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彼と彼女の千文字会話 作者:江見村元素

土手編

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寝不足

 土手に座り込み、沈む夕日と川のせせらぎを見つめながら。
 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。



「頭が痛いです……」

「顔色悪いね。風邪でもひいた?」

「最近寝不足なんですよ」

「なんで? 夜中に何かしてるの?」

「最低ですね」

「なんで!?」

「女の子に向かって『夜中に何かしてるの?』なんて、デリカシーの欠片もありませんよ」

「意味がわからないんだけど。だったら寝不足だとか言わなきゃいいのに」

「心配してほしかっただけで、原因を根掘り葉掘り訊く必要などありません」

「めんどくさコイツ」

「ちなみに寝不足の原因はただ眠れないだけです」

「デリカシー関係ないし」

「睡眠時間になっても目がさえてしまって……」

「寝る前に運動とかすればいいんじゃないかな」

「最低ですね」

「だからなんでだよ! ねぇ今のどこが最低? 君の脳ミソが曲解してるだけじゃないの?」

「女の子に向かって『ね、寝る前にハァハァ激しい運動みたいなことハァハァ一緒にしようか?』なんて、デリカシー無さすぎです」

「悪いのは耳だったか。誰だよ今の。デリカシー云々の前に純然たるセクハラだろそれ」

「実際、寝る前に運動なんてしたら血行が促進されてなかなか寝られませんけどね。その案は却下で」

「却下にたどり着くまでが長い。もうやだよ、アドバイスしても貶されるだけ損だ」

「睡眠薬には頼りたくないんです。あんまり体に良くない気がして」

「まぁなるべく薬は控えた方がいいよね、って自然と話に乗せられてしまった」

「羊を数えるのはいい加減古いですよね。いっそ素数を数えてみるとか」

「頭使うと逆に目が覚めるよ」

「頭使わないようにしたいんですけど、いろいろ考えてしまって……」

「悩みでもあるの?」

「まあ、悩みでしょうか」

「僕で良ければ相談に乗るけど」

「あなたじゃダメです」

「バッサリかよ。傷つくよ」

「バカに乗れる相談なんてありません。ついでに調子にも乗らないでください」

「オーバーキルだよ。死体を蹴るなよ」

「実はあなたのことを想っていて眠れないなんて、言えるわけないじゃないですか」

「……え? ちょ、何言って――」

「そんなわけないでしょう何期待してるんですかバカ」

「蘇生させて殺すとか悪魔か!? 僕に何の恨みがあるんだよ!」

「ぶっちゃけアクセス数のことが気になって眠れません」

「そして結局それか! いい加減離れろ!」



 一人が腰を上げると、もう一人も立ち上がります。
 そうしてどちらからともなく手を繋ぎ、今日に背を向けて、去っていきました。
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