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神様からの贈り物

作者:朝野りょう

「まあ、こんなところに男の人が落ちてる」

 小さな領地を切り盛りしているミッサは、道端に半裸で倒れている男性を見つけた。

「あの、起きてらっしゃいます?」

 ちょんちょんとつついてみたが、反応はない。
 これは神様がくださった贈り物に違いない。
 ミッサは彼を肩に担ぎ、家へと帰った。

「おかえりなさいませ、お嬢様。ありゃ、それ、その……」

 出迎えた使用人は驚きを露わにしていたが、主人であるミッサはそれには全く反応せず。

「ただいま、ロト。もう休んでいいわよ」
「は、はい」

 ロトはちろちろと主人の肩に担がれたものを凝視した。
 どうみても破れたシャツにズボンを履いた裸足の男性で。
 お嬢様、いよいよ襲ってしまわれたので?
 背中に冷たい汗が流れるのを感じつつ、ロトは主人が館の中に入っていくのを見送った。
 主人ミッサは働き者だが、さして器量がよいわけではない。
 早くに両親を亡くし、この領地を継いだのだが、あくせくと働くうちに非常に逞しくなってしまわれた。
 とても良家のお嬢様という雰囲気ではない。
 それなりのドレスを身にまとい髪を結ってはどうかと女中が提案したけれど、仕事の邪魔になるとのことで。
 昼着の小ざっぱりとした地味なドレスばかりを着ているため、一見では領主主人とは判別できない。
 この館を訪ねる者は見知った人しかいないのだからと笑う彼女に、町の者は苦笑いするしかなかった。
 その女主人もお年頃を過ぎそうになっていて、館に勤める使用人と女中二人の悩みでもあった。
 もう二十歳をいくらか過ぎという年齢なのだった。
 近隣の領主の息子達や貴族子息達はミッサに見向きもしない。
 口を酸っぱくして進言していたのだが、ミッサは結婚なんてまだ先でいいという風で、のんびりした人だった。
 さすがに最近、相手さえいれば簡単に子供が授かると思わないでくださいまし!ときつい言葉を女中から受け、しゅんとされていた。
 だからといって、まさか男性をかどわかして来られるとは。
 不憫なことだ。
 しかし、これがお嬢様のお決めになられたことならば。
 あの男が逃げ出さないよう気をつけなければならない。
 ロトは夜通しの番をすることに決めた。
 一人では無理なので、交代要員を探しに出かけた。

 館内では。
 女中達が驚いていた。
 ロトと同じ意味で。
 もちろん二人は温かい目で二階に上がっていく主人を見送った。

「いよいよお嬢様も覚悟をお決めになられたのでしょう」
「そのようね。交代で夜の番をしましょう。応援を頼んだ方がいいかもしれない」
「わかりました。では二人ほど集めてきましょう。あなたはすぐに上へ水盥を持って行って詳しい様子を確認してください」
「わかっています。早く戻ってください」
「はい」

 二人は頷き合い、行動を開始した。
 一方、男性を館に担ぎ入れたミッサは、二階の寝台に寝かせた。
 打撲の跡やら傷跡がいくつも見られる。
 追い剥ぎにでもあったのだろうか。
 ミッサはテキパキと男性の衣服を脱がせていった。

 そこへ女中が水盥を持って上がってきた。

「ちょうどよかったわ。寝台脇まで持ってきてくれる?」
「はい」

 水で濡らした布でミッサは彼の身体を拭っていく。

「お手伝いいたしましょうか?」
「一人で大丈夫よ。それより、もう仕事が終わる時間でしょう? アリスと一緒にもう休んで頂戴な。食事はこちらの人を拭い終わったら勝手にとるから置いておいて」
「こちらの方、お怪我をなさってらっしゃるのですか?」
「そうみたい。息してるからそのうち目を覚ますと思うんだけど」
「左様でございますね。傷口に塗る薬を出しておきましょう」

 女中は部屋の棚から薬を取り出し、水盥のそばに置いた。

「ありがとう、スージ」
「では、お先に休ませていただきますが、下におりますのでご用の際はいつでもお呼びください」

 いつもに比べてえらく丁寧な言葉にミッサは顔を上げた。
 スージはにこやかに微笑んでいる。
 そこはかとなく何かを示唆しているかのようだけど。
 ミッサにはその意味がつかめなかった。
 意識不明の男性のことを心配しているのだろうか?
 酔っ払っているわけでもないし、死ぬような怪我でもなさそうだし。
 何の問題もないと思うのだけど。

