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 前回の投稿作品において誤字脱字が多かった事をお詫びいたします。
BREAKDOWN
作:山口多聞



緊張する街




新たな登場人物

梅津一佐・・・海上自衛隊護衛艦みらい艦長。米花港で沿岸警備任務に就く。

角松二佐・・・・同艦副長兼船務長。今回は特設陸戦隊第一分隊隊長

尾栗三佐・・・・同艦航海長

大神一尉・・・・同艦特設陸戦隊第二分隊隊長






 ジンの気まぐれは思わぬ所へ影響を及ぼしていた。
 ジン達の姿が目撃されていたのは前述したが、最初警察に通報された時は十人前後の集団が小型ロケット2発でビルを攻撃した、という内容だった情報が、首相官邸に届いた時には、三十人前後の集団が攻撃し、ビルが全壊したと言う大げさな内容に何時の間にかすり替わってた。 この情報に、大曽根首相は過敏に動いた。元々彼はどちらかと言うと右派であったし、ただでさえ、2001年の九州沖不審船事件、2004年のTTR線乗っ取り爆破未遂事件、そして昨年の某国工作員イージス艦乗っ取り事件などで、政府の危機管理能力を問われていたことも理由であった。特に最後の事件では、乗っ取られたイージス艦とそれと交戦した汎用護衛艦、そしてかけがえのない二百名以上の熟練乗員の命が失われているのである。それに加え、今年は爆弾テロが頻発し、少なくない犠牲者が出ていたのだ。いずれも個人レベルの犯行であったが、いつ国家自身を狙ったテロが起こるかわからないのである。そういうこともあり、大曽根首相の決断は非常に早かった。
 午前三時半、自衛隊への出動要請がなされ、また大曽根首相と同じくどちらかと言うと右派である川原都知事も部隊展開に即同意した。とうわけで、東京防衛を担う朝霞駐屯地の部隊に出動命令が下され、午前6時半には最初の部隊が米花町に向かって出発した。
 この時出動したのは、偵察警戒車、装甲車、軽装甲車、ジープ、トラック、バイクを中心とする車両六十両、兵員二百十名でだった。この部隊は米花町到着後、堤向津川緑地公園駐車場を臨時野戦指揮所にして状況を開始した。(もっとも、国民のひんしゅくを買ったが。)
 一方、上記部隊とは別に、首相官邸、皇居、霞ヶ関官公庁街防衛のため、車両70両、兵員二百四十名が出動した。加えて、ABCテロ(核、生物、科学兵器によるテロのこと)に備え、科学防護部隊も出動した、また、警視庁もSATや機動隊を総動員した。これら全てを合わせると実に七百名近い人員となった。
 すごい戦力だ!!と思えるが、実際の所指揮する側は不満だった。なにせ相手はたった三十名のいうなればゲリラ集団。それをこの広い大東京の中から見つけ出すのである。しかも、軍隊のような大規模集団にとって一番厄介なのがこういうゲリラ集団なのだ。何十年も前になるが、北朝鮮の工作員が十名程韓国に進入したことがあった。韓国軍はこれらを殲滅するのに延べ十万の兵員を動員し、半年の月日を費やしたのである。だから兵員七百名というのは心細い数字であった。しかし、左翼や平和団体を抑えるにはこれが限度であった。
 この他に、館山基地などから、対戦車ヘリ四機、偵察へリ四機、対戦車攻撃機四機、輸送へリ六機も出動した。また、横浜の海上保安隊(以後海保)基地では、動ける全ての巡視船と巡視艇を出動させた。また、海上自衛隊(以後海自)も横須賀軍港から、最新鋭へリ空母あかぎ、を旗艦とするイージス艦三,汎用護衛艦六からなる精鋭第一護衛隊群を出撃させた。この部隊は東京湾に広く展開し、不審船や潜水艦への警戒、沿岸警備任務についた。 米花港の沖合いにも最新鋭のヘリ搭載イージス艦みらいが投錨し、二十四時間体制で警戒に入った。













