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BREAKDOWN
作:山口多聞



決戦への序曲高まる


 新たな登場人物

 ジン 黒の組織の実行部隊のリーダー格の男。新一をコナンにした張本人。

 ウオッカ ジンの部下。優秀とは言い難いがジンへの忠誠心は厚い。

 ベルモット 新一と志保の正体を知る組織の女。あのお方のお気に入りの人物とされている。








 「と言う訳さ、小さな探偵君」
 「ハハハ、おめえだって今は小さいじゃないか。」
 快斗の言葉に、新一は苦笑いする。ここは毛利家のコナン(新一)の部屋。座って話し合っているのは新一と快斗の二人だけだ。快斗は青子と一緒に毛利探偵事務所に着いた後、自分達も被害者であり、同じ状態にある新一に助けを求めるために来た事を告げ、そして快斗は新一に二人だけで話したい事が有ると言い、今こうしているわけである。
 快斗が新一に最初に言ったことは自分のもう一つの姿、怪盗キッドである事だった。しかし、新一はそれに対しただ一言、「やっぱりな。」と言っただけであった。これには大いにガクッと来た快斗であった。しかし新一にしてみれば、最初に会ったときに感じた快斗の視線と雰囲気で、彼がキッドという予感がしていた。だからさっきのリアクションとなったのである。そして自分がなぜキッドになったかや、自分が追っている組織が黒の組織らしいことも。
 「なるほど。それで最近、お前はビッグジュエルばかりを。」
 「そういうこと。ところでさ、さっきいっしょにいた男誰だよ?」
 快斗が本山について聞いた。
 「ああ、あの人は…」
 新一は彼について説明した。
 「え!!じゃああの本山とかいう男が持っている薬のデータを、阿笠博士(ちなみに快斗は彼を知っています)の所にいる娘に渡せば、解毒剤を作ってもらえるのか?」
 「ああ、多分な。」
 「よっしゃー!!これでお前のように小学校に行かずに済むぜ。」
 「ハハハ…」
 快斗の喜びにひたすら苦笑いするしかない新一であった。もっとも、この後決して快斗の思ったとおりに事は運ばない事になるのだが。
 と、そこでいきなり真剣な表情になる新一。それを怪訝な表情で見る快斗。
 「どうしたんだよ?って、あ!」
 快斗も気付いた様だ。二人はゆっくりとドアに近づき、そして勢い良く開けた。その途端、蘭、青子、平次、和葉の四人が部屋の中に倒れ込んだ。どうやらドアにくっついて聞き耳を立てていたらしい。
 「「おめえら何やってるんだ?」」
 二人の言葉がはもる。
 「堪忍や工藤。やっぱ人間ちゅーのは秘密ってもんに弱いもんで。」
 平次が謝るが、明らかに上辺だけだ。
 「盗み聞きとは、探偵としてのモラルに反するのでは?西の名探偵さん。」
 快斗が得意のポーカーフェイスで言った。
 「うっさい、キッドに言われとうないわ。」
 「あっ、やっぱり俺の正体について聞いていたんだ。」
 「ああ。」
 「ってことは青子も。」
 快斗が青子の方を見ると、うつむいていて表情はわからない。
 「ごめん。青子。俺…・」
 快斗がそこまで言った時、青子の口が開いた。
 「知ってたよ。」
 「え!?」
 「青子ね、快斗がキッドってこと判ってたよ。だって、青子は快斗の幼馴染だもん。どんなに隠したってわかっちゃうよ。けどね、快斗だってただ好きでこんな事しているわけじゃないって思ったから、だから快斗が言ってくれるまで知らないふりしようと思っていたの。」
 「青子。」
 そして黙り込む二人。
 「なんや、黒羽と工藤は似た者どうしなんやな。」
 平次が言った。
 「え!!」
 平次の言葉に驚く二人。
 「だってそうやろ、おたがいとんでもない運命しょっとって、愛する幼馴染の女を守ろうと待たせていたっちゅうことやろ。ついでに容姿もやろ。」
 確かに言われてみればそんな気もしない事はない。しかし、それを平次はにやにやからかいながら言ったから、二人としては良い気分ではない。しかも、愛すると付けたせいであろう案の定二人の幼馴染は顔を真っ赤にしている。そこで、新一が反撃に転じた。
 「幼馴染を待たせているのならおめえもだろ服部。」
 「「え!!」」
 途端に平次と和葉が同時に真っ赤になる。
 「へえ、西の探偵も中々隅に置けませんな。」
 快斗も茶化す。それによってますます赤くなる二人。いきなりで混乱しているのか反論さえ出来ない。
 そんな二人に救いの手を差し伸べる人物が現れる。
 「あのう。」
 一人蚊帳の外状態だった本山だ。
 「あ、どうしました。」
 「ラブコメを進展させるのは構わないが、早く宮野君の所に連れてって欲しいんだけど。」
 六人はやっとその事を思い出した。(ちなみに、青子と和葉も既に彼女について説明を受けている。)
 「そうだった。忘れていたぜ。じゃあ新一、案内してくれよ。」
 「ああ。」
 「ちょっと新一、お父さんはどうするのよ。」
 直ぐに出る気満々だった新一に蘭が言う。
 「ああ、そうだった。取り敢えず書置きしておこうぜ。そうすればおっちゃんも後でくるさ。」
 「ええ、そうね。」
 蘭は書置きを家の方に残した。そして六人は阿笠邸目指して出発した。
 こうして物語は大きく動き始めた。
 







