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彼と彼女の千文字会話 作者:江見村元素

土手編

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提案

 コタツの中で足を温め、窓の向こうの夕焼けと街の灯りを見つめながら。
 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。



「同棲しましょう」

「突然なに言ってるの?」

「昨日も話しましたけど、今のままだといろいろ面倒じゃないですか。だからこのさい一緒に暮らしましょうというわけです。もちろん家賃等生活費は折半で」

「急にそんなこと言われても……。二人で暮らすには狭いぞここ。引っ越しとかはお金かかるし」

「この向かいのアパートがちょうど1LDKで五万円です。こっちと同じ大家さんみたいですから、契約も新規でするより簡単かと。今週末あたりにお引っ越ししましょう」

「わざわざ調べてきたのか。君ってこういうときだけ行動早いよね」

「悪い話じゃないでしょう? 今より安い家賃で今より広い部屋と、いつでも可愛がれる女の子が手に入るんですから」

「呪われた足かせの間違いだろ。それに君のお父さんの耳に入ったらなんて言われるか……」

「そんなの黙ってれば問題ないです。親に秘密で、というシチュがまた興奮するじゃないですか」

「しないよ。どんな性癖だ」

「もしバレても時空の歪みで部屋がつながってしまったことにすれば、じゃあ仕方ないなと」

「歪んでるのは君の認識だ。……そんなに一緒に住みたいの?」

「もちろん。あなたは嫌ですか?」

「嫌じゃないけど、一人になりたいときだってあるでしょ?」

「ああ、そういうときは土手にでも行って勝手にたそがれてください」

「なんだか土手のランクダウンが激しい気がする」

「そんなことないです。土手にも良いところはたくさんありました。例えば最後に入る文章です。今の状況だとミスマッチ感が半端ないんですよね」

「『そうしてどちらからともなく手を繋ぎ、今日に背を向けて、去っていきました』ってやつ? 確かに部屋から出ていくようには思えないね」

「『今日に背を向けて』とか詩的な表現が使いたかっただけでしょ、これ」

「やめろよなんか恥ずかしいだろ。僕が書いてるわけじゃないけど」

「でも同棲すればそんな問題も解決です。『そうしてどちらからともなく身を寄せ合い、今日に背を向けて、ベッドへ行きました』と」

「行かないから。しかも結局今日に背を向けてるし」

「じゃあ『その場でおっ始めました』」

「ベッドを使わないって意味じゃない。表現も露骨過ぎる」

「『ベッドで合体しました』」

「どんどん悪化してるよ」

同衾どうきんだけにドッキング、なんて」

「やかましい」



 一人が腰を上げると、もう一人も立ち上がります。
 そうしてどちらからともなく手を繋ぎ、今日に背を向けて、去っていきました。
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