「え、あ、ええ。お休み、スージ」
「お休みなさいませ」

 妙な空気が流れたが、スージは笑顔で部屋を出ていった。
 彼等は年老いているので早くに休んで欲しいとミッサは思っている。
 恐ろしく早い時間に目が覚めるので。

 この館は、なんとか持ち直しつつあるものの、両親が亡くなった後の数年で一気に収穫高を落としてしまっていた。
 両親の代から、借金と返済を繰り返し、何とか遣り繰りしていた。
 ミッサが領地を引き継いだけれど、何も知らない十三の子供にいきなりできることではなかった。
 ようやく最近、ミッサも領地の仕事がうまくこなせるようになり、借金もなくなったので生活は楽になってきた。
 ロトやアリス、スージ達は、少ない賃金だというのに館を離れることなくよく勤めてくれていた。
 楽をさせてあげられるようになったのだが、それよりも彼等は次世代の主人の顔が見たいと言う。
 これがなかなかの難題だった。
 実は、これでも町の男性に声をかけてみたことはある。
 結婚は無理でも、子を作ることには協力してもらえるのではないかと思ったので。
 そういう行為は女性相手なら誰でも、との情報はスージだったかアリスだったか。
 こっそり声をかけた男性達には、ことごとく玉砕してきた。
 理由はと問えば、後々が恐ろしいというのである。
 そのことがばれたら、町で暮らしていけないという。
 ばれなければいいと思うのだけど、絶対無理だと断言された。
 ロトやアリス、スージ達を甘く見てはいけない。
 彼等は町の情報の全てを聞きつけるだけの情報網を持っているのだと。
 年の功というやつなのだろう。

 そういうことで、町の男性に声をかけるのは諦めた。
 そして、今。

 どう見ても、見たことがない男性である。
 身体を拭き拭き。 
 傷は残念だけど、滑らかで張りがある。
 日差しを浴びる機会が少ないのか、胸など色が白く驚くほどだった。
 かなり若い男性らしい。
 胸板はやや薄め。肉体労働はしないのだろう。

「うっ」

 傷をうっかり布でかすめたせいか、男性が呻き声を漏らした。
 眉を顰める様子もなかなかに悩ましい。
 観察しながらせっせと拭く。
 自分とは違う男性の身体には非常にドキドキわくわくする。
 たとえ男性の目が覚めても、これは介抱なのだからと言い訳がある。
 わくわくしながら下半身も拭き拭き。
 こんなになっているんだ。
 力を込めないように触れているけれど、興味深々なのは否定できない。
 そのせいで、その辺りは異常に丁寧に何度も拭き拭きを繰り返した。

「ううっ」

 呻き声が上がるので、しかたなく布を水盥につけ、拭くのは一休み。
 そして塗り薬を胸元や首筋に塗り込んでいった。
 再び布を絞り、足を丹念に拭きあげていく。
 一通り、表は終わり。
 さて次は裏返して。

 ミッサは男性の身体をひっくり返した。
 背中にも傷があった。
 何か所もあり蹴られた跡ではないかと思われる。
 広い背中を拭き拭き。
 その後、薬を塗り込み塗り込み。

 しかし、この背筋のラインとお尻はキュートだなぁ。
 ニマニマと笑み崩れた顔で、腰あたりから拭き拭きを開始する。
 ふんふんふんっと鼻歌を口ずさむほどの上機嫌で。
 足の指の先まで綺麗に拭った。

「いやー、綺麗になった」
「それはどうもありがとう」

 感情のない棒読みの返事が返ってきた。
 ちゃぷちゃぷと布を水盥で洗っていたミッサは驚いた。
 いつの間に目が覚めていたのだろう。
 男性の方を見ると、伏せたままだ。
 気のせいだったのだろうか。
 そうしてミッサは布洗いを再開した。
 絞った布で自分の顔を拭う。
 さっぱりしたところで、男性に声をかけてみる。

「起きているなら、夕飯、食べますか?」

 男性は上半身を起こし、肘をついた。 
 青い瞳がミッサに向けられた。
 半分捻った腰が曲線を描き艶めかしい。
 ニヤッと笑ったのがいけなかったのか、ミッサに向けられた視線がきつくなった。

「俺の服は?」
「そこにありますけど。破れてますよ」

 男性はそれに目をやり、眉を顰めた。
 土まみれだった。

「代わりの服を出せ。そうしたら、食べる」
「はぁ」

 代わりの服ねぇ。
 ミッサは屋根裏にしまわれた古い箱を開けた。そこに父の服があるはずだった。
 しかし、想像通り虫に食われている。
 ロトの服では無理がある。
 仕方ない。
 ミッサは自分の箪笥から服を取りだし、男性に差し出した。
 男性は、ものすごく嫌そうな顔をした。

「お前……。俺に、これを、着ろ、というのか?」
「他に服がありませんし。食事する間だけこれで我慢すればいいじゃないですか」

 男性はものすごく悩んでいた。
 差し出したそれはミッサの服だった。
 袖もなく、胴囲がゆるゆるな部屋着なので男性にも入るはずだった。
 男性はかなりの時間を悩み。

