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BREAKDOWN
作:山口多聞



交戦














































 昼下がりの米花町の歩道を、六人の子供達がキャッキャ話し合いながら、歩いていた。
歩「蘭お姉さんはコナン君、じゃなかった。新一さんが好きなの?」
 蘭「え!そりゃあ、まあ。」
 和「蘭ちゃんなあ、昨日工藤君に告白したんや。」(実際は逆。)
 青「そうそう。」(だから違うってば。)
 歩「ええ!!」
 元「え、まだしてなかったのか?」
 光「それは意外ですね。」
 蘭「もう、やめてよ。それに和葉ちゃんや青子ちゃんだってそうじゃない。」
 蘭が逆襲に転じた。
 和「蘭ちゃん!それ言わんといてや!」
 青「恥ずかしいよ!」
 と、こんな他愛の無い会話(?)をしながら歩いているのは、蘭、和葉、青子、そして探偵団の3人組の計6人であった。彼らはこれから商店街に、夕食の食材の買出しに行こうとしていた。ちなみに、新一と平次はお休み中。快斗は寺井さんまで呼びつけ、阿笠博士と一緒に探偵グッズの整備をしていたのでここにはいない。
 その横を、二台のバイクが通り過ぎた。迷彩服を着込み、体の前に小銃を引っ提げた自衛隊員が乗っていた。パトロール中の偵察隊のバイクであった。
 光「なんか、物騒ですね。」
 全員がそう思った。その暗くなった雰囲気を打破する一言を蘭が言った。
 蘭「大丈夫よ。新一や服部君が直に解決してくれるわよ。」
 歩「そうよね。なんっていっても東西の高校生探偵だもんね。」
 和「そうやそうや。さ、行こうや。」
 そして六人は再び歩き出した。蘭としては、言ったとうり、組織は新一が倒し、自分達も解毒剤を飲んで元に戻れて、めでたしめでたしになることを期待していた。しかし、めでたしめでたしとなるのは、昔話の話である。理想と現実は中々一致しないものだ。






  












 さて、その探偵団の横を通り過ぎた偵察隊は、米花町1丁目から2丁目にかけての範囲をパトロール中であった。
 2丁目の22番地付近を走っていると、突然、1号車の島三尉(他国の少尉相当)が止まった。後続していた2号車の有利士長(他国の上等兵相当)も慌ててバイクを止める。
 「どうしたんですか、三尉?」
 急停止に驚く有利士長。
 「あれ。」
 そう彼が言った方向には、いかにもというような感じの黒ずくめの格好をした5人の男がいた。
 「あ、あいつらまさか。」
 有利士長が驚いている間に、島三尉は無線で連絡を入れる。
 「こちら島三尉。米花町2丁目22番地付近にて、黒ずくめの不審な五人組を発見。指示を請う。」
 「こちら野戦指揮所。島三尉。注意しつつ、その五人組を尾行せよ。近辺をパトロール中の02、03号車も支援に向かわせる。」
 「了解。オーバー。」
 そして、通信を終え、彼らはバイクを発進させる。しかし、直に相手は角を曲がって見えなくなってしまった。
 「あ、三尉。見えなくなってしまいましたよ。直に追いかけましょう。」
 「いや、ちょっと待て。」
 「!?」
 驚く有利士長をしりめに、彼は角の手前でバイクを降り、そして慎重に角の向こう側を見ようとした。そして、顔を出した瞬間。
 バーン!!
 男達が銃をこちらに向け、そして撃ってきた。
 「さ、三尉!!」
 「大丈夫だ。こちら島三尉。発砲を受けた。反撃の許可を願います。」
 「こちら野戦指揮所。発砲は許可できない。間もなく02、03号車が着くから、なんとか持ちこたえろ。」
 「了解、オ―バー。畜生、撃つなだと。」
 と、そこへ02号車である軽装甲車が到着した。
 「車長の伊庭三尉です。」
 彼の言葉とともに、三名の隊員が降りてきた。さらに、一人は屋根を開けて機銃を構える。
 「応援感謝します。偵察隊の島三尉です。」
 「敵は?」
 「この角の向こう側です。」
 「了解。ようし、角の向こうへ前進しろ!」
 命令とともに、軽装甲車は角の向こう側へ出る。その途端、バンバンという発砲音と、カンカンという車体に弾が当たる音がする。
 「ちっ、野郎め、陸上自衛隊をなめんな!全員03号車が到着したら状況開始だ。」
 「了解!」
 感情的になっている伊庭をよそに、隊員達は元気よく答えた。ちなみに、状況開始とは、作戦開始のことである。自衛隊は軍隊ではないので作戦開始とは言わない。そして彼らは作戦の準備を始めた。





