プロローグ
待つのも仕事。重々承知している。
しかし限度というものがある。仕事が来るまで、当然だが私には利益がない。にもかかわらず、ノルマはある。よって、待ってばかりでもいられず、こちらから積極的に動く必要がある。
今、私の視界には一人の若い男が映っている。男は帽子を目深に被って、いつから着っぱなしなのか、よれたシャツにズボン。うつむき加減で住宅街を歩いているその姿は、すれ違う人を遠ざからせた。
怪しい人間には近づいてはいけない。危機を回避するためのその思考は正しかった。男はシャツの中に刃物を隠していた。
希望を失えば、代わりに得るものは絶望。男はこれからどこへ行くのか、強盗でもするのか、隠している刃物で誰かを殺めるのか。
……良いお客だ。かなりの上物だ。うれしくて笑みがこぼれる。
さてと、それでは男が罪を犯して刑務所に入る前に、仕事に入るとしようか。
私の仕事は玩具作り。とても手間の要る仕事だ。
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