「食事はいらない」

 着ない選択をしたらしい。
 ミッサは不満だった。
 男性は食事がしたいはずなのに、服を着るのが嫌だと言うだけで食事しないことを選ぶなんて。
 ちょっと我慢すればいいだけなのに。

「食事したいんでしょう? これ、私の服だけど、絶対似合いますよ」
「女の服が似合ってどうする」
「女の服でも男の服でもいいじゃないですか」
「……」
「仕方ないですね」

 ミッサは男性の背中を膝で踏みつけた。

「何をするっ!」
「服を着せてあげます」

 ミッサは無理やり男性に服を着せた。
 彼女は毎日力仕事をしているので、腕力には自信があった。
 しかも、男性は彼女に背中を見せているので、抑え込むのは簡単だった。
 さっと服を着せ、ミッサは寝台から下りた。

「食事の支度をしますから、すぐに降りてきてくださいね」

 水盥を持って、彼女は階下へと降りていった。
 女服を着せられた男性は、ぱったりと力尽きたように寝台に突っ伏していた。
 が、空腹には耐えられなかったのか、むくっと起き上がった。
 男性は靴がないので裸足で歩くしかない。
 部屋や廊下には絨毯が敷かれていたが、古びた布切れと化していた。
 静かな館内は男性が思っていたより広かったが、人気がなかった。
 外はもう薄暗いのだろう、廊下に灯りはなく。
 人の気配がする灯りのもれる部屋を目指せば、そこには先程の女性がいた。
 忙しなく動きまわり、皿を並べている。

「あぁ、入ってください。ちょうど準備できたところです」

 男性は示される場所に腰を下ろした。
 特に美味しいわけではなかったが、腹が減っていたので追加を要求した。
 その頃には、今の格好の羞恥心など何処かへ消えていた。
 忘れ去ろうという努力の結果でもあった。
 食事を済ませると、男性がミッサに問いかけた。

「知らぬ者を家に入れたりして、主人に叱られるのではないか?」
「私が主だから誰にも叱られたりしません」
「お前が? 一人で住んでいるのか?」
「使用人達が一緒に住んでます」
「見当たらないが」
「もう休んでるんです。朝が早い人達なので、夜更かしさせられませんから」

 ミッサが答えると、男性は何とも言えない顔をした。

「さ、あなたも上にあがって休んでください。傷が痛むでしょう」
「それほどでもない」

 男性は元の部屋へと戻っていった。
 ミッサは食器を洗い、台所を片付けると二階へ上がった。
 服を脱ぎ、いつものように濡らした布で身体を拭き、夜着に着替える。

「お前……」
「そっちに詰めてください」

 ミッサは寝台に上がり、灯りを消そうとした。

「待てっ。どうしてお前がここにいる?」
「ここは私の部屋ですから」
「俺の部屋は?」
「あるわけないじゃないですか」
「……他の寝台があるだろう? これだけ部屋があるのだから」
「部屋はありますけど。寝台はないですよ。テーブルならありますけど、寝るにはちょっと狭いですし」
「ソファとか」
「座面が破れているので、横になるのはちょっと危険ですね。それでよろしければ止めませんが」
「どうして俺が? お前がソファに行け」
「ここ私の家ですから、そこは譲れません。私は私の寝台で寝ます」
「男と一緒に寝るつもりか?」
「いけませんか?」
「いろいろと問題があるだろう」
「問題ってなんでしょう?」
「……」
「ああ、男女の営みですね。それは願ったり叶ったりなので全然問題ありません」
「願ったり? 叶ったり?」
「はい、どうぞ!」
「……素直には受け取れん」
「ぜひどうぞ。すぐどうぞ」
「……却下」

 男性はシーツを被りミッサに背を向けてしまった。
 が。
 ミッサにとってこれは神様がくれたチャンスに間違いないと思った。
 道端に落ちていた時からそうじゃないかと思っていたのだ。
 そこはかとなく輝いて見えたような気さえする。
 これは我が家の救世主に違いない。
 そう信じたミッサは、灯りを消した。

「ちょっと待て!」
「……」
「どこを触ってる! 離れろっ!」
「……」
「待てと言っているだろうっっ」
「……」

 ミッサは実力行使に出た。
 強引に着換えさせた時から、どうにかなりそうな気はしたのだ。
 この男性は基本的に女性に手を上げない人らしい。
 男性も途中からはそれに同意した。
 それなりに楽しめるなと。
 確かにそれなりには楽しい時間を過ごし。