 一方、見つかったのはスネイクとラオチュウを始めとする五人組であった。彼ら五人だけ何故ここにいるかというと、実はジンたち御一行が別の場所を襲撃するため、警察の目を向ける囮役として動いていたので。ちなみに、彼らが狙っていたのはなんと工藤邸だ。これは、以前彼らが調査していて場所が分かっていた事と、世間に名をはせる高校生探偵の自宅を襲撃すれば、警察の捜査を大いに攪乱できると踏んでいたからであった。しかし、その野望はもろくも崩れ去った。
 「どうするんだスネイク!!見つかっちまったたぞ、しかも自衛隊に!!」
 ラオチュウが叫ぶ。
 「どうする、こっちには拳銃とわずかな爆薬(に相当するもの)しかない。爆薬持ってカミカゼするか?」
 ラオチュウがとんでもない事を言い出した。
 「馬鹿野郎、落ち着け。いいか自衛隊ってのはそう簡単に発砲はしない。とくにこんな市街地じゃな。だから、ここは地理を生かして逃げるぞ。狭い路地に逃げ込めばこっちのものだ。」
 さすがスネイク。妥当な判断に出た。確かに、パンパンと十発程度しか打てない拳銃と、毎分八百発の発射速度、三十発のマガジンを持つ小銃とで戦おうなんて自殺行為に他ならないからだ。
 「あの、スネイクさん。」
 下っ端の一人がおずおずと何かを言おうとする。
 「何だ!?」
 「後ろも自衛隊に塞がれましたけど。」
 「ああん!?」
 見ると、退路にはいつの間にか現れたのか、自衛隊のジープが道を塞いでいた。
 「げ!!」
 「どうするんだスネイク!」
 八方塞り、四面楚歌としか言いようが無い。さらに
 「抵抗しても無意味だぞ、いさぎよく降伏せんかい。」
 拡声器で降伏勧告が響く。
 そして、彼は腹を決めた。
 「こうなったら、最後の一発まで抵抗だ。」
 そして彼は銃口を自衛隊の方に向けた。






 「全く聞く耳持ちません!」
 部下が叫ぶ。スネイク達が再び発砲してきた。
 「ふん。ようし、状況開始だ。03号車。」
 無線で03号車を呼び出す
 「はい、こちら03号車。」
 「例のをやるぞ。」
 「了解。オーバー。」
 交信を終えると、彼は左手を上げた。
 「よーい!!」
 その言葉とともに、他の隊員たちが銃をスネイク達に狙いを定める。
 そして、彼は手を振り下ろして叫んだ。
 「てっ!!」
 一斉に隊員達が銃の引き金を引いた。その途端、小銃と軽装甲車の車載機関銃の発射音が当たりに鳴り響いた。





 「うわ!!」
 「ぎゃあ!!」
 突然の銃火にさらされ、構成員達はパニックに陥る。一歩間違えばPTSD(戦場などで起こる精神病)になりかねない状況だった。とにかく、すさまじいいばかりの光の線が彼に襲い掛かっていた。
 「うん?」
 そんな中、スネイクはおかしなことに気づいた。
 「どういうことだ、こんだけ撃たれているのに全然当たらないなんて?まさか。」
 スネイクはこのからくりに気づいた。
 「みんな落ち着け。これは見かけ倒しだ。やつらが撃っているのは模擬弾だ。当たたって死にはせん。」
 さすがベテラン。自衛隊のやっていることに気づいた。実は、伊庭三尉達は実弾が使用できないから曳光弾を使っていたのである。この弾は、映画や記録フィルムなんかで黄色い線をひく弾で、通常は弾道の修正に使い、4発に1発の割合ぐらいで混ぜられている。しかし、今回は全て曳光弾のマガジンを使っていたのだ。これではいくら当たっても死にはしない。ただし、目に見える恐怖は数倍だが。
 「落ち着くんだ!!」
 スネイクは叫ぶが、銃声がそれをかき消した。それどころか、構成員達はとても戦えそうに無かった。
 「くそ。」
 と、いきなり銃声がやんだ。
 「?」










