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間章エピローグ~第三章へ

 ザァっと砂粒が散るようにヴェルダロスの巨体が空間に溶け消えていく。

 やがて塵が風に吹かれるようにして完全に消滅すると、剣を振り切った体勢のままその様子を見ていたウィンの身体から緊張が消えた。


 ふぅっと肺から絞りだすように大きく息を吐きだし、両膝を地面につく。と、ともにウィンの身体を包み込んでいた光が薄れ消えていった。


「お兄ちゃん!」


 その背中へと走って来たレティが飛びついた。


「おわっ……痛ッ、レティ痛い!」


 二人がもつれるようにしてゴロゴロと草原を転がっていく。

 

「何てこった……」

 

 転がる子供たちを見ながらオールトが溜息混じりに口を開いた。


「完全にあの子たちに持って行かれたっす……」


「全くです……やれやれ、なんて報告したものか」


 魔導士の男も溜息をこぼす。


 ウィンとヴェルダロスの一騎打ち。


 騎士たちの高度な連携の応酬による戦いから始まり、ウィンとヴェルダロスのまるで舞踊を思わせる戦い。

 ベテランの冒険者ですら手を出しあぐねるほどの戦いだった。

 下手に手を出すと逆にウィンの足手まといか邪魔にしかならない超高速戦闘――余人が入る隙もなく――いや、介入することができたのはレティとイフェリーナというこれまた子供たちだけ。

 情けないことに、大人たちはただその様子を見続けるほかなかった。


 ガシガシと頭を掻きながらオールトがウィンとレティが転がっている場所へと向かった。

 気配に気づいたウィンが上半身を起こして顔を上げる。

 やおらオールトはウィンの頭に拳を落とした。


「……っ!」


「一人で突っ走りやがって……冒険者は命あっての物種だぞ。臆病くらいがちょうどいいんだ」


 頭を押さえるウィン。

 レティはウィンを庇うように立ち上がると、少し涙目になりながらオールトの顔を見上げ口を開きかけて言葉に詰まった。

 オールトが笑顔を浮かべていた。

 ウィンの頭をワシワシと乱暴に撫でる。


「よくやったな、ウィン」


「エヘヘ」


 殴られた場所をさすりながらウィンも笑顔を浮かべる。と、同時にウィンはその場に倒れこんだ。

 

 身体の下敷きになっている草が冷たく感じられる。

 戦闘で激しく身体を動かして火照っていた身体には非常に心地よい。

 そのまま意識が暗転する。


「お兄ちゃん!?」


 目を閉じたまま動かなくなったウィンを見て、レティが慌ててウィンの身体を揺さぶろうとする。しかし、いつの間にか歩み寄ってきたポウラットがその手を掴んだ。


「大丈夫、寝ただけだよ」


 レティはポウラットの顔を見上げる。

 それから不思議そうな顔で小首を傾げるとウィンを見た。

 そしてコクリと小さく頷いたのだった。





 次に目を開けた時、ウィンは草の上ではなく柔らかい毛皮の敷布に毛布を掛けられて横になっていた。


「あ、あれ?」


 一瞬、どこにいるのかわからない。

 目をパチパチとさせてから、周囲を見回して自分がいる場所を把握した。

 ローラの家だ。

 囲炉裏には薪がくべられ、火の粉を上げながら燃えている。

 ふと横を見ると、レティがウィンにぴったりとくっつくようにして眠っていた。

 

「おっと、起きたか?」


「ポウラットさん?」


「痛むところはないか? 急に倒れたから、レティが心配してたぞ。まあ、俺は大丈夫だと思ってたけど、打ち所が悪くて後になって冷たくなっていたとかよく聞くからな。何かおかしなとこがあったら言えよ」