 翌朝。

「はじめてのくせに男に迫るか?」
「まあいいじゃないですか。誰にでもはじめてはあるものです」
「……」

 寝台に転がる男性を残し、ミッサは起き上がった。
 顔を洗い、服を着替える。

「朝食は持ってきますね。その服では、アリスやスージの前には出にくいでしょう」

 男性は無言だった。
 起きてはいるはずだが、機嫌が悪いのかもしれない。
 ミッサは足取り軽く階下へ降りた。

 食堂ではすでにアリスが朝食の準備を済ませていた。

「お嬢様はこちらでお召し上がりになりますか? それとも、あちらの方と御一緒に部屋で取られますか?」
「ここで食べるわ。上には後で持っていくから」
「左様ですか」

 アリスは笑顔でミッサの前に温かいスープを差し出した。
 珍しく中にゴロリと大きな肉塊が入っている。

「どうしたの?」
「今日は特別ですから。本当にようございました」
「そう?」

 彼女が言わんとすることをミッサは察した。
 この様子では、きっとスージやロトも知っているのだろう。
 だからと言って困るわけではない。
 ミッサはさらっと流した。
 何と答えていいかわからなかったので。

 食事を終えて部屋へ上がると、男性が寝台に背をもたせかけるように上半身を起こしていた。
 その膝の上に盆ごと朝食を差し出した。
 男性は黙々と食事をはじめた。

 ミッサは男性が食事をする様を眺めた。
 いつまでも私の服を着せるのはよろしくないだろう。
 現に今は着ていない。
 素っ裸で下半身をシーツで覆っている状況だった。
 よほどあれを着たくないらしい。
 別に女に見えるわけではないのだけれど、抵抗があるのだろうか。
 私は別に男の服しかなければ、それを着るだろうし、そんなに嫌だとは思わないけど。
 と思っていると、食事を終えた男性が盆を差し出していた。

「服は、私の父のものを洗濯しますから、夕方には着られると思います。サイズは合わないでしょうけど」
「手紙を出したい。紙を用意してくれ。連絡して持ってこさせる」
「そうですか。では、すぐに持ってきましょう」

 ミッサはそういうことに気付かなかった。
 道に落ちていたとはいえ、この男性に家があるのは当然のことなのに。
 ちょっとだけ、ミッサの胸が痛んだ。

 ミッサは男性に手紙を書けるように紙やペンを盆の上に置き、皿などの食器を重ねて手に持った。

「しばらくしたら手紙を取りに来ますね」

 そう言い置いてミッサは部屋を出た。
 部屋を出た彼女は、部屋に入った時の有頂天気分は消え去っていたが。
 もう少し時間があるのは嬉しいことだと切り替えた。


 ミッサが再び部屋を訪れると、男性はシーツを腰に巻き、机で何やら作業をしている。
 よく見ると、封蝋で印を押していた。
 封蝋、まだ残っていたらしい。
 最近使っていなかったので、埃がたまっていただろう机が恥ずかしかった。

「手紙、書けたんですね。出してきましょう。仕事をしに出かけますから」
「出かける?」
「そうなのです。仕事を休むことはできませんから。館内にはアリスとスージという女中がおりますし、館外にはロトという男の使用人もおりますので、ご用がある時はこちらのベルを鳴らして下さい」

 ミッサは棚の奥にしまわれていたベルを出し、机の上に置いた。
 ちょっと錆びているけど、鳴るはず。
 心配になったミッサはベルを擦って錆びを落とす。
 全体が益々茶色くなってしまった。
 それでも揺らすと、チリンという澄んだ音色が響いた。

「お呼びでしょうか?」

 あまりにも早い反応に、ミッサは驚いた。
 スージの登場は部屋の外で待ち構えていたとしか思えないほどの速さだった。

「スージ。私はこれから出掛けますから、この音が鳴ったら、この男性のご用件をきいてくれる?」
「はい。承知いたしました」

 スージは主人と男性をさらりと見て、片隅にある水盥を手に部屋を下がった。
 男性はこの館での一連の事がかなりおかしいと思っていた。
 何も言わなかったが。

「それでは、私も失礼しますね」


 ミッサは町へ寄り手紙を出すと、自分の領地へと歩いた。
 領地では野菜や穀物を作っているので、今日の分の出荷作業を行わなければならないのだ。
 そうして陽が暮れるころにようやく今日の作業を終え、館へと戻った。
 館に戻った彼女に告げられたのは、男性が迎えにきた馬車に乗って帰ったということだった。
 ミッサが館を出る時にそうなるだろうとは思っていたが、やはり落胆は隠せなかった。

