新たなスタート
帝丹小学校 1年B組
「みんな、おはよう。」
「おはようございます。」
小林先生の朝の挨拶に、子供達が元気な声で返す。
あれから一週間たった。新一は忙しい一週間を過ごすこととなった。警察の取調べや、正体を隠していた毛利夫妻や目暮警部らに謝って回るなどしていたからだ。
黒の組織はあの3日間であっという間に崩壊してしまった。日本支部の精鋭達は捕まるか、警察や自衛隊との戦いで命を落とした。部下を見捨て逃げようとしたあの支部長も、船で国外逃亡しようとした所を、海自のSS707潜、うずしおに船ごと拿捕されてしまった。
その後、警察や公安が組織について必死の捜査を行ったが結局、組織の全貌は分からずじまいであった。今回、ちょうどキルシュのアメリカへの移送中で日本にいなかったFBIの面々は、日本警察から協力を得て、ついに黒の組織のボスを割り出した。その人物は現代のハワード・ヒューズとも言うべきある大企業の会長で、ジョデイー女史らが彼に会おうとした。しかし、面会直前に彼はピストル自殺してしまった。残された遺書には、自分が黒の組織のボスであり、遺産を組織の被害者への救済金に当てて欲しいとしか書いておらず、組織の最終的な目的や、生い立ちは全く分からなかった。
もっとも新一には、もはやそれはあまり関係ない話であった。彼にとってはこれからの方が大切であった。
哀が一ヶ月で出来ると言った解毒剤は実際少し遅れても2ヶ月あれば出来る見込みがたった。これも、あの組織から逃げてきた本山の協力のおかげであった。
ちなみに、彼は調べた結果特に犯罪そのものに関与した形跡はなく、銃刀法違反のみで済みそうであった。そして哀も今のところ警察から特に犯罪者としての追及はない。目暮警部の話では、彼女に関する資料が今のところ見つかって無いからだという。最も、罪にとわれても、恐らく妃弁護士がその辣腕を振るってくれるだろう。
そんな事を新一が考えていると、小林先生が言った。
「はーい、それでは皆さん。今日は皆さんにお知らせがあります。今日からうちのクラスに新しい仲間が加わります。親御さんの都合で短い間しかいられないけど、皆仲良くしてあげてね。」
「はーい!!」
「それじゃあ入ってきて。」
小林先生に呼ばれ、一人の女の子が入ってきた。小林先生が彼女の名を黒板に書く。
「毛利蘭さんです。」
「毛利蘭です。みんなよろしく。」
そう蘭であった。解毒剤がすぐには出来ないため、とりあえず彼女らも帝丹小学校に入ることになったのだ。書類などはどうしたかわからないが、阿笠博士がなんとかしたようだ。ちなみに、彼女が本名なのは、別に偽名にする必要がないからだ。
ところで、彼女らと書いたとおり、入ってきたのは彼女だけではない。実は、平次やなんと快斗らまで帝丹小に転入していた。もっとも新一とは別のクラスだが。
彼らはあの後取り敢えず親御さんらに事情を説明したのだが、自分達がしばらく戻れないとわかると、なぜか解毒剤ができるまで米花町にいると言い出したのだ。言いだしっぺは平次のようだが、どうやら新一といれば事件に巻き込まれると思ったらしい。快斗も似たような事情だろう。もちろん、和葉や青子も一緒だ。ちなみに、彼らはとりあえず工藤邸に居候する事となった。新一も工藤邸に戻るから、かなりにぎやかな生活になるだろう。
新一は楽しみだった。これからの生活が。確かに組織とかかわったことで多くのものを失ったが、また多くのものを彼は得ていた。彼はその得た物を精一杯楽しんでいこうと考えていた。
一つの崩壊(BREAKDOWN)があらたな出発(START)になった瞬間であった。
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