「うん、ちょっと身体があちこと痛いけど大丈夫みたい。ここは?」


「ローラさんの家だ。いま、お湯を沸かして魔導士のおっさんのとこに行ってる」


「魔導士のおっさん……って、あ! あの犬の変なのはっ!?」


「落ち着け、大丈夫だ。お前がきっちりと倒したよ」


 そう言うと、ポウラットはウィンに木杯を差し出す。


「飲めよ、暖まるぜ」


 温められたミルクだった。

 上体だけを起こして啜るようにして飲む。


「レティは?」


「さっきまでお前の側で起きてたんだが眠っちまった。何だか魔法みたいなものを使っていたし疲れたんだろうぜ。よく頑張ってたし」


「そっか」


 ミルクを飲んで、腹の底から温まったことで人心地がついた。

 そしてヴェルダロスと戦った時のことを思い出す。


 身体が軽かった。

 繰り出される攻撃が見えた。

 今までは見えていても躱せないと思えた攻撃を簡単に躱すことができた。

 握りしめている剣も軽かった。

 足を踏み込むと、身体が爆発的に加速した。

 一瞬で間合いを詰めることができた。

 身体を剣を意のままに操ることができた。


(レティのおかげなのかな?)


 起こさないようにレティの頭を撫でてやると、


「……ん」


 小さくレティが身動ぎをする。


「あ、あの……」


 その時、家の入口の方から小さな声が聞こえた。

 イフェリーナが顔だけを出して家の中を覗きこんでいた。何かを言おうとしては止め、しばらくもじもじしていたが、やがて意を決したように真っ直ぐにウィンとポウラットを見ると、


「本当にありがとう」


「おう」


「良かったね」


 ポウラットが照れくさそうに片手をイフェリーナに挙げて見せ、ウィンはニコッと笑って見せた。

 イフェリーナも笑顔を返す。

 

 それは、村を襲われてから半年ぶりに彼女が見せた笑顔だった。


 イフェリーナがトコトコとウィンのところへ近づく。

 しばらく二人で話していたが、やがて連れ立って外へと出ると地面に小石を並べてゲームのようなものをして遊びはじめた。

 遊び方を説明しているウィンの手元をイフェリーナが真剣な表情で見つめている。


 そこへレティが目を覚ました。

 傍らで眠っていたはずのウィンの姿がない。

 

「お兄ちゃん、どこ?」


「さっき、外へ出てったぞ」


 ウィンの姿を捜して大して広くもない家の中を見回しているレティにポウラットが教える。

 言われるがままに外へと出たレティは遊んでいる二人を見つけた。


「リーナ、ずるい!」


「レティも来なよ。一緒に遊んでようぜ」


 幼い嫉妬心を露わにし、むぅっと膨れるレティをウィンが手を振って呼んだ。

 レティはむくれながらも、二人の遊びに混ざる。

 その様子を外から戻ってきたオールトたちとローラは黙って見つめていた。

 