「そう。無事にお帰りになったのね。よかったわ」

 ミッサ達はまたいつもの日常へと戻った。



 そうして一週間以上過ぎたころ。
 夕暮れ時、男性が館を訪ねてきた。

「まあ、いらっしゃい」
「……」
「どうぞ」

 館内へと案内しようとするミッサに、男性は眉を顰める。
 動こうとしないので、玄関先で立ち話をするのだろうかとミッサは彼に向き直った。

「名前も告げない者を家に入れるのはどうかと思う」
「……はい? でも、見知っている人ですし」
「俺は告げたことはないが」
「そうですね」
「……」
「……」

 沈黙。
 ミッサは男性が何を告げようとしているのかわからず頭を傾げた。
 男性は、奥歯をぎりぎりと食いしばって反応を待っていた。
 が、このままでは本当に何も返ってこないと気付くまでに随分と時間がかかった。
 向かい合ったまま無言で立っている。
 館奥には、女中二人が耳を澄ましている。
 玄関先では男の使用人が様子を窺っている。

「……中に入れてくれ」
「はい」



 結局、男性は何度も館に足を運ぶことになり。
 ミッサは待望の子供を授かった。
 しかし二人の間が変化するのはまだ先の先……。


~The End~


--------------------
【~春を待つ~】


 小さな田舎町の鄙びた領主館に、立派な馬車が到着した。

「なんだと? また、領主はいないのか? 隠れているんじゃあるまいな」
 玄関先で主の不在を告げられ、激昂しているのは四十を過ぎた壮年の頃合いの男だった。
 身なりもよく貴族であることを強調するかのように、金細工の装飾品を胸元にあしらっている。
 男よりも歳上の女中アリスは、怒鳴られたところで動じはしない。

「領主様はお忙しい方ですので」
 勝手にやってきては、領主がいないと怒鳴って帰るこの男は、来館三度目だった。
 最近、領主であるお嬢様に惚れ込んで通っている男の関係者であろうと女中達はにらんでいた。
 男が絡めば厄介事も増える。
 うちのお嬢様もそんなお年頃に……と感慨ひとしおである。
 この壮年男は、再び喚くだけ喚いて帰って行った。
 おそらくまた来るだろうと予測する。
 いつまでたってもお嬢様が領主館にいる時間を尋ねようともしないので、余程頭が悪いに違いないとアリスは眉をひそめた。
 壮年男は品が悪いので、お嬢様の男は品が良いように見えるが将来性のない男かもしれない。と、使用人達の間でお嬢様の男は、評価を落としつつあった。

「今日もマイヤー卿が来たの? 一体、何の用なのかしら。前もって日時を指定してくれれば、こちらも何とかするのに」
 領主ミッサは、ため息をついた。
 彼女としても貴族相手に失礼な態度を進んでとるつもりはない。
 できれば穏便に済ませたいのだが、聞けば最初から喧嘩腰のようであり、無難にやり過ごすのは無理らしい。
 いずれは会わなければならないのだろうと思うとミッサは気が重かった。

 明日は仕事が休みなので、ミッサは久しぶりに風呂で身体を洗ってさっぱりした。
 夕食を取り、使用人達を休ませる。
 使用人達は年老いているので早くに休ませるが、時刻はまだやっと夕闇が降りたばかりの時間である。
 静かな館でミッサは一人長い夜を過ごす。
 以前は、これが普通のことであり、退屈だがそれなりに過ぎていた。
 だが、この半年というもの、恋人が一週間に一度か二度やってくるようになってからは夜が長く感じられる。
 ミッサは恋人だと思っているが、相手がどう思っているか尋ねたことはない。
 否定はしないだろうと思う。
 彼はここから馬車で半日以上走った場所に住んでいる。
 国内有数の貴族家の子息であり、本来なら全く関わりのない人である。
 ミッサは小さな領地を持つ領主ではあったが、貴族位は持たない。
 近隣には貴族位を持つ領主もおり、毎年その領地の祭りにはミッサを招待してくれる。
 立場は対等ではなかったが、近所付き合いをするくらいには気さくな関係だった。
 貴族位をもつ彼等でも、ミッサの恋人には地位が違い過ぎて声をかけることはできないという。
 そんな彼が館に度々やって来ることは、非常に不思議なのだとミッサが知ったのはごく最近のことだった。
 だからといって、ミッサが何をすることもない。
 彼はミッサの館を変えるつもりがないらしく、館に来てはのんびりと過ごす。
 自分の服やら髭剃り用の小物などは持って来て、いつの間にかミッサの部屋の引き出しや棚に置いていた。
 特に自分用の家具を準備させるわけでもなく、専用の部屋を必要とするわけでもない。
 自宅では贅沢な生活を送っているだろうに、時々アリスに味が薄いと文句を言うくらいで、貧乏なこの館での不満を口にすることはなかった。
 夜に来ては、翌朝ミッサが仕事に出掛けた後に馬車で帰る。
 次の約束はない。
 ミッサは、今夜は来るだろうかと、毎日、夜になるのが待ち遠しくソワソワするようになっていた。


