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第三話


「ここ…屋上?」
今日は青空がとても綺麗だった。
「そんな事はどうだっていい。早く夢の正体を教えろ」
「はい。おそらく、沙羅さんは蒼。川内さんは玄の光がありませんか?」
「そう…だけど。何で…」
「四神です」
沙羅は顔を勢いよく上げた。
「何言って…」
「おそらくは、青龍」
「俺は?」
純は落ち着いた口調で聞いた。
「玄武でしょう」
すると、純はくっと、喉の奥で笑った。
「純?」
「ああ…何となく分かってたんだけどな…はっきりしなくて」
「分かってた…?」
「聞いたんだ。夢で。それに、助けてもらったし」
そう言って少し天を仰いだ。
「夢で『誰だ?』って何回も聞いた。そしたら、『我は四神の…』って言ったんだ」
「助けてもらた…って?」
「俺がまだ…ちっちゃい頃。車に跳ねられそうになって…気づいたら車だけ大変な事になってたんだ」
「私も…ずっと見てた。その夢」
「四神は人の体を在処ありかとします。そのため、そのあるじが意識しない限りは霊体としてもこの世には出て来れません」
愛美はゆっくりと語り出した。
「東西南北を司る四神はそれぞれに意味があります。東は青龍。西は白虎。南は朱雀。北は玄武。つまり、あなた方の他にまだ二人主あるじがいることになります。
「じゃあ、私の中には東の神がいるってこと?」
「ああ。そういうことだな。それで…」
純は愛美と向き合った。
「どうしたら俺は玄武に会える?」
すると、愛美は無表情にペンダントを二つ取り出した。
「何?」
沙羅が尋ねるとと、その一つを沙羅に渡してきた。
大きさは直径二センチくらいの丸。色は金で、表には蒼色で五芒星・桔梗印が掘ってあった。裏返すと何か文字が書いてある。
「ん…?これ…せい…」
「待って」
裏の文字を読もうとした時、、愛美が止めた。
「やってみればわかりますが、声読せいどくすると神界に飛びます」
「飛ぶ?」
「俺はやってみるぜ」
純は右手の人差し指で裏の文字に触れた。
そうして、言った。

『――――玄武――――』

「っあ!!」
いきなり吹いた突風に沙羅は右腕で目をかばう。
一瞬、漆黒の光が純を包んだ気がした。
「純!?」
沙羅が気づいたときにはもう純は居なかった。
「行きましたね」
愛美は天を仰ぎながら言った。
「神界って何…?」
沙羅は呟いた。
「もう何がなんだか分かんないよ……」
沙羅はしゃがみ込んだ。
「実際に行ってください。青龍様が待っています」
「………」
動きたくない…
その刹那――――
「!?」
空耳…?
今、龍が啼いた。
沙羅はゆっくりと立ち上がった。
そして、呟く。


『―――青龍―――』
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