「オールトさん……あの子は私が引き取ろうと思います」


「異種族ですよ? きっと何かと大変だと思いますが?」


「大丈夫です。異種族だって子供は子供です。一緒になって遊ぶことができるんです。子供たちができて私とあの子でできないはずがないと思います」


 いつの間にかむくれていたレティも、ゲームに真剣に挑んでいた。

 どうやらゲームはウィンが勝ったらしい。

 レティは少し涙目になっていたが、次にイフェリーナとゲームを始めた。

 それをウィンが横から見ている。


「もう二度とあの子から笑顔が失われないことを願うわ……」


「そうですね」 


 子供たちの歓声が風に乗り、草原を渡っていった。














「――という事がありました」


 ウィンが語る昔話に、シムルグ騎士学校の一室に集まっていた人々が納得の溜息を漏らす。

 部屋の中にはこのレムルシル帝国の皇太子アルフレッドと皇女コーネリア、ハイエルフの大賢者ティアラ、そしてウィンの直属の上司であるロイズの五人がいた。


 いま、ウィンの全身が淡く白い輝きに包まれていた。

 ティアラが試したいことがあると一同に断り、ウィンへと付与魔法を使ったのだ。

 騎士が得意とする魔法――《肉体強化》の魔法が付与されている。


「……驚いた。ここまで魔力が少ない人は見たことがない。だから、魔法への抵抗が少ない。付与魔法の効果が強く現れる」


 付与魔法を以前にも掛けられた経験はあるかとティアラに尋ねられ、ウィンは冒険者として初めて実戦を経験した際の話をしたのだった。


「なるほどね。付与魔法の使い手と組ませれば、相応の力は発揮できそうだね」


 ウィンから話を聞いて、アルフレッドは満足そうに頷いた。


「私が九歳、レティ――メイヴィス第三公女殿下がまだ七歳の頃の話でございます」


「それで、その犬頭の魔族を倒した後はどうしたんだい?」


 アルフレッドは興味深そうに尋ねてきた。

 魔族――それも『名付き』の中位魔族を幼少期に倒したという話である。

 後の勇者と、そしてその師匠となった者たちとはいえ、にわかには信じられない話だろう。

 ウィンはアルフレッドにヴェルダロスとの戦いの顛末について話す。





 あの事件から二日後にオールトたちとポウラット、ウィンとレティは冒険者ギルドへと戻り報酬を分けあった。

 というよりも、ほとんどの報酬をウィンが受け取ることになった。

 オールトたちとポウラットはゴブリン退治の必要経費だけを受け取ると、残りの報酬をウィンへと譲ったのだ。

 もっともローラの支払える金額は、魔族相手では割が合わない程度でしか無いが。

 後日、一応追加の報酬としてともに戦った魔導士の男が、申し訳無さそうな顔で国からの礼金を持ってきてくれた。

 

「どうも、上のほうがこの件を無かった事にしようとしているみたいです」


 冒険者ギルドからの情報を軽んじ、帝都の目と鼻の先で魔族の暗躍――それも中位魔族という国家滅亡の危機を招きかねない情報を無視するという失態を犯してしまったのだ。

 魔導士と唯一人生き残れた騎士も、口封じを兼ねて前線に送られることになるだろう。

 上層部にとって都合の悪い存在となってしまった彼らは、もうこの帝都に居場所はない。


「近い内に恐らく異動になるでしょう。その前に、少しでもあなた方に礼金が支払われるようにと頑張ったのですが……結局、大した金額をお支払いすることができず申し訳ない」


 ウィンとレティが魔族を倒したことはオールトと魔導士の考えで騎士団には報告をしなかった。


 特にレティの力――見たものにしかわからない尋常では無いあの力。

 二人ともまだ幼すぎるがゆえに、まず間違いなく良いように利用されかねない。


 この意見には全員が頷いた。

 魔導士から聞いた帝国上層部の実態を知れば知るほど、その思いは強くなった。

 命の恩人となった子供たちへ仇で返す訳にはいかない。

 この事件の調査と関係者の素性を調べた魔導士からも、レティに関しては関わらないほうが良いとの忠告を受けていたこともあった。


 結局、ギルドの受付嬢であるルリアとギルドマスターにだけ真実を告げ、表向きはゴブリンを退治とし、そしてオールトはウィンとレティの二人を一人前の冒険者として通用すると、ギルドに推薦をして終わったのだった。







「――そのオールトとか言う冒険者。かなり目端が利くな。それとその魔導士はどうなったのだ?」


「申し訳ございません。そこまでは……」


 当時、子供だったウィンには彼がどうなったかも分からない。

 そもそも名前すら知らないのだ。


「まあ、この件に関しては少し調べてみたい。色々と興味が湧いてきた」


 アルフレッドの言葉にロイズが小さく頷いた。

 

「それで翼人の子供はどうしたのだね?」


「彼女はローラさんという女性が引き取りました。今も一緒に暮らしているかと思いますが……」


「殿下。翼人を召し抱えようと考えるのはよしたほうが良い。彼女らの自由意思であればともかく、強制的に召し上げたら翼人と戦争になる」


 一瞬、何やら思案げな表情を浮かべたアルフレッドに、ティアラが釘を差した。

 

