いつものように君は突然現れた。この間あったのはいつの日だったか。僕はそれさえ覚えていない。
君はいつも強引で、言葉なしに僕の上へと被さってくる。僕はその度に内心うろたえてしまうのを、君は知っているかい?
その薄い華奢な身体に恐る恐る触れる僕。滑らかな肌に傷を付けないよう、丁寧に丁寧に君に触れる僕。ひんやりとした君の身体。あぁ、なんて気持ちが良いのだろう。
その瞬間、僕の中でカチリと音が鳴った気がした。僕の中で、僕自身を抑えていたたががはずれた。
僕は夢中で君の滑らかな身体の上を滑る。夢中で君を求める。
君はそんな僕へ、愛しい物でも見つめるかのような熱い視線も無ければ、愚かな物でも見るかのような冷たい視線も無い。
そうやって、静かに、人事のように、君に貪りつく僕を特等席で傍観するばかり。そんな君に夢中な自分が情けなくて、そんな君が意地らしくて。
気付けば僕は君を泣かそうと熱くなっていた。
さぁ、君も―――
僕は君の肌に爪をたてる。
さぁ、君も―――
君の身体を僕の爪が舐め回す。
さぁ、君も―――
爪をたてた僕に、しばらくすると、君は耐えられ無くなったように小さく声を上げた。
その声が僕の神経を逆撫でする。
もっと、
僕は君の滑らかな肌に爪をたて続けた。深く、深く、傷を付けたい。君に、僕だけの傷を付けたい。
もっと歌って、
君の美しい声は音量をあげる。その歌声に僕はぶるりと身震いをした。
なんて、なんて君は美しいんだ―――
*** *** ***
―――カチリ
止まる音楽。口を開くプレーヤー。中から現れるCD。
「全く、このCDの時ばっか調子良いんだよな〜、」
男は呆れたようにそう呟くと、プレーヤーからCDを取り出した。
『エキセントリック少年ボーイ』
それが君の―――CDの名前。 |