紅い空。(2/5)縦書き表示RDF


この小説には残酷なシーンが描かれています。
苦手な人は戻ることをオススメします。
紅い空。
作:雷等玲也



第2話


病院だったためか、それとも市民が皆、血になれてしまっていたのか。看護婦の服についた血を誰もが疑うこともなく、看護婦は隼人と美咲の部屋の前に着いた。
「嫌な予感がする…」
 隼人がつぶやいたのと同時に、隼人の部屋のドアが壊される。
「隼人っ!?」
 美咲は何が起こったかわからず、ただ体が硬直していた。
「美咲、お前の勘、すげぇみてぇだ」
美咲はどうにかして隼人の部屋を覗こうと必死に窓から顔を出していた。が、見えるはずもなく、顔を青くした隼人を見ていた。
「勘…? もしかしてあの看護婦っ!」
 大当たり。そう隼人はつぶやいた。隼人の顔色はどんどん悪くなっていく。窓から逃げようにもここは最上階。飛び降りたら間違いなく死ぬだろう。ただ、隼人はそんなこと思っていなかった。飛び降りても平気な気がしていた。
「ふふふ。みーつけた。」
看護婦の声は高かった声とはちがい、まるで人間じゃないようなほど綺麗な声をしていた。
「どうやって始末しよう。」
 その声が聞こえた時、美咲は再び硬直した。始末。看護婦はそういっていた。隼人は狙われているのだ。
「隼人!逃げないと…」
 そう自分で言いながら、どこに逃げればいいのかすらわからなかった。そして美咲は、自分の体が喜んでいるのを感じた。なぜ、こんな時に楽しんでいるのか、自分で分からなかった。
 その時だ。2人が抱えていた頭の痛みが消えたのは。それと同時に力がみなぎってくる。
「美咲!」
隼人は窓から体を出し美咲に手を伸ばす。美咲もその手を受け入れた。そして2人は空中を飛んだ。
「消え去れ。“化け物”人間!」
 看護婦がそう叫ぶと同時に、看護婦の腕が隼人の足を掴む。が、美咲が近くあったはさみに手を向けると、はさみはひとりでに空中に浮き、美咲が腕を振るうとそのはさみは看護婦の目に向かってものすごいスピードで飛んでいく。二人は無我夢中だった。自分で何をしているのか分からず、それでも必死になっていた。隼人は美咲に衝撃があまり来ないように足に集中していた。美咲はなんとか隼人の足を掴んでいる看護婦の腕を解くためにはさみに集中していた。はさみが看護婦の目に刺さるのは数秒もかからなかった。隼人の足は解放され、看護婦の腕は元に戻った。
「っっ…きさまぁっ!」
 看護婦は怒る。が、隼人たちはすでに地面に近づいていた。病院の庭には誰も見えない。病院の塀から外が見える。そこは、廃墟だった。
「うそ…病院はこんなに緑がたくさんあるのに…」
 美咲は抱えられながらつぶやいた。そう、病院には芝生も、木もあるのだ。ただ、空は紅く染まっていた。
 美咲たちが地面に着いた。上から看護婦がやってくる。目にははさみが刺さっており、抜く気も無いようだ。
「殺す殺す殺す殺す殺す!」
 そう怒鳴りながら、看護婦…いや、全身紫の“化け物”は地面に立った。
「美咲!」
 隼人は無意識に美咲を呼んだ。美咲は何かに集中しているようだった。じっと“化け物”を見て、右腕を左手で押さえながら“化け物”の方に右腕を伸ばしていた。そして力強く、開いていた右手を勢い良く閉じる。
「ぐ…はっ…」
 “化け物”は内臓が破裂したようだった。口から大量の血を流し、前に倒れていく。近くは血の匂いが充満していた。
「ぁ…」
 それを見ていたのは木の陰から見ていた市民達だった。
「キャーーー!魔物がココまで!だれか!だれかぁ!」
 甲高い声が響いたと同時に、病院から医者が出てくる。それを見ながら美咲はまぶたが重くなってきたのを感じ、素直にまぶたを閉じた。
 隼人は焦っていた。自分達の力の事、そして美咲が倒れたこと。自分達は“化け物”で、外にいる魔物と変わらないんじゃないかと、恐ろしくて恐ろしくて、美咲を抱きかかえたまま病院を抜け出した。







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