「翼人と戦争とか、さすがにそれはゾッとしないね。でもまあ、僕も平和に暮らしている民に無理強いをするつもりはないよ。翼人とはいえ、我が国の街で暮らしているのなら民は民だ」


(それに、勇者と偶然とはいえ面識があったんだ。下手をすると勇者を敵に回しかねない。そんな危ない橋を渡るわけには行かないからね)


「まあ、翼人の件は置いておくとして。じゃあ、そろそろ先ほどの話に戻ろうか。君には私の妹であるコーネリアの従士をしてもらいたいと考えているんだが、それでどうなんだね? 彼は従士として務まると思うかい?」


 ティアラは肉体強化魔法を付与され、淡い光りに包まれているウィンを前から後ろからグルグルと回りながら観察を続けていた。


「コーネリア殿下は付与魔法の使い手。魔力が生来乏しいウィンには、付与魔法使いとの相性が良いはず」


 最初、「コーネリアの従士にならないか」と言われた時、ウィンは瞬時に理解することができなかった。

 聞き間違いではないかと思った。

 何しろ、周囲が天上人ばかりである。

 ガチガチに緊張していた。

 いや、コーネリアもレティシアも本来であればそういう存在なのであるが、普段接する機会のない皇族ともなれば、ウィンとて緊張する。


 だが、改めてアルフレッドが言ったことで先ほどの言葉が聞き間違いではないとわかった。

 

「付与魔法との相性だけでなく、男女の相性も良ければもっといいんだけどな」


「はっ?」


「殿下!」


「お兄様!」


 アルフレッドの爆弾発言に、コーネリアが思わずアルフレッドへ抗議の声を上げ、それからウィンへと目を向けた後に真っ赤になって下を向いてうつむく。


「アハハ、冗談だよ。冗談!」


「殿下、私の部下をあまりいじめないでいただけませんか」


 アルフレッドの斜め後方に立っていたロイズが、溜息を吐くとアルフレッドを横目で睨みつけた。


「彼があまりにもガチガチになってるからさ。緊張を解そうと思っただけだよ」


 と軽く笑いながら言うアルフレッドに、


「無茶を言いなさいますな」


 と呆れたような口調でロイズはつぶやいた。


「普通、皇族と接して緊張しない民は存在しません」


「悪かったよ、エルステッド伯。まあ、それで話を戻すとだね、ウィン君。君には僕の妹である皇女の従士になってもらいたい」


「それは……騎士とは違うものなのでしょうか? 一体どのような職務なのでしょう?」


「簡単に言ってしまえば、皇女の護衛だね。親衛隊と言い換えたほうがいいのかな。本来であれば近衛騎士の腕利きの者たちから選抜される役目だ」


「親衛隊………」


 ウィンはコーネリアを一瞬だけ見た。

 皇女という身分にありながら、同期生だということで友と呼ぶことを許してくれた少女。

 コーネリアは黙ってウィンを見つめていた。


「どうして自分なのでしょう?」


「一つは、コーネリアが信用している人物だということ。そして最も大きな理由は君があの勇者の師匠であるということかな」


「ウィン」


 ティアラの深い紺碧の瞳がウィンをじっと見つめた。


「私たちエルフ族はウィン・バードという人物に――勇者の師匠へ非常に深い興味を持っている。それは私たち以外の種族や国も同じ」


「大賢者殿の言うとおりだ」


 アルフレッドは頷くと両手を机についた。


「君が勇者殿へと与える影響は大きすぎるんだ。このまま騎士団へと置いておくのは、正直に言って困ると言っていい」


「そんな、俺は………」


「ウィン・バード」


 うなだれるように下を向くウィンにロイズが声をかけた。


「帝国での君への評価は、勇者の師匠とはいえ所詮は平民出身の騎士候補生に過ぎない。たまたま幼馴染みが勇者で運が良かっただけという扱いだ。しかし、帝国の外へと出ると話は別だ。勇者の師という肩書きは絶大なのだよ。あの勇者がただ一人膝を折り、頭を垂れる。これは尋常なことじゃない」