米花港沖合い みらい艦橋


 「艦長、総員戦闘配置につきました。航空隊のSH60Kへリ、海鳥ともに常時発進態勢につき、発進可能です。」
 副長兼船務長の角松二佐(他国の中佐相当)が艦長である梅津一佐(他国の大佐相当)に最終報告を行う。
 「よかろう。」
 昼行灯とあだ名される彼は、いつもどうりのおっとりとした口調でそう言った。しかし、今の姿からは想像できないが、いざと言う時はかがり火のごとく乗員を統率する海の男であるのだ。
 「陸戦隊の方は?」
 「手空き乗員から編成しました。二個分隊三十名です。第一分隊は自分が、第二分隊は大神一尉(他国の大尉相当)が指揮を執ります。」
 みらいには沿岸警備任務にともない、陸戦隊を編成するよう命令が出されていた。
 「しっかし五島列島から戻ったばっかだってのに、司令部も人使い荒いよな。しかも米花町って今年ものすごく犯罪が起こっている所だろ。」
 上層部の愚痴を垂れながら、角松の同期であり、みらい航海長である尾栗三佐が艦橋に入ってきた。
 「まあそういうな康平。この任務が終われば休みだ。それに、まさか俺達が戦う事になるとは思えんよ。」
 角松がなだめた。しかし、そのまさかになるとは彼も想像できなかった。
 「けどさぁ、せめて荷物ぐらい降ろさせてくれたって良いじゃねぇか。ねぇ艦長。」
 「たしかにそうだな。しかし、まさか海自に入って宝石の輸送をやることになるとは思っていなかったよ。」
 尾栗の言われ、梅津もなんとなく憂鬱そうに言う。実は未来、つい四日前まで長崎県の五島列島沖で任務についていたのである。その任務とは、旧海軍の潜水艦の引き揚げを護衛すると言う物であった。
 その潜水艦は、帝国海軍最大の大きさを誇り、米本土攻撃に使われる予定であった伊400型であったのであるが、なんとセイルに描かれていた番号が403であったのだ。この番号の艦は欠番となり建造中止となったはずであった。その艦が実在したのだ。そして防衛庁が調査した結果、この艦はなんと山下財宝と独逸からの譲渡品を運んでいた事がわかったのだ。ちなみに山下財宝とは、旧帝国陸軍フィリピン方面軍司令長官山下大将がフィリピンのどこかに隠したとされる金,銀、プラチナ等の財宝で、その量は連合艦隊が組みなおせる程と言われている。
 そしてその引き揚げを行うことになったのであるが、物が物だけに引き揚げ作業に対し護衛艦が護衛についた。みらいはその任務から戻ったばかりのところを駆り出されたのだ。
 「なんって言ったけ、あの宝石。なんか、すごい不吉な名だったような。」
 「パンドラだよ航海長。技官から説明を受けただろ。しかし、たしかに不吉な名だな。」
 尾栗に対し梅津が言った。
 「そう、それですよ。けどあんな宝石始めて見ましたよ。ダイヤの中にルビーが仕掛けられているなんて。」
 「まあなんでも第二次大戦中に行方不明になって以来、世界中の宝石愛好家が探しているって言う代物だからな。まあ、とにかく今は宝石より目の前の事だ。尾栗、すまないが後で菊池と一緒に士官食堂に来てくれ、最後の打ち合わせをしたい。」
 「ああ。」
 二人はそこで会話を打ち切りわかれた。
 しかし、あのパンドラがなんと快斗が今いる米花町の目と鼻の先にあるとは、運命とは意外な物である。



同日午前七時五十分 米花町
 

 一方、自衛隊がやってきた米花町では住民達が唖然となってその光景を見ていた。数十台もの迷彩色の自衛隊車両が一列でやってくるのだ。しかも、装甲車やジープは搭載されている機関銃に隊員が取り付いていていつでも発射できる態勢にあり、またトラックには完全武装の隊員が満載されていた。
 「な、なんだなんだ。戦争でもやる気か?」
 「クーデターでも起こるのか?」
 多くの住民たちが口々にそう言った。そんな中に彼ら少年探偵団もいた。
 「す、すげぇ。ゴメラでも来るのか?」
 元太が目を丸くしながら言った。
 「違いますよ元太君。ニュース見なかったんですか?この米花町に凶悪なテロリストが潜んでいる可能性があるから自衛隊が出動したんですよ。だいいち、ゴメラには自衛隊の武器は通用しません。」
 光彦が元太に説明する。
 「…・」
 歩美はだまったままだが、その表情はものめずらしいものを見ると言うより、何か恐ろしい物を見る目であった。
 「あ、歩美、大丈夫か?」
 「歩美ちゃん?」
 浮かない表情をした彼女を心配し、二人が声をかける。
 「あ、ごめん。」
 「それにしてもよぉ、コナンの家にいく道は通行止めになってるけどどうするんだよ?」
 「仕方ありませんから、灰原さんの所へ先に行きましょう。それにもしかしたらコナン君は案外阿笠博士と一緒かもしれませんし。彼の場合有り得ますよ。」
 「そうだな。」
 「じゃあ光彦君、元太君。早く行こう。」
 「ええ。」
 「おお。」
 こうして三人は阿笠邸に向かって歩き出した。ああ、またややこしいことになりそうでる。














おまけの用語辞典


某国工作員護衛艦撃沈事件…・・これは福井晴敏先生の某国のイージスからのリンクです。


みらい…・海自の最新鋭イージス艦。これはかわぐちかいじ先生のジパングからのリンクで、す。ちなみに原作で大活躍した海鳥はこの小説でも活躍します。あくまで予定ですが。


伊403…・・この艦は実際に欠番となった伊400型潜水艦です。ちなみにこの潜水艦はマジック快斗の海賊船浮上せずに登場する艦と同タイプです。史実では同型艦はパナマ運河攻撃へ用いられる予定でしたが、その前に敗戦を迎えました。戦後米軍の手で自沈処理されました。ちなみに、某東宝映画とは関係ありません。


 自衛隊も動き出し、事が本当に大事になってきました。さあ、ジンはどう動くか。
 次回をお楽しみに。











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