてゆく。そしてある程度の長さになったところでハサミのように動かした。
ヒュンッ、と風を切る音がほんの一瞬だけ響き、範囲内にあった鉄筋コンクリートの建物がまるで紙切れのように切断され倒壊していく。

「……外したか?」

垣根はマコトの無惨に真っ二つになった死体を発見することが出来なかった。先程の一撃は確実に殺す予定で放ったため、焦りはしないまでも、垣根の心に僅かな隙間が生じた。

一方のマコトはというと、絹旗を左手で小包のように抱えたまま宙に舞い上がっていた。
先程の攻撃を避けられたのは正直七割勘であった。垣根のモーションを見たマコトは反射的に上へ跳んだのだ。
もしも走って後ろへ逃げていたりしていたものならば、今頃二人とも血の海に沈んでいたことだろう。

マコトはそのままゆっくりと落下していく。向かう先には垣根帝督。
地上まで残り三メートル足らず。落下まで一秒かからない距離でマコトは垣根には見えない右手を振り上げた。


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