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彼と彼女の千文字会話 作者:江見村元素

同棲編

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掃除

 コタツの中で足を温め、窓の向こうの夕焼けと街の灯りを見つめながら。
 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。



「寒い日はコタツでじっとしているに限ります」

「朝からそこにいる姿しか見てないんだけど。アクティブはどこへ行った」

「外、雪ですよ。さすがにこんな日までアクティブになれませんて。食料をちびちび消費しながらコタツでぬくぬくしてるのが一番です」

「冬眠寸前の熊か。それはそうと、前に掃除してから、だんだん部屋が汚くなってきたね。次は君の番だっけ、確か」

「平日の昼間は私もあなたもいませんし、まだそんなに汚れてないと思いますけど」

「いや、ペットボトルがあちこちに転がってる時点でそんなにってレベルじゃないから」

「散らかしてるわけじゃありません。風水です」

「無造作過ぎる。どんな効果があるんだ」

「西側に配置した午後ティーは金運上昇」

「絶対嘘だろ」

「東側のコカ・コーラとポテチの袋は健康運上昇」

「その組み合わせはむしろ下降すると思う」

「南側のゴミ箱は、中身を変えなければゴミ出しの回数が減ります」

「それ風水じゃない」

「全て一ヶ所に集めてゴミ捨て場に持っていくと願いが一つ叶うので、やってみてください」

「じゃあ僕、マメで思いやりがあって素直な彼女が欲しい」

「叶えられる願いは性的なものに限られます」

「そういう下半身バカみたいな奴はいらない。自分で掃除しろ」

「コタツから出られません。私がこうして北側でじっとしていることで総合運が上がっているんです」

「効果ないんだけど。むしろどんどん幸福を吸いとられてる気がする。捨てていい?」

「捨てると三日以内にあなたとあなたの身内にあらゆる不幸がふりかかります」

「呪われた置物だった。もういいから早く掃除」

「このくらい汚れてたほうが私としては住みやすいんですが」

「ゴキブリか」

「ゴキブリって実はキレイ好きなんですよ?」

「ゴキブリ以下だった。世界で一番汚い生き物は君なんじゃないかって気がしてきたよ」

「確かに、人間ほど汚く醜い生き物は他にいないかもしれませんね……」

「自身の性分を規格化して全人類を揶揄するな」

「もうすぐ年末の大掃除とかありますし、別にいいじゃないですか」

「それで年末になったら、先月引っ越したばかりだから大掃除なんて必要ないって言うんだろ?」

「な、なぜそれを。エスパーですか」

「ただの帰納法だ」



 日は山に隠れ、星々が輝き出しました。
 月が今日を急かしていますが、二人の一日はまだ少しだけ続きます。
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