 「音響閃光弾、煙幕弾投擲!!」
 射撃をやめさせ、伊庭三尉は新たな命令を出す。
 隊員たちが、次々と音響閃光弾と煙幕弾をスネイク達に投げつけた。
 「全員、目と耳を塞げ!!」
 その途端、辺りに強烈な閃光と音が辺りに広がった。
 「ようし、着剣!!」
 閃光が消えると、伊庭三尉は新たな命令を出す。隊員たちが銃の先にナイフを装着する。
 「突撃!!」
 「おお!!」
 日本お得意の銃剣突撃が始まった。(っておいおい。)
 自衛隊員達は、未だ目と耳を奪われ、煙幕にむせる組織の構成員達に襲い掛かった。そして、その結果は明白だった。銃床で拳銃を叩き落され、そのあと銃剣を向けられた彼らに勝ち目などなかった。結局、彼らは何が起こったかも把握できぬまま、両手を挙げるしかなかった。
 「やりましたね三尉。」
 「うむ。」
 伊庭三尉も満足気だ。しかし。
 「三尉、四人確保!」
 部下の報告に、伊庭三尉の表情が引き攣った。
 「四人だと、五人じゃないのか!!」
 その言葉の意味するものは、直に現実となった。煙幕の中から一人の男が、突然這い出した。
 「あいつだ、捕まえろ!」
 だが、時既に遅し。その男は走り出した。おまけと来て、その前方には数人の子供の姿が見えていた。
 「げ、まずい!!」
 悪夢は現実となった。男は、その中の一人を抱き上げ、人質に取ったのだ。そしてその子供は、銃声を聞きつけ戻ってきた探偵団のひとり、歩美であった。




 「キャアー!!」
 歩美が悲鳴をあげる。
 「「歩美ちゃん!!」」
 蘭と和葉が叫ぶ。しかし、二人はここで大いに今の自分達の状況を認識させられる事となった。これが、元の体なら空手と合気道で助け出せれるのに。しかし、それが出来ない。また、蘭は今まで新一が置かれていた状況をも実感せざる得なかった。
 「その子を離せ!!」
 追いついた自衛隊員が小銃を向ける。しかし、スネイクは悠然としていた。
 「ふん、撃てるものなら撃ってみな、その模擬弾しか出ない銃でな。」
 「く。」
 いくら最新の装備を持っていても、このような状況ではどうにもならない。銃で平和は守れないとはよく言ったものだ。一方、スネイクも無闇に動けない状況と成ってしまった。ここで逃げても直につかまるのは目に見えていたからだ。
 あたりを静寂が包む。
 数分して、突如キーンという音がしてきた。
 「何だ?」
 音はようやく煙幕が晴れつつあった工藤邸の方角からだった。そして、一台のスケボーが煙幕を突き破るようにして現れた。
 「おお!!」
 あっけに取られる自衛隊員達。そんな彼らを、スケボーはすり抜けていく。そして、それに乗っているのは。
 「新一!」
 「快斗!」
 そう、乗っていたのはこの二人であった。ちなみに新一は前に、快斗は後ろに乗っている。
 「何だ!?」
 驚いたのはスネイクも同じだった。しかし、そのスケボーが自分に向かって来ているのは分かった。
 「来るな!!」
 スネイクは拳銃を向ける。しかし、それを快斗がトランプ銃で撃ち落す。そして、新一がスネイクに時計型麻酔銃を撃ち込む。こうして、工藤邸前での戦いはあっけなく終わった。
























 おまけ

 自衛隊とスネイク達が銃撃戦を始めた頃。
 「新一、何かすごいことになってるぜ。」
 快斗が言う。
 「貴方の家も大変ね。お化け屋敷にされたり、組織に調べられたり。挙句の果てに前で銃撃戦なんて。」
 志保も同情気味に言う。
 そして、新一は拳を振り上げ叫んだ。
 「人ん家の前でドンパチするんじゃねえ!!!」


 というわけで、なんとか完成12話です。この話は自衛隊と組織が戦ったらという作者の趣味丸出し作品です。最後のところはあっけなさ過ぎると思われるかもしれませんが、これは次回への伏線です。というわけで、次話にご期待を。って書けるかな?











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