 一方、そのころ黒の組織日本支部の一室では、一悶着起きていた。
 「ジン、一体これはどういうことかな?」
 「…・・」
 椅子に座った和服姿の老人が、黒の組織では知らぬ者はいないという切れ者、ジンに向かって言った。一方のジンは何も言わず、沈黙している。
 「科学部門の連中の失態と脱走を許した挙句、一人の逃走を許すとは、前代未聞だぞ。」
 どうやらジンは、本山達の脱走を許した事を叱責されている様だ。ちなみに彼の隣には相棒のウオッカと、ここの所良く行動を共にする事が多い、ベルモットの二人がいた。
 「貴様らは最近弛んでいるのではないか?シェリーの脱走、暗殺の失敗。キルシュの行方不明。さらにFBIの追跡を受けているそうじゃないか。そして今回の失態だ。」
 「しかしボス。まだ組織の情報が外に漏れたとは限りませんし。」
 ウオッカが言った。
 「ばれてからでは遅いんだ!あの方も大変ご立腹であるんだぞ。先程、増援の為にロシア極東支部から4人回すと言ってきた。これが意味する事はわかるな、下手すると来週には日本支部の幹部の首が全員すげ変わっているかもしれんぞ!」
 「…・・」
 「それにベルモット。お前がいくらあの方のお気に入りでも、今回はどうなるかわからぞ。とにかくだ。貴様らには人員と装備の使用自由を認める。何としても、裏切り者の本山を発見し、組織の情報の漏洩を防げ、いいな。」
 そして3人はその部屋から出た。
 「まずいことになりましたね兄貴。」
 「なに、こうなったらとことんやるだけだ。」
 ジンがいつもの冷笑を浮かべながら言う。
 「けどどうするのよ、探すあてはあるの?」
 ベルモットが言う。
 「とにかく、今は人手と武器を集める。さっきのように苦労するとまずいからな。」
 ジンが言うのは、先程追い詰めた常滑達の事だ。彼らは組織に取り囲まれた後も、持っていた拳銃や薬品の瓶で激しく応戦し、結局ジンたちは、拳銃の集中射撃でこれを押さえこんだのであった。
 ジンはまず、手の空いている者を全員自分の指揮下に置いた。その中には、宝石強盗を繰り返し、パンドラを探すスネイクらの姿もあった。
 人数が集まると、ジンは持ち出せるだけの武器を持ち出すことにした。組織の武器庫には、それこそ選り取りみどりの武器があった。拳銃、小銃、機関銃、手榴弾、果てはバズーカ(対戦車ミサイル)まで持ち出した。
 「ちょ、ちょっと兄貴、いくらなんでもやりすぎじゃ。」
 「そうよ、ジン。」
 怪訝な表情で言う二人に、ジンはこう言った。
 「もし組織が敵になったらこれでも足りねえぞ。」
 なんとジンは組織が自分達を裏切る事も計算にいれているらしい。
 こうして武器と人は揃った。
 「あとは、どこを探すかだ。」
 そこへ、下っ端の一人がやって来て言った。
 「あのお、毛利探偵事務所に仕掛けた盗聴器に本山の声が入っていましたが。」
 「何?本当か。」
 「はい、スパコンで声紋検査をしましたが、一致しました。」
 ジンはそれを聞いてにやりとする。実はジン、先日のキルシュが行方不明になった後,密かに毛利探偵事務所に盗聴器を仕掛けていたらしい。それが入り口の外で喋る本山の声を拾ったらしい。
 「よし、行き先は決まった。米花町の毛利探偵事務所だ。ふふふ、待ってろ本山、あの探偵と一緒に灰にしてやる。」
 ジンがいつにも増して恐ろしい悪魔の笑みを浮かべ言った。それを見たその場の全員が思った。(俺達、この人と行動を共にして良いんだろうか?)









おまけの用語辞典

和服姿の老人 まじっく快斗でスネイクらに指示を出していた人物です。




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