 玄関扉のノッカーが静かな館内に響く。
 ノッカーの音が特定のリズムを刻み、恋人の来訪を告げた。

「ミッサ、俺だ」
「いらっしゃい、フェイ」
 ミッサが扉を開けると、スルリと中へ入る。
 彼は動作がしなやかだった。
 ミッサが普段相手にしている男性達はみな屈強な体格と雑な動きなので、同じ男性でも彼は違う生き物なのだと認識していた。
 館内に入れば、ミッサを抱き締め首元に顔を埋める。
 女中のアリスとスージはもう休んでいて他に誰もいないと知っているため、こうした触れ合いは場所を選ばない。

「夕食を食べますか?」
 その問いは、抱擁を解く合図になるのだが、今夜は違っていた。

「風呂に入ったのか」
 ミッサの髪はまだ濡れている。風呂の湯に入れた花の香りもミッサに残っていた。

「ええ。明日は休みですし」
「食事はいい。上に行く」
 彼は二階に上がるよう急かした。
 ミッサは後で寝台で食べられそうなものを思い出しながら、彼とともに自分の部屋へあがった。

 一汗も二汗もかいた後、寝台で身体が冷えるのを静かに待つ。
 その沈黙を、珍しく彼が破った。

「子供が、できたのか?」
 ミッサは数日前にスージから指摘されて知ったことを彼が口にしたので、とても驚いた。
 館の者しか知らないことだし、正直ミッサは本当に妊娠しているのか半信半疑だった。
 そんなだから、当然、彼に連絡しているはずがない。
 彼女から彼に連絡したことはまだ一度もなかった。
 どう話そうか、いつ話そうかと考えているところであり、告げるのはまだ先のつもりでいた。
 なのに、どうしてわかったのだろう。
 驚くミッサは、答えることも忘れていた。
 彼が眉をしかめ苛立ちを込める。

「どうなんだ、ミッサ?」
「えぇ。そのよう、ね」
 戸惑いながらミッサが答えた。
 彼はそのミッサの態度が気に障ったらしい。
 彼女がぼんやり天井を見上げていたのを、彼は無理やり自分の方へ身体ごと向けさせた。

「フェイ?」
 ミッサは目をぱちぱちしながら、彼を見つめる。
 不機嫌に眉を寄せた顔がミッサを見ていた。
 彼は整った顔をしているが、あまり柔らかい表情を出さない。
 その分、不機嫌に見えるのだが、今は本当に機嫌が悪いらしい。

「子供はどうする?」
「産みますよ?」
 ミッサは彼が何を言いたいのかわかりかねた。
 それを感じとったのか、彼は黙り込んだ。
 ミッサが目を閉じ、うとうとしかけた頃、彼が再び口を開いた。

「結婚するか?」
「無理です。子供には私の家を継がせたいので」
 ミッサは即答した。
 ミッサは親から譲り受けたこの領地と家を子供に継いでもらいたいと思っている。
 だから、結婚するなら、ミッサの家に入る男性でなければならなかった。
 ミッサがこの領地をもったまま嫁ぐことはできるが、ミッサの家名は消えてしまう。
 フェイは有力貴族家を継ぐ者であるため、当然ミッサの家に入ることはできない。
 彼は顔に不満を表していたが、それはミッサの答えにではなく、あまりに早く否定されたためだった。

「そうか。だが、俺の子が俺以外の男を父と呼ぶのは許せない」
「はぁ……」
「俺と結婚しないなら、誰とも結婚するな」
 ミッサは彼の言葉を振り返り、じんわりと喜びがこみ上げるのを感じた。
 結婚するつもりだったこと。
 ミッサに他の男と結婚するなと告げていること。
 それは、ミッサにとって予想もしないことだった。
 時々やってきては夜を過ごしていくフェイが、自分のことを気に入ってくれているだろうとは感じていた。
 だがそれは、もっと軽いもので、いつ関係が切れてもおかしくない繋がりなのだと思っていた。
 町の恋人達は、そうした付き合いを深めた場合に結婚するのだと耳にしていたので。
 フェイとは会話が弾むわけでなし、愛の言葉を囁きあうわけでもなかった。
 将来、結婚できる相手ではないと考えていたことも、深い付き合いにならないと思った理由かもしれない。

「ミッサ? 返事は?」
 少し刺を含んだ声が黙って考え込むミッサの意識を現実へと呼び戻す。
 その声は苛立っていたが、わずかの不安が見え隠れしている。
 ミッサは嬉しくて顔が緩んだ。
 それは余計に彼を不機嫌にした。

「はい」
 ミッサは短く答えた。
 彼の瞳がミッサの言葉を確認しようと覗き込む。
 微笑むミッサに何をか見つけ、彼はいつもの落ち着きを取り戻した。
 それと同時に再びミッサを組み敷き、意図を持った手がミッサの身体を辿り始める。
 彼の催促にミッサは吐息と滑らかな足の動きで答えた。
 ミッサは、彼と過ごす夜は時間が過ぎるのが早いと思った。


