紅い空。(1/5)縦書き表示RDF


この小説には残酷なシーンが描かれています。
苦手な人は戻ることをオススメします。
紅い空。
作:雷等玲也



第1話




消えていった、俺達の記憶。
ねぇ、だれか教えてよ。

鳥の鳴き声で眼が覚めた一人の少年。ぼけっとした顔で自分の手を見つめていた。
「ここ…どこだよ…」
ぼそりとつぶやいた。
ここは白い病院の一室だった。
「頭…いてぇ…」
 頭を抱えながらつぶやいた。

隣の病室。ここには少女がいた。
「ここ…どこよ…」
辺りを見回しながらつぶやいた。こんな場所、覚えていない。いや、すべて分からないことだらけだった。
「頭…痛い」
腰まで伸びた髪をくしゃくしゃにしながら少女はつぶやいた。
少女の頭には包帯が巻かれていた。


2人が目覚めてから一晩たった。2人は外に出ることも出来ず、謎の痛みに耐えていた。
医者がどうすることも出来ない痛み。2人は痛みに耐えながら窓に近づき、星の輝く夜空を見上げた。そして窓から顔をだす。
「「あ」」
お互いに初めてあったはずなのに、なぜか懐かしい顔だった。
「えーっと…初めまして?」
「俺記憶なくしてるっぽいし、どっかで会っているかもな」
「あなたも記憶を無くしているの?実は私もなんだよね〜」
少年と少女はまるで親しい関係であるかのようにその後も話をしていた。
夜が明けても、ずっと話していた。

「あら?美咲さん、起きていたの?」
「起きていちゃ悪い?」
少女の部屋に看護婦がやってきた。少年は少女の雰囲気が変わったのに驚いた。
「い…いえ、でも体は大切にしなくちゃ…」
「わかっているわよ。いちいち指図しないで」
看護婦は心配そうに出て行った。きっと医者に報告に行ったのだろう。今日もいつも道理冷たい態度だった、と。
「お前って冷たいんだな。」
「自分でも良く分からないけど、あの看護婦、いやな予感がするだけ。」
 ただ、それだけ。そうつぶやいて暗い顔になった少女―美咲―に少年は自分に似ていると思った。
「俺もそう思ってた。そういや、名前言ってなかったな。俺の名前は隼人。」
「私は美咲よ。ヨロシクね。」
少女と少年はこの日を境に、友人になった。


「先生。今日も美咲さんと隼人さんは相変わらず…」
「記憶を取り戻さない、か。あの役立たず共が」
ここは病院の地下…いわゆる実験室である。そこには一人の看護婦と一人の医師がいた。医師の手にはカルテがあった。

実験ナンバー001 人間名、隼人
能力 狂人的な肉体

実験ナンバー002 人間名、美咲
能力 他人、物、何でも操る

「仕事に失敗した上、一部の記憶を失い能力も一時的に無くしている。外界では今頃何が起こっているか…」
外界、それはこの病院の外の世界の事だった。地球軍と魔物軍が戦争を起こしていた。地球軍のこの病院は戦闘地域から大分離れているため、魔物はまだ迫ってきていなかった。そのためか、この病院にはたくさんの市民が避難しに来ていた。

「先生。」
看護婦が顔を下に向けて肩を揺らしている。
「どうした。」
医師は興味も無いように看護婦を見下ろしていた。が、一瞬看護婦の手が光ったかと思うと、看護婦の腕が医師の体を貫通していた。
「が…はっ」
口から血を流しながら医師は絶命した。看護婦の腕は紫色になっていて爪はすごい長さにまで伸びていた。
「ふーん。コレがあの“化け物”人間のカルテ、ね」
ふふふ。と笑いながら看護婦は落ちたカルテを手に取った。
「ふふふ。今は2人とも力を失ってる。今を狙えば二人は殺せる。そうすれば私達の勝ち。この地球は頂き。」
カルテ持ち上げながら回る。それほど嬉しいのだろう。
「ふふ。さようなら。センセイ」
看護婦の腕は元通りになっていた。そして血のついた服を気にする様子もなく看護師は研究室を去っていった。







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