「あなたがどう思っているのではなく、レティシアがあなたをどう思っているのか。あなたが望めばレティシアは勇者の力を振るう。つまり、勇者の力はあなたにも委ねられていることになる」


「そういうことだね」


 ティアラの言葉にアルフレッドは頷いた。


「その力は世界を揺るがしかねないほど大きなものだ。その力を握る人物を騎士団へと置いておくのは躊躇われる。良くも悪くも騎士団は階級社会であって、命令されると拒むことは難しい。言い難いことだけど、残念なことに騎士の全てが公明正大な人物であるとはお世辞にも言えないからね。だから君にはコーネリアの従士という、他人から利用されづらい立場に立ってもらいたい」


「……それはご命令なのでしょうか?」


「嫌だな、命令じゃないよ」


 アルフレッドは苦笑を浮かべた。


「最初にも言ったけど、今日はウィン騎士候補生じゃなく――いや、受けてもらえるなら、元って但し書きがつくようになるけど――勇者の師匠であるウィン・バードとこの帝国の皇太子として話している。君の意思は尊重するよ。嫌なら断ってくれてもいい」


 笑みを浮かべるアルフレッドにロイズが呆れたような視線を向けた。


(無茶を言うな。平民が皇族の言葉を断れるわけ無いだろうに)


「コーネリアはまだ十八になっていないので、皇族としての公務にはまだ制限がある。だけど、皇族である以上は全ての公務と無関係でいる訳にはいかない。その際の護衛が君の任務だ。従士となった君に命令を下せるのはコーネリアだけになる。外国の使節との接見に勇者の師匠という肩書きを持つ人物が同行していれば、何かと役立つこともあるしね」


「帝国が一方的にあなたたちを利用しないよう、監視役に中立的な立場である私たちエルフ族が就く」


「コーネリアは付与魔法の使い手だ。魔力が生来乏しい君は、付与魔法との相性が良いのも幸いだよ。正式な部隊として発足させるにはまだ色々と根回ししたいこともあるし、当面は君一人だけになるが」


(コーネリアさんの従士か……)


 普通に考えれば、これは名誉な話である。

 近衛騎士でも選ばれた存在にしかなれない、レムルシル帝国のお姫様を守る騎士。

 これは騎士を目指すものにとって、一つの夢だろう。

 まあ、姫と言っても友人なのだが。

 ただ、ウィンを悩ましているのはその立場へと立てる理由が『勇者の師匠』という肩書きのおかげであるということだ。

 自らの実力で勝ち得た立場ではない。

 レティシアという、たまたま幼い頃に知り合えた少女のおかげで手に入れるようなものだ。

 多くの騎士たちが切磋琢磨しあい、手柄を立て、やっと昇格をする中で、自分だけが楽な道程で手にしてしまう。


 本当にそれでいいのだろうか。

 それでウィンの夢はかなったと言えるのだろうか?


「ウィン君」


 迷うウィンにコーネリアが口を開いた。


「以前、私に騎士への夢を語ってくださいましたね。ウィン君にとって騎士とは、何者よりも強く、賢く、決して折れることのない剣。弱いものの味方であり、守るべき主人の最後の盾、と」


 騎士学校で初めて会った時のように、ペアを誰とも組むことができず、寂しげに、心細げだったあの時と同じように、コーネリアがウィンへとどこか懇願するような口調で話しかける。


「私では、ウィン君にとって守るべき主人となることはできませんか?」

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[一言] わぁ、コーネリア。すンごい殺し文句をぶっこんできたなあ
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