 翌日、ミッサは仕事がないけれど冬仕度の準備を行う予定だった。
 いつものように朝起きるとミッサがさっさと服を着替えてしまったので、彼は子供のように不貞腐れた。

「どうしたんですか、フェイ?」
「今日は休みじゃなかったのか?」
「仕事は休みですが、窓や屋根を確認して修理しておかないと冬が辛いですから」
 彼は寝台にうつ伏せてしまったため、ミッサからは顔が見えない。
 だが、その様子は愚図っているようにしか見えなかった。
 今日はミッサが休みだと知って、彼は楽しみにしてくれていたのだと思うと自然と笑みが浮かんだ。
 だからといって冬の準備を怠るわけにはいかない。
 それでも少しくらいは時間がとれるようにしようと思っていると、彼がおもむろに立ち上がった。
 服を身につけていく。
 休みなのに私の時間がないから、いつものように帰ってしまうのかもしれない、とミッサは気分が沈む。
 どうやら自分もこの館で彼と過ごせることをすごく期待していたらしい。
 ミッサは苦笑いを浮かべて、部屋を出ようとドアへ向かった。

「朝食はこちらへ持ってきましょうか?」
 気落ちしているのを誤魔化すように、明るい口調を心がけながら彼に問いかけた。
 ミッサが振り向こうとした時、背中から腕がまわされ彼の胸に抱きしめられる。
 シャツとズボンを身に付けただけの軽装の彼がミッサの背後に立っていた。

「手伝う」
 冬仕度の作業のことを言っているらしい。
 耳元で短い一言。
 それはミッサの耳をくすぐった。
 思わず首をすくめるほど。

「ありがとう、フェイ」



 そうして、朝食後、館中の窓や屋根の様子を二人でざっと確認した。
 フェイは一緒にいるだけで、手伝いにはなっていなかった。
 それでも二人でいるのが楽しく、ミッサは足取り軽く館中を歩き、薪や食物貯蔵庫などを調べ修理が必要な個所を洗い出した。
 一通り館をまわり終えた頃、玄関から騒がしい声が聞こえてきた。
 怒鳴っている様子から、昨日の訪問者がまたやって来たらしい。

「客が来たみたいだから、先に部屋へ戻っていて」
「そのままで出るのか?」
 彼の言葉は、ミッサが埃に汚れたままでいることを指していた。
 ミッサはパタパタと服や腕の埃をはらう。
 彼のような人達は客の前に出る時には客を待たせて服を着替えると聞くけれど、本当なんだなと自分との違いを感じた。
 しかし、ミッサはいつものように客を待たせることより、早く会って要件を済ませることを優先した。
 彼女の生活ではそれが一般的な事だったから。
 彼は一人ミッサの部屋へと戻った。


 ミッサが玄関の方へ歩いて行くと、探していたらしいスージが声をかけてきた。

「お嬢様、あの男が来ていますがどうされますか?」
 スージが顔をしかめているところを見ると、よほど気に入らない相手らしい。
 ミッサは気が乗らなかったが、居間に客を通すようにと伝えた。
 待たせおって何様だと大声で怒鳴りながら、男が居間へと案内されてきた。
 スージやアリスの言うとおりの丸い大きな鼻の穴が特徴的な男だったので、ミッサは一目で吹き出しそうになった。
 ばれないよう慌てて視線を下ろす。

「ミッサ・クローラントです」
「マイヤーだ」
 マイヤー卿はミッサを上から下までじろじろと眺めまわした後、ふんっと鼻を鳴らした。
 館の主たるミッサを無視するように居間の椅子へと腰を下ろした。
 すぐにお茶が運ばれてくる。
 その間もマイヤー卿はミッサに視線を這わせるため、ミッサは非常に居心地が悪かった。

「何のご用でしょうか?」
 ミッサが切り出すと、卿は口端を上げた。
 卿の造り出す表情は見ていて気分のいい表情ではない。
 ミッサはできるだけ視線を合わせないようにしながら卿に対した。

「いくらでガーランデス卿子息に買われているんだ? お前なら安いだろう。その倍は出すから、この館を貸せ」
 卿はミッサがフェイの愛人と思っているようだった。
 安いもなにも無料の超特価ですが、とミッサは内心で突っ込みながら卿の話に耳を傾けた。
 卿は、フェイに自分の娘を娶せたいので、この館を貸せと言っているらしい。
 貴族の娘ならフェイとはそれ相応の出会い方があるだろうに、なぜこの館?とミッサは頭を捻った。

