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彼と彼女の千文字会話 作者:江見村元素

同棲編

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園芸

 コタツの中で足を温め、窓の向こうの夕焼けと街の灯りを見つめながら。
 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。



「さあ、今日も今日とて趣味探しです」

「その『趣味探し』ってやつがだんだん、『自分探し』みたいに聞こえてきた。絶対手に入らない何かを見つけようとしてない?」

「そんなことありません。この世のどこかにこれはと思える私向きの趣味があるはずです」

「手段と目的がひっくり返ってる気がする」

「園芸などまったりしていていいのではないかと思い、始めてみました。家庭菜園なら食材の調達にもなります」

「なるほどね。今度はちゃんと考えたか」

「上手くいけば我が家の料理は私とあなたの合作ということになりますね」

「おお、そういうのなんかいいね。プランターとか肥料とか、種は買ったの?」

「いえ、お試し期間ですからなるべくお金をかけないよう、あるもので代用しました。プランターは半分に切ったペットボトルです」

「工夫したね。肥料は?」

「三角コーナーの残飯を」

「んー、ちょっと衛生面が気になるな。とりあえずはいいけど」

「種の代わりには玉ねぎを」

「確かに育てやすそう……って、待てこら。え? 玉ねぎ? 台所のやつ?」

「そこ以外のどこに玉ねぎなんてあるんですか」

「君それペットボトルに玉ねぎ入れて上から残飯ぶちこんだだけだろ!」

「ちゃんと育ちます。玉ねぎは腐りにくいので」

「腐ってるもの入れたらさすがに腐ると思う」

「頑張ればなんとかなります。なんとかならなかったらまあ、仕方ないですね」

「腐ってるのは君の性根だったか」

「性根って字面がなんだか卑猥です」

「頭まで腐ってるなんて……。せめて土くらい入れようよ。それじゃ生ゴミ入れにしか見えないからさ」

「いえ、ここで甘やかしては軟弱な子に育ってしまいます。私の育成コンセプトは『自然に帰れ』」

「不自然の塊だ」

「玉ねぎは一体どれだけ過酷な環境下で育つことができるのか、実験です。家庭菜園ならぬ家庭サイエンス、なんちゃって」

「やかましい。君がどのくらい過酷な環境下で生活できるか実験してやろうか」

「あなたさえ居ればどんな厳しい生活にも堪えてみせます」

「そういう胸にくる言葉はタイミングを選べ」



 日は山に隠れ、星々が輝き出しました。
 月が今日を急かしていますが、二人の一日はまだ少しだけ続きます。
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