「この館で会うより、社交界で会う方がいいのではありませんか? ここだと娘さんは不自由されると思いますし」
「黙れっ! わしの言うことに黙って従えばいいのだ」
「残念ながら、この館をお貸しすることはできません。いろいろと修理が必要ですので」
「館の修理代も必要だというのか? 抜け目がない女だ。いいだろう。娘が住むためにも修理は必要だな。すぐに手配させる」
 手際はよさそうだけれど、人の話を聞かない人らしいとミッサは眉を寄せた。
 館を他人に任せるつもりはないので、早く立ち去って欲しいのだけれど、ミッサの意向はまるで無視される。
 話は並行線のまま、時間だけが過ぎていく。
 せっかくフェイがいるというのに、ミッサは居座る男が恨めしかった。

「マイヤー卿、ここに何用か?」
 優雅な足取りで居間へ入ってきたのは、身なりを整えたフェイだった。
 それまでの苛々とした室内に、新しい風が吹き込んだ。
 フェイはミッサの横へ足を向けたが、あいにくミッサは一人掛けの椅子に座っていた。
 離れた場所に置かれた一人掛けの椅子をミッサの横まで移動させ、彼はそこに腰を下ろした。
 アリスが現れ彼にカップを差し出す。
 流れるような仕草でフェイはそれを受け取った。
 彼の登場に、卿は目を白黒させており、威丈高だった態度もすっかり消え失せている。

「この館に興味があり……」
「そうか。私がこの館に来ていることを知ってのことだと思ったが、違うのか?」
「たまたま、この館が目に付きまして……。ガーランデス氏がおいでになるとは存じませんでした。ここでは不自由でしょう。これもご縁、近くに我が館がありますので、どうぞお越しください」
 フェイが静かに卿を眺めているので、最初は口籠ったものの卿はスラスラと言葉を続ける。

「我が館の花はそれはそれは美しく花開いておりますので、きっとお気に召していただけると思います」
「近頃、この近辺に手を出す者がいるようだったので様子を見ていれば」
 卿の言葉の途切れた合間、フェイは口を開いた。
 卿は動きを止め口を閉ざした。フェイの言葉を待つ。
 フェイは、その顔に笑みは浮かべているものの、そこに温かみはない。

「私は邪魔をされるのが嫌いだ」
 フェイの冷ややかな視線を受けた卿は、ごちゃごちゃと意味不明の言い訳を並べて慌てて館を去っていった。
 ミッサはよくわからないながらも、フェイが卿より上であり卿が引いたのだろうとは理解した。
 去っていく卿の蒼白な顔面と慌て具合から、フェイの機嫌を損ねることがどれほど甚大なことなのかをぼんやりと推し量る。
 しかし実際にはまるでわからないので、貴族達というものは言葉が通じない世界だとミッサはしみじみと感じた。

「あれは、もう来ない」
 卿が去った方に視線を向け、そう告げたフェイの一言には、多くの意味が含まれてるようだった。
 ミッサにとって、あの男が来ないということは非常に歓迎すべきことだったので、単純にそうとらえることにした。
 せっかくのフェイとの時間を潰しただけでなく、こんな風に雰囲気を壊した卿に同情する余地はない。
 冷たい空気を纏ったフェイ。
 自分だけで卿を追い払えなかったことが悔しい。
 ミッサがしょんぼりと肩を落としていると、後ろからフェイが圧し掛かってきた。

「ミッサ」
 耳元で名を囁かれるのは、まだ慣れなくてくすぐったい。
 しかし、その声の効力は絶大で、先程までの暗い気分を一息で吹き飛ばした。

「屋根を見に行ってきます」
 ミッサの一言に、彼が背後からミッサにより体重をかけてきた。
 無言の抗議らしい。

「一緒に行きましょう。先に部屋で着替えてから」
 フェイの服が汚れるからだったのだが、その言葉で彼は気を良くした。
 二人はミッサの部屋に戻った。
 屋根は危険だからとフェイに邪魔をされ、ミッサは屋根に上ることなく部屋で時を過ごした。



 その後、マイヤー卿が館を訪れることはなかった。
 フェイは一週間に一度の割合でミッサの館を訪れていたが、もうすぐ冬が来る。
 道が雪で覆われる期間は館に来ないようにとミッサは告げた。

「冬の間、うちにこないか?」
 フェイはそう提案したが、ミッサは頷かなかった。
 フェイにはフェイの生活がある。
 ミッサにはミッサの。
 雪が降り、冬の訪れとともに館は静けさを取り戻した。
 長い冬は、しかし、今までとは異なっていた。
 ミッサの食欲は増し、お腹が大きくなっていく。
 アリスもスージもロトも今年の冬はそわそわしていた。
 外は薄暗く重苦しい色で覆われているというのに。
 春になれば、産まれてくるだろう新しい命を誰もが待ちわびて。
 彼から届いた手紙には、彼らしく言葉少なだったが、いくつもの名前が連ねてあった。
 女の子用と男の子用の名前がいくつも。
 遠くで待っている人がいるのを手紙に感じながら、ミッサは春を待った。
 いつもより待ち遠しく。


~The End~

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